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鳩山由起夫首相の辞意表明に寄せて

中西 治

鳩山由起夫さんが 2010 年 6 月 2 日午前 10 時過ぎに首相を辞するとの意志を表明しました。合わせて、小沢一郎さんにも幹事長職を辞するようにと述べました。私はいずれも当然であると思います。これでやっと民主党は今夏の参議院議員選挙をたたかえるようになりました。なぜこうなったのでしょうか。

第一は鳩山さんは首相の器ではなかったのです。指導力がなかったのです。言葉に重みがなかったのです。

第二は普天間問題です。鳩山さんが本当に国外・県外移転を考えていたのならば、まず、沖縄に行き、沖縄県民と話し合い、ついで、米国に行き、オバマさんと直接話し合い、日本国民の強い意志を伝えるべきであったのです。それを外務大臣や防衛大臣にまかせ、辺野古への移転を認める日米外務・防衛担当者の共同声明を準備させるようでは最初から腰が引けていたのです。

第三はお金の問題とそれに対する対応です。

私はそれでも昨年の政権交代と今回の辞意表明を歓迎します。主権者が日本の政治の方向を決めるようになりました。私は主権者の一人として、これからも積極的に発言し、行動します。

日本の政治情勢について

中西 治

風は恐ろしい。当事者も予期しないような結果をもたらす。

2005 年 9 月 11 日の衆議院議員選挙では自由民主党に「郵政民営化」の風が吹いたが、2009 年 7 月 12 日の東京都議会議員選挙では民主党に「政権交代」の風が吹いた。

自民党は小泉さんのおかげで 2005 年の選挙において小選挙区で 219 人、比例区で 77 人、計 296 人 (61%: 括弧内の数値は全当選者中に占める割合。以下、同様) の衆議院議員を獲得し、それに胡座をかいて今日まで小泉・安倍・福田・麻生と 4 代の内閣が続いた。

逆風は 2007 年 7 月 29 日の参議院議員選挙から吹き始めていた。この選挙で民主党は選挙区で 40 人、比例区で 20 人、計 60 人 (50%) の議員を獲得し、自民党の選挙区 23 人、比例区 14 人、計 37 人 (30%) を大きく上回った。参議院で民主党が多数派になり、自民党が少数派に転落した。

自民党はこのときに反省し、政策を根本的に改めるべきであった。しかし、自民党はそれをせず、参議院で否決されたものを衆議院の多数を頼んで再可決し、従来の政策を推進してきた。信を国民に問うという方法もあったが、総選挙をしても、衆議院議員が増えることは望めず、減ることは確実なので、解散もできず、政権に食らいついてきた。その結果が今回の都議選である。

麻生さんもついに 2009 年 7 月 21 日に衆議院を解散し、8 月 18 日に総選挙を告示し、同月 30 日に投票を実施するという。いまの衆議院の任期はあと 2 か月弱、2009 年 9 月 10 日には機能を停止する。選挙を 10 日ほど早めたからといって、主導的に解散権を行使したことにはならない。「追い込まれ解散」「野垂れ死に解散」である。

今度の東京都議会議員選挙が次の衆議院議員選挙にどのような影響を与えるのであろうか。

まず、今回の選挙結果を見ておこう。都議の定数は 127 人、今回の選挙結果と前回、2005 年の選挙結果を比較すると、民主党は 35 から 54 (42%) と 19 議席増やし、自民党は 48 から 38 (29%) と 10 議席減らしている。公明党は 23 (18%) で前回と変わらず、共産党は 13 から 8 (6.2%) と 5 議席減り、ネットは 3 から 2 (1.5%) と 1 議席減り、諸派は 1 から 0 (0%) 、無所属は 4 から 2 (1.5%) と、合わせて 3 議席減らしている。

公明党は増減なく現状維持であり、民主党は自民・共産・ネット・諸派・無所属などの減った分、19 議席をそっくり増やしている。今回の選挙は民主党の一人勝ちである。

次に前々回の 2001 年 7 月の都議選とその直後の 2001 年 7 月 29 日の参議院議員選挙および前回の 2005 年 7 月の都議選とその後におこなわれた 2005 年 9 月の小泉郵政選挙を比較しよう。

