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日本社会の現状をどのように見るのか

中西 治

ジャパン・アズ・ナンバーワン (Japan as No.1=日本は世界一) とは、かつて流行った言葉である。世界の各地を回って、久しぶりに横浜や東京のビル街・繁華街に立つと、日本は世界一だと感ずることがある。

外観の華やかさのなかで、一部の人が大儲けをし、多くの人が低い賃金と厳しい労働条件のもとで働き、苦しい生活をしている。

医療と介護は、真面目な多くの医師や看護士・介護士の報われない献身的な努力によって支えられているが、その状況はこの数年間に急速に悪くなっている。ごく最近まで入院が難しかった名のある大病院の病室に空きが目立つ。医療関係者の異動も激しいが、患者も長く同じ病院で治療をうけられなくなっている。

話題の後期高齢者医療保険料額決定通知書を受け取った。私の2008年度保険料は50万円。上限の50万円を超過している分は免除されている。3月までの私学共済短期掛金は月額1万9012円。75歳になった途端に、強制的に新しい制度に移行させられ、保険料は社会保険庁の老齢基礎年金から天引きされる。年金生活者にとっては大変な減額となる。

親が子を殺し、子が親を殺し、人が無差別に人を殺している。中学生がバスジャックをし、教育者が教育者の採用と昇進を縁故と金で動かしている。日本社会は狂っている。

このような日本社会の状況に、日本の有権者は昨年の参議院議員選挙で「ノー」と言った。自民・公明の与党と政府は有権者のこの声を衆議院での多数によって圧殺した。有権者の怒りは高まっている。いま総選挙をすれば、与党は間違いなく敗北する。だから、衆議院の解散・総選挙はできない。

2008年7月19日の『朝日新聞』朝刊で聖路加国際病院理事長の日野原重明さんは「自衛隊の維持費や駐留米軍への思いやり予算など軍事にかかる費用の一部を老人医療費に回してはいかがでしょうか。平和憲法を守るためにも、よいアイデアだと思います。」と書いている。私は日野原さんのこの提案に賛成である。

私は次の総選挙を「憲法9条をまもる内閣をつくる」選挙にしたいと願っている。自衛隊の行動が違憲だという判決が出ても、それは傍論だろうといって鼻であしらい、冷笑し、無視するような人物を日本国の内閣総理大臣や大臣・政府高官にしてはならない。

日本社会を狂わせているのは、金第一主義であり、理想の欠如である。

エッセイ 45 成年後見制度について

木村 英亮

ひとり暮らしの老人がセールスマンにリフォームなどをすすめられ、貯金を騙し取られてしまったことが報じられている。似たようなことはおそらく数 えきれないくらいあるのであろう。介護サービスも悪質な業者に手抜きされているおそれがある。子どもが親を施設に入れて財産をとってしまうこともおきているようである。普通の老人、あるいは老人でなくても被害者になりうる。

最近、170万人近い自分で権利を守れない認知症(痴呆、ぼけ)の高齢者のために、2000年に成年後見制度が導入されたことを、ボラ ンティア活動をしている友人から聞いて知った。『朝日新聞』(3月28日号)にはシニアルネサンス財団事務局長を務める河合和が、財団の紹介を書いている。それによれば、この財団はボランティアの市民後見人を養成し、成年後見制度をバックアップしているが、現在のところ利用者は少ない。

老人が増えると、社会全体として年金の負担が増大する。それだけでなく医療費なども増加する。いちばん困るのは認知症である。すべての患者に後見人をつけて、その権利を守らなければならない。

その前に、認知症を減らすことができないかと考えていると、書店で須貝佑一『ぼけの予防』(岩波新書、2005)という本を見つけた。それによると、認知症患者は、東京都では65歳以上の老人の4%程度のようである。その半分はアルツハイマー病でその他脳血管性痴呆などである。脳は使えば 認知的予備力が蓄えられ、知能より先に体が老化し認知症が起こる前に寿命が尽きる。ストレスをはじめ食習慣から運動不足までさまざまなことが認知症の原因 となる。知的好奇心をもち、適度の運動をおこない、暴飲暴食をしなければ、ぼけ老人になることはかなり防げるようである。

生涯学習の拡大は、ぼけ老人を増やさないためにも、もっともよい対策であろう。

in the final stage of your life (2) 〜Conditions for elderly〜

野津 志乃

People are living longer in Japan. There are now more than 10 million Japanese aged sixty-five and older. Recently, the number of such elderly people who live alone is sharply increasing. According to Basic Research on National Life in Japan 2005 which was done by the ministry of health, labour and welfare, we can see how it is increasing.Looking at 2003, the number of families which have an elderly person who is more than 65 years old and the number of families which are composed of people over 65 doubled over 10 years.

Year The number of families which have a elderly parson who is more than 65 years old % of such families among gross families The number of families which are composed of people over 65
1986 9,760,000 26.0% 9,760,000
1992 11,880,000 28.8% 3,660,000
2003 17,270,000 37.7% 7,230,000

Basic Research on National Life in Japan 2005

The average life expectancy is getting higher. According to a 1998 survey by the Ministry of Health and Welfare, the average life span of the Japanese is 77.19 years old for males and 83.82 for females. These latest figures represent the longest life expectancy in the world.

According to estimate by the national Institute of Population at the Ministry of health and Welfare, Japan’s population will peak in2007 at 127.78 million before starting to decline. By 2025, the population will drop to 120 million by 2050, and 67.4 million. The emergence of a lower birth rate and the oldest population will have an enormous effect in the 21st century.

With the oldest population in the world, Japan must decide how to care for elderly which is one of the biggest challenges of the 21st century. It is nearly impossible for each individual family to take care of their elderly by themselves. The number of nursing homes is also increasing.

We all have to support elderly people and have to be ready to face this issue. Society itself needs to change.

* You can see that information bellow

エッセイ 27 老兵は去るのみ

木村 英亮

老人になると口うるさくなるばかりでなく、他人の意見に注意を払わなくなりがちである。理想的な老人とは、いかなるものであろうか。

筒井康隆は、「老人は原則的にも理想的にも孤高の存在であるべきなんです。仕事仲間の若い連中だって、口うるさい老人よりは黙っている老人の方がなんとなく信用できるから、わからないことがあればあっちから訊いてきますよ」(『朝日』2000.9.18)と書いている。

老人と若者との関係は、世界政治における欧米とアジアというように置き換えてみても面白い。すなわち、欧米は、若いアジアに介入すべきではない。

アメリカは、人口では世界の5%を占めるに過ぎないが、地球上の二酸化炭素の4分の1を排出している。それにも拘らず温暖化防止のための二酸化炭素排出を規制する京都議定書を批准せず、「9.11」対策に眼を奪われ、わからずやの老人のような態度をとった。その結果、ハリケーン・カトリーナに復讐され、48万人が住み、その67%が黒人であるニューオーリーンズ市街の8割を水没させてしまった(瀬戸岡紘『アメリカ 理想と現実』、時潮社、2005、260ページ.)。アメリカの老化は、着実に進行し、傍らのラテンアメリカにおける影響力を失ない、世界でも孤立しつつある。イギリスのブレアの言動も驚くばかりであり、フランスも内部から崩れ始めている。これに対して、AALAの政治家の言動の水準には、欧米「先進国」の政治家よりはるかに高いものがある。

新しい力は着実に発展し広がり、いつの間にか古い力をしのぐ。徒然草は、それをうまく表現している。

「死は前よりしもきたらず、かねて後に迫れり。人皆死ある事を知りて、まつこと、しかも急ならざるに、覚えずして来る。沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるが如し」(155段)。