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鳩山由起夫首相の辞意表明に寄せて

中西 治

鳩山由起夫さんが 2010 年 6 月 2 日午前 10 時過ぎに首相を辞するとの意志を表明しました。合わせて、小沢一郎さんにも幹事長職を辞するようにと述べました。私はいずれも当然であると思います。これでやっと民主党は今夏の参議院議員選挙をたたかえるようになりました。なぜこうなったのでしょうか。

第一は鳩山さんは首相の器ではなかったのです。指導力がなかったのです。言葉に重みがなかったのです。

第二は普天間問題です。鳩山さんが本当に国外・県外移転を考えていたのならば、まず、沖縄に行き、沖縄県民と話し合い、ついで、米国に行き、オバマさんと直接話し合い、日本国民の強い意志を伝えるべきであったのです。それを外務大臣や防衛大臣にまかせ、辺野古への移転を認める日米外務・防衛担当者の共同声明を準備させるようでは最初から腰が引けていたのです。

第三はお金の問題とそれに対する対応です。

私はそれでも昨年の政権交代と今回の辞意表明を歓迎します。主権者が日本の政治の方向を決めるようになりました。私は主権者の一人として、これからも積極的に発言し、行動します。

最近の日本の政治情勢について

中西 治

昨年 8 月の総選挙で民主党が大勝し、自民党から民主党への政権交代が実現した。国民の多くはこれを歓迎した。最近の世論調査によると、鳩山内閣の支持率は低下し、不支持率が支持率を上回った。

なぜこのようなことになったのか。

鳩山さんの指導力が不足しているからである。普天間問題しかり、後期高齢者医療問題しかりである。加えて、鳩山さんと小沢さんの金銭問題が国民の鳩山内閣離れを促している。このまま行くと、夏の参議院議員選挙で民主党は勝てない。小沢さんでは選挙はできない。小沢さんは参議院議員選挙までに幹事長を辞めるであろう。

自民党は鳩山さんと小沢さんの金銭問題に的を絞り、二人を追い落とし、鳩山内閣を退陣に追い込もうとしている。このところの国会での自民党幹部による鳩山・小沢批判は異常である。かつて政府・与党で指導的な地位にあった人々が次々と国会で、鳩山・小沢非難を繰り返し、罵声を浴びせている。非難している人と非難されている人はかつて同僚であった。恥ずかしい。このことが分からないようである。情けない。

自民党はこのようなやり方では参議院選挙に勝てない。国民はとっくに自民党と民主党の指導者がもともと保守の同僚であり、ともに金権政治にまみれた人々であることを知っている。それでも自民党よりはまだましだと考えて、民主党に日本の政治を託した。いま自民党が為すべきは、これまでの自民党の政策の二番煎じではなく、民主党以上に革新的な新しい政策を提示することである。自民党はこれができない。自民党は鳩山・小沢の民主党とたたかうことを望んでいる。麻生政権時の民主党と同じである。民主党は敵失によって勝った。自民党の狙いも同じである。次の参議院議員選挙で自民党が大敗すれば、自民党の自壊現象はいっそう進む。

現在は 20 世紀後半の政治体制から 21 世紀初頭の新しい政治体制への移行期である。

変革はすでに始まっている。このチャンスを潰し、後戻りさせてはならない。新しい人、新しい考え、新しい展望が開け始めている。政治には善意と崇高な理念が必要である。不屈で、忍耐強く、決定的なときに果断に行動する実行力が必要である。

鳩山さんが普天間問題でそれを発揮することを期待している。そうすれば、鳩山さんは歴史に残る政治家となるであろう。そうでなければ、民主党は鳩山さんでは参議院議員選挙をたたかえなくなるであろう。

歴史はジグザグの道を歩みながら進んでいく。

「緊急開催! NPOと政党の政策討論会 ―市民パワーと民主党の懇談会―」に参加して

中西 治

昨日、2009 年 7 月 14 日に東京永田町の民主党本部で開かれた「緊急開催! NPO と政党の政策討論会 ―市民パワーと民主党の懇談会―」に参加しました。

民主党の主催ということになっていましたが、実際は特定非営利活動法人 NPO 事業サポートセンターとの共催のようでした。私は後者と連携している NPO 埼玉ネットからメールで連絡を受け、出席しました。