2001 年の選挙についてみると、このときの都議選の当選者は自民党 53 人 (41%) 、公明党 23 人 (18%) 、民主党 22 人 (17%) 、共産党 15 人 (11%) 、ネット 6 人 (4.7%) 、諸派 1 人 (0.7%) 、無所属 7 人 (5.5%) であった。参議院選挙の当選者は選挙区と比例区を合わせて、自民党が 65 人 (54%) 、民主党が 26 人 (21%) 、公明党が 13 人 (10%) 、共産党が 5 人 (4.2%) 、自由党が 6 人 (5%) 、社民党が 3 人 (2.5%) 、保守党が 1 人 (0.8%) であった。

2001 年のこの二つの選挙結果を比較すると、都民と国民はほぼ同じ時期にほぼ同じ順序でそれぞれの政党を支持していることが分かる。つまり、都議選の結果から次の国政選挙の結果を予測することは可能である。ただし、自民党や民主党のような大政党は当選者の割合が都議選よりも参議院選挙の方が多くなっているが、公明党や共産党の場合は減っている。参議院選挙の制度は大政党に有利である。

2005 年の選挙についてみると、当選者は都議選では自民党が 48 人 (36%) 、民主党が 35 人 (27%) 、公明党が 23 人 (18%) 、共産党が 13 人 (10%) であるが、定数 480 人の衆議院選では小選挙区と比例区を合わせて自民党が 296 人 (61%) 、民主党が 113 人 (23%) 、公明党が 31 人 (6%) 、共産党が 9 人 (1.8%) 、社民党が 7 人 (1.4%) 、国民新党が 4 人 (0.8%) 、新党日本が 1 人 (0.2%) 、新党大地が 1 人 (0.2%) 、その他が 18 人 (3.7%) であった。小選挙区を中心とする衆議院選挙では大政党で、しかも、そのときに風が吹いている政党に大変有利になる。

以上のことから、次の総選挙では民主党の勝利が予想される。

自民党は小泉改革以来、衆議院での多数を背景に、日本の雇用制度・教育制度・医療制度・年金制度を変え、国民の生活を悪くした。何もかもが金で計られるぎすぎすした社会になった。一日に 100 人近くの人が自ら命を絶たざるを得ない社会は異常である。自衛隊の海外派遣の恒常化も人々に戦争の不安を感じさせている。

変化を求める声が高まっている。「変革の風」が吹いている。日本も変革の時代に入った。

福田康夫さんの辞任表明について

中西 治

昨年、2007 年 9 月 12 日午後 2 時に安倍さんが辞任を表明しました。「なんとも無責任な人です。日本国首相の地位をなんと思っているのでしょうか。」と私は書きました。

今日、2008 年 9 月 1 日午後 9 時 30 分に福田さんが辞任表明をしました。またかという感じです。自民党の末期症状です。

福田さんの表面的な理由は、安倍さんのように国会が開かれ、施政方針演説をしたあと野党の意見を聞かないで辞任するよりも、国会が開かれる前に辞任した方が国民と国会に迷惑をかけないですむ、ということのようです。

本当の理由は、1 か月前の 8 月 1 日に内閣を改造したのに、内閣の支持率が上がらず、国会を乗り切ることも、国会を解散することもできず、進退窮まった、というところでしょう。

私は安倍さんや麻生さんより福田さんが好きです。「自分自身を客観的に見ることができる」という福田さんの言葉は、その通りでしょう。しかし、福田さんは内閣総理大臣としての資質と力量をもっていなかったようです。

さあ、自民党はどう出るのでしょうか。小泉さんをもう一度引っ張り出すか、麻生さんでいくか、それとも、加藤紘一・元幹事長のような人を担ぐか。かつての自民党には田中角栄でだめなら、三木武夫でという知恵と度胸がありました。いまは、どうでしょうか。

