月別アーカイブ: 2011年4月

宙(そら)読む月日 (1) ゲイツ、クリスチャンと出会う

のぶおパレットつじむら

連載に当たって

僕が初めてビッグ・ヒストリー big history (大きな歴史)を紹介してから4年が経ちました。その間、ビッグ・ヒストリーも大きな展開を見せています。そのことについて、初めは読み切りの形でご紹介しようと思っていたのですが、こうして下書きの準備をしてるだけでも、なにやら分量が増えてしまいます。

そこで、これを機に「宙(そら)読む月日」と題した連載を始めることにしました。予定としては、初めはビッグ・ヒストリーの近年の動きについて、次いで中西治さんの新著について、その後は広い意味で宇宙と人間の歴史にまつわる事柄について、筆を(キーを?)進めていくつもりです。ここでは、のぶおパレットつじむらを筆名として、伸び伸びと不定期でつづっていこうと思います。

宙読む月日
(1) ゲイツ、クリスチャンと出会う

物語はビル・ゲイツ Bill Gates さんとデイヴィッド・クリスチャン David Christian さんの出会いから始まります。

クリスチャンさんは、ビッグ・ヒストリーの講義を発案した歴史家です。彼の問題意識は、なぜわたしたちは断片となった歴史の物語ばかりを見、歴史の全体をつかもうとしないのか、ということでした。歴史の全体とは、わたしたち人間が知りうる全ての歴史、つまりビッグバンから現在の人間社会の歴史にいたるまでの歴史です。それを現代の科学にもとづき、ひとつにまとめてみる、というのが、彼が名づけたところのビッグ・ヒストリーなのでした。(*1)

ゲイツさんは1975年、マイクロソフト社 Microsoft を創業し、2008年に常勤を退いてからは、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団 Bill and Melinda Gates Foundation を通して、教育と地球規模の健康問題に取り組んでいました。そんな時、クリスチャンさんの講義を収録したDVDを見たのです。

これは『ビッグ・ヒストリー:ビッグバン、地球の生命、人間の興隆』という8枚組のDVDで、各30分の講義が48回分、つまり、やろうと思えば24時間で(!)137億年前から現在までの歴史を速習できる(笑)しろものとなっています。(*2)

僕も「受講」し始めたばかりですが、今まで解けずじまいだった疑問が解消されたりして、なかなか楽しいものです。日本で言えば、放送大学の講義をイメージしてもらうといいかもしれません。講義はもちろん英語で、英語話者向けの商品であるため日本語字幕もありませんが、生涯学習のための教材ということで、話は簡明で、発音も聞き取りやすいです。これにトランスクリプト(講義を文字起こししたもの)も併せて購入すれば、学習ははかどることでしょう。

これらの講義は、ゲイツさんの歴史への見方を変えました。ゲイツさんは、科学の多種多様な分野を理解するための背景となる、幅広いものの見方を得たと感じました。もし、すべての生徒がビッグ・ヒストリーを履修したとしたら、勉強はわくわく楽しいものとなり、理科のようなとっつきにくい教科を学ぶとっかかりができ、生徒の批判的思考力を伸ばすのではないか。そう考えた彼は、未だ見ぬクリスチャンさんと連絡をとり、面会を果たします。(*3)

こうして、ゲイツさんとクリスチャンさんが共同創始者となり、高校生にビッグ・ヒストリーを教えるビッグ・ヒストリー・プロジェクト Big History Project が始まるのです。(つづく)

のぶおパレットつじむら(辻村伸雄)


(*1) 辻村伸雄「大きな歴史:歴史研究のコスモナイゼーション」『地球宇宙平和研究所所報』第2号(2007年)。

(*2) David Christian, Big History: The Big Bang, Life on Earth, and the Rise of Humanity, 8DVDs (The Great Courses, The Teaching Company, 2008).

(*3) ビル・ゲイツ公式サイト THE GATES NOTE: Special Edition, viewed on Apr. 23, 2011.
サイト中の動画「ビル、ビッグ・ヒストリーにビッグな献身」(2分11秒)では、ゲイツがビッグ・ヒストリーとの出会いと、ビッグ・ヒストリー・プロジェクトへと至った思いを語っている。
“Bill: A Big Commitment to Big History” posted on Mar. 1, 2011.

