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いかなる学問を創り出し、広めるのか

中西 治

私は子供の頃から歴史が好きであった。第二次大戦後、平和の思想、戦争反対の思想として共産主義に関心を持ち、大学でソヴェト研究を始めた。大学院で国際関係論を専攻し、とくに、ソヴェトと米国の関係を研究した。その後、大学で国際関係論を教え、大学院で国際社会論の研究指導をおこなった。

国際関係論は日本では第二次大戦後の新しい学問であった。それは一国の平和ではなく、世界の平和をめざした。それまでの国際政治学が国家間の関係を中心に論じたのに対して、国際関係論は国際関係を地理的関係、人種・民族関係、宗教的関係、経済関係、政治関係、文化関係、人間関係など多面的・総合的に研究した。それは新しい総合科学であった。地域研究において大きな成果を挙げた。

国際関係論が発展するとともに、研究が細分化され、緻密化されたが、大きな観点が失われ始めた。代わって登場したのが、ユニバーサル・ヒストリーのような「大きな歴史(ビッグ・ヒストリー)」である。それは137億年前のビッグバンによる宇宙の誕生から今日まで、さらに、地球の消滅、太陽の消滅、宇宙の消滅までを視野に入れた壮大な学問である。

私は1986年12月30日、満54歳の誕生日に国際地球宇宙平和研究所を設立した。地球の戦争が宇宙に拡大するのを阻止し、地球と宇宙の平和を確立することを目標とした。この研究所は2001年12月15日に特定非営利活動法人となり、2002年5月2日に特定非営利活動法人地球宇宙平和研究所として正式に発足した。2010年4月18日、この研究所の中にユニバーサル・ユニバーシティ・インターネットが設置され、これが2012年4月29日にユニバーサル・ユニバーシティーに改組され、同年6月10日に正式に開校した。

こうして地球一体化(グローバリゼーション)が急速に進み、宇宙一体化(コスモナイゼーション)が始まった21世紀にふさわしい新しい学問を創り出し、広めるための研究・教育組織ができた。特定非営利活動法人地球宇宙平和研究所の当面の課題は、研究と教育の質を高め、独創的な新しい業績を発表し、優れた人材を世に送り出すことである。

この間、私は2010年6月20日に脳梗塞を発症し、同年10月22日に妻を亡くした。2011年3月31日に妻に贈る書『ロシア革命・中国革命・9.11ーー宇宙地球史の中の20-21世紀ーー』を上梓した。これはユニバーサル・ヒストリーについての私の最初の書である。さらに2012年10月16日に株式会社中西節子記念会を設立し、2013年4月1日に同会内に宇宙大学と出版部を設けた。この会の目的は宇宙・地球・生命・人間の歴史を老若男女すべての人に普及し、人間が互いに助け合う組織を作ることである。

私は発病以来、名古屋と岐阜、中国の武漢と上海、九州、沖縄、四国などを旅した。私はこれらの土地とそこに住む人々に接し、自然の偉大さと人間の情を深く感じ、改めて、人間とは何か、新しく創り出さなければらない学問はいかなるものであるべきかを考えている。2013年6月9日から19日まで久しぶりにロシアのモスクワとサンクトペテルブルグを訪れ、ソヴェト体制崩壊後20年ほどの間にロシア社会がどのように変わったのかを見、同僚と語り合いたいと思っている。

私が創り出し、広めたいと考えている学問は「宇宙学」である。それは宇宙誕生以来の歴史を顧み、その将来を展望し、その中で人間がいかに生きるべきであるかを考える学問である。それは宇宙と地球の平和を維持することをめざす学問である。それは数学、物理学、天文学、地質学、生物学、遺伝学などの自然科学、哲学、歴史学、言語学、文学、芸術学などの人文科学、経済学、政治学、社会学などの社会科学などの総合科学である。それはいちじるしく発展した科学技術に対応する新しい高度な総合科学である。それは知恵と知識のギャップを埋めようとする学問である。

私の念頭につねにあるのは、私たちの研究所が設立100周年を迎える2101年12月15日に地球社会はどのようになっているのか、その中で私たちの研究所はどのような役割を果たしているのか、である。