会場は民主党本部ホールといっても、間借りしている、それほど大きくないビルの 5 階でした。参加者は 200 人の予定でしたが、300 人以上が参加し、最初に挨拶した岡田克也幹事長が床が落ちないかと心配するほどでした。

会をリードしたのは民主党政策調査会の人々でした。

司会は京都の参議院議員、福山哲郎同会会長代理、報告者は比例区の参議院議員、直嶋正行会長、比例東京ブロックの衆議院議員、長妻昭会長代理、四国徳島の衆議院議員、仙石由人・市民政策議員懇談会会長 (横路衆議院副議長) 代行でした。

民主党は小選挙区制がもたらした政党です。小選挙区制が導入された 1996 年に旧「民主党」が結成され、1998 年に新「民主党」に発展し、そこに 2003 年に自由党が合流してできたのが今日の「民主党」です。自民党に対抗して選挙を闘うための「反自民連合戦線」です。

昨日発言した岡田さんは元自民党、直嶋さんは元民社党、仙石さんは元社会党、長妻さんは元新党さきがけ、福山さんは旧民主党です。結党以来十有余年にしてやっと一つの政党になり、新しい人材が育ちつつある感じです。

NPO から 7 人が貧困、福祉、教育、環境、国際協力、コミュニティなどについて報告し、毎週、2.5 人の子供が親によって殺されているという深刻な事実が紹介されました。民主党は「市民を主役とする社会」をめざしており、NPO と政党との間には一定の緊張関係が必要であると指摘していました。私もそう思います。

私は日本国憲法、とくに、第 9 条に対する民主党の政策を尋ね、「すくなくともこれから 4 年間、憲法改定、とくに、9 条を変えないこと」を来るべき総選挙の公約に入れるよう要望しました。

NPO が日本社会で果たしている大きな役割と私たちの研究所がこれから果たすべき役割について改めて考えました。有意義な会合でした。

どこに問題があるのか ーガソリン税などの暫定税率復活法の再可決によせてー

中西 治

2008 年 4 月 30 日、日本国の衆議院本会議は、参議院で審議中の税制関連の 5 法案を、衆議院が本年 2 月 29 日に可決したにもかかわらず、参議院がまだ結論を出していないのを、「参議院が否決したものとみなす」と決定した。これは日本国憲法第 59 条④の「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて 60 日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」に基づいている。

そのうえで、衆議院本会議は、ガソリン税などの暫定税率を復活させる税制関連法案を、民主党、社民党、国民新党が欠席し、共産党が出席するなか、賛成 337 、反対 12 で再可決した。これは憲法第 59 条②の「衆議院が可決し、参議院がこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数でふたたび可決したときは、法律となる。」に基づいている。 かくして、税率は 5 月 1 日から引き上げられる。

法的に問題はない。

どこに問題があるのか。与党の政治的対応である。

自民党と公明党の与党は、昨年の参議院議員選挙で敗北し、参議院の多数派から少数派に転落したことを率直に認めるべきである。参議院が駄目だというものは駄目である。それが衆参二院制のルールである。衆議院の三分の二以上での再可決は緊急避難行為である。それを繰り返すのは参議院の存在の否定である。

国や地方公共団体の歳入が減るというならば、減った範囲でやるべきである。どの家庭でも収入が減れば、減った範囲で生活を立て直すのが常識である。それをしないと、一家は路頭に迷う。

与党の多くの議員は、衆議院で再議決に賛成しながら、先日の山口県第 2 区衆議院議員補欠選挙の結果を、「明日は我が身」と考えていたであろう。民主党と社民党などの野党の議員は、再議決の場に出席し、堂々と論陣を張り、再議決に逡巡している与党の議員を味方につける努力をすべきであった。