国際ビッグ・ヒストリー学会について

中西 治

先日、私たちの研究所の若い同僚、辻村伸雄さんからメールをいただき、米国で「ビッグ・ヒストリー(大きな歴史)」についての国際学会を設立する準備が進んでいることを知りました。

私もそろそろ日本でこの種の学会を創るべき時がきたと思っていましたが、学会設立には大変なエネルギーが必要ですので、このさい、日本でなどと言っていないで、国際学会に入れて頂くことにしました。早速、入会の手続きをしました。この学会については辻村さんがこのメーリングリストを使って直接詳しく紹介することになっています。辻村さん、よろしく。

まだ朝晩底冷えしますが、春の良い日々を!

4/10 高円寺反原発デモに参加して

植木 竜司

4月10日、東京都杉並区高円寺にて行われた反原発デモに行ってきました。

私はもう少し早く生まれていれば、絶対学生運動に参加していたタイプだと思うんですが、実際このような集会&デモへの参加は初めてでした。

14時前に高円寺中央公園に行ったところ、もうすでにたくさんの人がいました。警察もたくさんいました。14時より集会が始まり、主催者挨拶や、アピールが行われました。そのなかには、雨宮処凛さんや鈴木邦男さんもいました。また反・反原発の人の話もありました。鈴木邦男さんの「人は、右翼、左翼にわかれるんじゃない。話し合いができる人、できない人にわかれるんだ。」(趣旨)という発言が印象的でした。その後、バンドによる演奏があり、デモとなりました。

参加している人たちは、20代・30代が多かったです。子ども連れや、外国人と思われる方も結構いました。主催者発表は1万5千人とのこと。本当にそんなにいたかは怪しいですが、それにしてもすごい人数でした。

私の個人的な印象としては、デモ自体、節度あるというか、まったりした感じでした(デモ隊自体非常に長く、私が見たのはほんの一部ですので、そうではないところもあったかもしれません)。

私は2~3百メートルだけ参加し、途中から脇に外れて、デモを見ることにしました。みんな思い思いのプラカードを持ったり、仮装などをしていて面白かったです。プラカードや替え歌、「うまいな〜」と思うのが多かったですね。「もういいかな」と思い途中で帰ったんですが、思いきって足を運んでみてよかったです。

原発についてですが、人口密度が高く、地震が多い日本では危険すぎるものであることは当然であり、こんな廃棄の仕方もわからないものを推進してきた政府や行政、関係企業、学者などの無責任さはひどいと思います。また今回の震災→事故をきっかけに世界中で反対運動が盛り上がっているにも関わらず、渦中の日本でこれだけ盛り上がっていないのは異常な状況だと考えます。何はともあれ、いろいろな細かい考え方の違いは横に置いておいても、今、意思表示をしなければならないだろうと思い、参加しました。

確かに我々の生活は一部原発に依存していますが、それはどこかの国の借金漬けの国家予算のようなものです。最初から収入におさまる範囲で支出を考えなくてはいけないのに、日本は発電範囲を越える社会/経済システムを作ってしまった、そのことに問題があります。原発は国債と同じです。今いる我々はもちろん、未来の世代まで背負わなければならない負債です。事故が起こらなくても原発は、運転・メンテ・廃棄・閉鎖などすべての行程で、作業者の生命を重大な危険にさらし、近隣の人々の生命を重大な危険にさらします。つまり「人の不幸」の上に成り立つシステムということになります。そのため、原発は「あってはならない発電方法」なのであり、最初から選択肢から外すべきなのです。

反原発のなかにも、明日にでもすべての原発を止めるのか、徐々に移行して全廃に持っていくのかという議論もありますが、いずれにしろ代替の電力供給/需要体制とともに、社会システム/経済システムも考えていかねばならないと思います。

私は太陽光発電やスマートグリッドに興味があり、資料を集めたりしているのですが、今回のことをきっかけに、もっともっと自分自身勉強し、考えていきたいと思いました。