第12回総会記念シンポジウムのご案内

事務局

下記の通り、第12回総会記念シンポジウムを開催致します。ご家族・友人・知人の方々にもお声をかけていただき、一人でも多くの皆様に足を運んでいただけたら幸いに存じます。参加費は無料です。

〈第12回総会記念シンポジウム〉 ー日越国交40周年記念ー
「ベトナムと私 ー女性の視点から」

日時:2013年6月2日(日)午後5時15分から午後6時35分まで

場所:かながわ県民センター711号室(横浜駅西口徒歩5分)
横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2 電話 045-312-1121

テーマ及び報告者
①「障害児教育」 馬場裕美子さん(NPOアジア・レインボー代表理事)
②「生活・文化」 トラン・ティ・トゥイさん(「さくら塗装」現地社長)
③「就職・結婚」 長谷部真理子さん(㈱JPG取締役役員)
④質疑応答

平野健一郎他編著『国際文化関係史研究』出版に寄せて

中西 治

平野健一郎さんが平野さんの指導を受けた古田和子さんたちとともに、2013年4月24日に東京大学出版会から『国際文化関係史研究』を出版しました。

私が平野さんと初めて会ったのは大学院生のときでした。当時、彼はまだ学部生でしたが、その後、大学院に進み、東京大学教授、早稲田大学教授を経て現在、国立公文書館アジア歴史資料センター長を務めています。

「国際文化関係史」は第二次大戦後に日本で生まれた国際関係論のなかから平野さんがつくりだした新しい研究分野です。

この本はその最初の本格的な研究論文集です。平野さんがいかに優れた研究者であり、いかに良き教育者であるかがよく分かります。

この書は「戦後の日本で隆盛を見た国際関係論」が「20世紀の終焉とともにその闊達さを減少させ、視野を狭めてきている」ことに対する平野さんの挑戦です。

私も20世紀末からそのように感じ、新しい研究分野を探求してきました。

その到達点が「宇宙・地球・生命・人間の暦史(ユニバーサル・ヒストリー、ビッグ・ヒストリー)」であり、「宇宙学」です。

その研究・教育組織が地球宇宙平和研究所であり、ユニバ-サル・ユニバーシティーであり、宇宙大学です。

私もそろそろ『宇宙学研究(仮称)』の編纂に取り組もうと思っています。

宇宙学は宇宙の森羅万象、人間のすべてが研究対象です。だれもが学び、書けます。

志を同じくする同僚の参画を求めます。

良き日々を!

2013年5月12日 母の日に

憲法記念日に寄せて

中西 治

本日、5月3日は66年前の1947 (昭和22) 年5月3日に『日本国憲法』が施行された日である。

この憲法の基本理念は「国民主権」と「戦争放棄」と「基本的人権の尊重」である。

とくに重要なのは「戦争を国際紛争を解決する手段として永久に放棄し、陸海空軍その他の戦力を保持せず、国の交戦権を認めない」と規定した第9条である。

どのように困難であろうと、時間がかかろうと、紛争は平和的に話し合いで解決しなければならない。このための努力も大変であるが、双方の国民が戦争によって失うものの大きさに比べれば物の数ではない。戦争によって一時的に儲けるのは軍需産業ぐらいである。これも最後は戦禍にあう。

「いまの憲法は占領軍によってつくられ、日本に押しつけられた。」と主張する人がいる。確かに、そういう面はある。

にもかかわず、当時の日本国民の多くがこの憲法を歓迎したのは、悲惨な戦争を体験し、二度とふたたび戦争をしてはならないと考えたからであり、天皇主権の大日本帝国憲法よりはるかに良かったからである。

日本国憲法の基礎には明治の自由民権運動や大正デモクラシーなどの日本の民主主義の伝統と米国の独立宣言、フランスの人権宣言、さらにはドイツの哲学者カントが提唱した「永遠の平和のためには常備軍をなくさなければならない」という思想がある。

日本国憲法は恒久平和を願う世界の多くの人々によってつくりだされた人類共通の財産である。この憲法のもとで日本は本格的に外国に軍隊を送らず、外国で一人の人間も殺さず、平和を維持したのである。これは日本国民のたゆまぬ努力の結果である。もし、第9条が改定され、本格的に軍隊をつくり、公然と戦争をするようになったら、日本はふたたび滅びるであろう。

絶対に戦争をしてはならない。これが明治以降の歴史の教訓である。

2013年5月3日