いずれにしても、自民党は政策を抜本的に転換する必要があります。そうでなければ、元の木阿弥です。

ここで自民党は野に下り、政権を民主党に渡すというのも一つの手ですが、権力亡者の集まりである自民党は、そのようなことができるでしょうか。

誰が首相になろうと、衆議院の解散と総選挙です。いよいよ私たち主権者の出番です。 21 世紀の日本の政治の枠組みを作る重要な選挙です。

私は積極的に発言し、行動します。

日本政界再編劇第一幕、上演中

中西 治

2007年日本政界再編劇第一幕コメディー(喜劇)「小沢代表辞任申し出の場」は上演中です。

事実は小説よりも奇なりと言いますが、事実は芝居よりも面白いです。

主役は小沢一郎さん、端役は福田康夫さんです。

小沢さんは福田さんと合意した民主党と自民党との大連立を民主党幹部が拒否したからと言って、2007年11月4日に民主党代表を辞めると言いだしました。

またかという感じですが、民主党指導部は必死になって小沢さんの慰留に努めています。どの人も小沢さんに代わって代表となり、迫りくる総選挙で勝つ自信がないのです。

民主党幹部が恐れているもう一つは、小沢さんが代表を辞め、何人かの国会議員、とくに参議院議員を伴って離党し、自民党に戻るか、新党を結成して 自民党と連立を組むことです。そうなると、自民党が衆参両院で多数派となり、民主党は両院で少数派となる可能性があります。元の木阿弥です。

はたして何人が小沢さんと行動をともにするのでしょうか。小沢さんは副総理格で入閣できるでしょうが、他に何人が大臣になれるのでしょうか。自民 党が欲しいのは参議院議員です。衆議院議員は有り余っています。それに間もなく選挙です。民主党から衆議院議員が移ってきたら、自民党の候補者調整はいっ そう難しくなるでしょう。ありがた迷惑です。

このような話に民主党の何人がのるのでしょうか。小沢さんは辞任という大きな観測気球をあげ、党内外の反応を見ています。まだ辞意を撤回しようか否かと迷っています。

福田さんは例の鳩が豆鉄砲を食らったような表情で「びっくりした、びっくりした、びっくりした」と短いせりふを三回繰り返しました。心なしかほく そ笑んでいるようでした。私も笑ってしまいました。福田さんは大連立構想について「あうんの呼吸で」と言いました。小沢さんの辞意表明は福田さんへの謝意 表明です。ここまでは短い出番ですが、端役が主役をくっています。

小沢さんも福田さんもともに大連立を望んでいること、外国に自衛隊を出したいことがはっきりしました。違いはどういう条件で出すのかです。兄たりがたく、弟たりがたしです。

外国に軍隊を送るとき、最初は人を助けに行くとか、不正をただすためと言います。さあ、これから外国に人を殺しに行くぞと言ったら、賛成する人はいません。外国への軍隊の派遣は何と理屈をつけても人と人が殺し合う戦争になるのです。

再編劇第一幕はまだ続いています。

9条を守る人を首相に!

中西 治

日本政界の再編劇が始まりました。

まだ幕は開いていません。

プレリュード(前奏曲)が奏でられました。

2007年11月2日に自民党の福田総裁は民主党の小沢代表と会談し、両党の連立に向けての話し合いを始めるように提案しました。小沢さんは党に持ち帰ったあと、これを断りました。

参議院議員選挙で大敗し、参議院で少数派に転落した自民党は、政策を実行するために、選挙で大勝し、多数派となった民主党に助けを求めるより他に方法がないのです。

ここまでは定石です。福田さんにまず石を置かせました。小沢さんはこれを止める石を置きました。さあ、これからです。

福田さんは次へ進むための儀式を終え、インド洋での給油を再開するために具体的な行動に入ります。給油を再開しないという手もあるのですが、福田さんにその勇気はないでしょう。福田さんはまず今国会の会期を延長します。その後に幾つかのシナリオがあります。