現在の政治状況は末期的である。正常な判断力を失っている。これを正すのは私たち主権者である。

福田康夫内閣の発足にあたって

中西 治

自民党の「総裁選挙劇」が終わり、福田康夫さんが総裁となりました。いま自民党員が求めているのは小泉・安倍型の威勢のよい麻生さんではなく、おっとり型のユーモアがあるような、ないような福田さんです。小泉・安倍型の政治家はもう懲り懲りでしょう。おかげで参議院議員選挙で惨敗しました。それにしては麻生さんはよくとりました。

私もどちらかと問われれば、福田さんです。野党とすれば、福田さんよりも麻生さんの方がたたかいやすいでしょう。福田さんと麻生さんの二人のうちのどちらかしか、自民党の総裁となれず、日本国の総理となれないのは寂しい限りです。自民党は、日本社会は、そんなに人材がいないのでしょうか。

今日の衆議院本会議の第一回投票で福田さんが338票、民主党の小沢一郎さんが117票、参議院本会議の決選投票で福田さんが106票、小沢さんが133票を獲得しました。憲法の規定で衆議院の議決が優先され、福田さんが内閣総理大臣に指名されました。

参議院で小沢さんが福田さんを27票上回ったことは与党にとって大きな衝撃です。改めて先の参議院議員選挙で失ったものの大きさを痛感しているでしょう。参議院で与党が過半数の支持を得ない限り、政治は一歩も進みません。

自民党の新しい執行体制はこのような状況を打開しようとするものです。幹事長の伊吹文明さんは国民新党の亀井静香さんの派閥を引き継いだ人です。総務会長の二階俊博さんはかつて宮沢内閣不信任案に賛成して自民党を離党した人で、小沢さんの側近でした。伊吹さんと二階さんの仕事は国民新党と民主党を自民党の味方にすることです。当面の課題はインド洋での海上自衛艦の給油問題で野党を味方につけることです。福田さんは民主党との大連立を考えているのではないでしょうか。私が福田さんなら考えます。

古賀誠さんを総裁直属の選挙対策委員長とし、来るべき衆議院議員選挙に備えています。与党は衆議院の先議事項である来年度の予算と関連法案を来年3月までに衆議院を通してから総選挙と考えているようですが、果たしてそれまで保つでしょうか。

新内閣の人事について言うべきことは何もありません。これが「背水の陣」でしょうか。安倍改造内閣は1か月もたなかったのです。ほとんど変わっていない新内閣は短命です。次の総選挙まで、いや、今国会限りかも知れません。この内閣では総選挙はたたかえないでしょう。福田さんはもっと思い切った、大胆な、斬新な内閣を組むべきでした。

どたばた劇の最後はあっけないものでした。何の見せ場もありません。すべて黄昏でした。

いまも福田さんの内閣総理大臣としての初の記者会見を聞きましたが、心に残る言葉はありませんでした。これが福田さんなのでしょう。

安倍さんの辞意表明によせて

中西 治

安倍さんが今日午後2時に首相の地位から辞任すると発表しました。なんとも無責任な人です。日本国首相の地位をなんと思っているのでしょうか。

首相の地位を預かるということは日本国の1億2700万人、すべての人の命を預かるということです。その中には自民党から共産党までの支持者、無党派の人々、おぎゃあと生まれた幼子から高齢者まで、すべての人が含まれています。

首相の地位はきわめて重いのです。

私は安倍さんが首相になったときに、この人には日本国首相になる資格がないと思いましたので、メーリングリストを使っての政治的意見の表明を止めようと思いました。朝鮮の核実験問題があったので、早々にこの誓いを断念しました。

先の参議院議員選挙で大敗したのに安倍さんが続投を宣言したとき、なんとも政治と選挙の分からない政治家がいるものだと思いました。いずれ四面楚歌となり、政権を投げ出すと思いました。その日が来ました。私はこの日を歓迎します。

自民党は9月14日に総裁選挙を告示し、19日に新しい総裁を選ぶといわれています。新しい首相はそう遠くない時期に衆議院を解散し、信を国民に問うことになるでしょう。

その主要な争点は海上自衛隊のインド洋での給油活動の継続の問題です。有権者は安全保障の問題で自己の意見を表明しなければなりません。

日本の将来にとってきわめて重要な意味をもつ選挙となります。いよいよ主権者の出番です。