一つは参議院で否決されたときに、小泉さんの郵政民営化のひそみにならって、衆議院を解散し、総選挙に打って出ることです。柳の下で二匹目の泥鰌を探します。

もう一つは衆議院で三分の二以上の多数によって再議決し、給油再開法を可決したあとで解散・総選挙をすることです。

いずれにしても、安全保障問題を争点として、給油をしないと日米関係が悪くなると言って危機意識を煽ることでしょう。

さらにもう一つは国会の会期終了後に内閣を改造し、来年の解散・総選挙に備えることです。

いまのところ給油再開の福田さんか、国連の決議があれば自衛隊をアフガニスタンに送り出すという小沢さんか、二つに一つの選択です。

私はもう一つの選択肢があっても良いと思っています。

それは日本国憲法第9条を守り、自衛隊を国外に出さない人を日本国首相にすることです。このような人が多数いる国会議員の中にいないわけはないと思っています。

いよいよ安全保障問題をめぐって政界再編劇の幕が上がります。

参議院議員選挙結果に寄せて

中西 治

2007年7月29日の参議院議員選挙の結果が明らかになりました。

民主党が圧勝し、自民党が大敗を喫し、安倍内閣は瀕死の重傷を負いました。

民主党は改選前の32議席から60議席に増え、非改選を加えて109議席となり、参議院の第一党となりました。自民党は改選前の64議席から37議席に減り、非改選を加えても83議席にとどまり、第二党に転落しました。公明党は改選前の12議席から9議席に減り、非改選を加えて20議席です。共産党は改選前の5議席から3議席に減り、非改選を加えて7議席です。社民党は改選前の3議席から2議席に減り、非改選を加えて5議席です。民主党の一人勝ちです。

与党は自民党と公明党を加えても103議席にしかならず、野党が参議院の過半数を制しました。安倍さんは最初の国政選挙で大負けに負けたにもかかわず続投すると言っています。安倍さんは今回の選挙結果が安倍さんの政治に対する主権者の厳しい批判であることが分かっていないようです。

日本の政治はいま重大な変わり目にきています。

2001年の参議院選挙のときに自民党は比例代表で2110万票獲得していました。その他にのちに自民党に合流した保守党が120万票、合わせて2230万票ほどでした。それが2004年には1670万票、今回も1650万票ほどです。これに対して民主党は2001年に890万票、のちに民主党に合流した自由党が420万票、合わせて1310万票ほどであったのが、2004年には2110万票、今回は2320万票ほどです。この6年間に自民党は2200万政党から1600万政党に、民主党は1300万政党から2300万政党になり、その立場が逆転しました。

公明党はそれぞれ810万票、860万票、770万票ほどです。共産党は430万票、430万票、440万票ほどです。社民党は360万票、290万票、260万票ほどです。

日本の政治はこれからどのようになるのでしょうか。 いくつかのシナリオが考えられます。

第一は安倍さんが党と政府の人事を手直ししながら、内閣の延命を図る場合です。今回の参議院の構成は少なくとも2010年まで続きます。戦後レジームからの脱却をめざす安倍さんのこれまでのような強引な政治手法はもはや通用しないでしょう。野党と妥協するのか、それとも、起死回生を求めて衆議院を解散して強行突破を図るのか。

第二は安倍さんが新しい連立の枠組みを求めて野党に手をさしのべる場合です。選挙で大勝した民主党はそう簡単に連立に応じないでしょうし、民主党を飛び出して人気のない自民党と手を組む政治家もいないでしょう。

私は第一の場合も第二の場合も現在の安倍さんにはそのような力はないと考えています。1960年安保のときに四面楚歌となり、政権を投げ出した岸信介さんが思い起こされます。

第三は安倍さんに替わって新しい指導者が自民党に登場し、第一のシナリオか、第二のシナリオを実行する場合です。これはつぎの衆議院議員選挙と2010年の参議院選挙を経て日本の政界の再編成をもたらすでしょう。その核となるのは憲法9条の改定問題です。

日本の政治はいよいよ20世紀システムから21世紀システムへと向かい始めました。今回の参議院選挙はその出発点でした。