月別アーカイブ: 2009年7月

メーリングリストおよび事務局宛メールの一時停止

事務局

本研究所の利用するサーバーで、業者によるメンテナンスが行われます。そのため、以下の期間メーリングリストおよび事務局宛てに、メールが送信できなくなります。ご注意ください。

サーバ提供業者によるメールサービスのメンテナンス
期間: 2009年8月1日(土) 14時 – 8月2日(日) 2時

なお、この間もウェブサイトは通常通り稼働しています。よろしくお願いいたします。

「地球社会論研究部会」研究会のお知らせ

中西 治

「グローバル・アカデミー」も順調に滑り出し、『ニューズレター』第 18 号も完成し、間もなくお手元に届きます。やっと、「地球社会論研究部会」の出番が来ました。2009 年 8 月 2 日 (日) 午後 2 時〜 4 時に横浜洋光台の研究所事務所で下記のように研究会を開催します。遠いところで申し訳ございませんが、ぜひともお出でいただきたく、ご案内申し上げます。

「地球社会論研究部会」研究会

日時: 2009 年 8 月 2 日 (日) 午後 2 時〜 4 時
場所: 特定非営利活動法人  地球宇宙平和研究所事務所
横浜市磯子区洋光台 1-9-3 (JR 根岸線洋光台駅下車徒歩 10 分)
報告者: 中西  治
テーマ:「現代とはいかなる時代か」

現代はいつ始まったのか、工業革命・運輸通信情報革命などの科学技術革命の持つ意味、アメリカ・フランス・ロシア・中国・ベトナム・キューバなどの革命の位置づけ、日本社会を含む最近の地球社会の状況などについて論じます。

参加費: 無料、会員・非会員を問わず自由にご参加下さい。

終了後、各人が飲みたいものと食べたいものを一人分持ち寄って、いっしょに簡単な暑気払いをします。気楽にどうぞ。

第2回グローバル・アカデミーに参加して

中西 治

2009 年 7 月 19 日に第 2 回グローバル・アカデミーに参加しました。

まず、片山博文さんの報告「フレデリック・ソディのエコロジー経済学」について。

ソディといっても知らない人が多いでしょう。私も知りませんでした。ソディは 1877 年生まれ。 1898 年にオックスフォード大学を卒業、化学を専攻。放射性元素を研究。 1919 年から同大学化学教授、1921 年にノーベル化学賞受賞、1956 年に死去。私が大学を卒業した年に亡くなっています。私より二世代上です。しかも、自然科学者。知らなくて当然でしょう。

この人が 1912 年に、もしもエネルギーの供給が止まったならば、現代の文明社会は突然終局を迎えるであろう。この危機を逃れる可能な道は原子核転換による問題の解決しかないであろう、と言いました。そして、さらに、1933 年には、もし原子エネルギーが現在の経済状況に組み入れられれば、科学文明の行き過ぎを意味する、すなわち単に破壊への引き金を引くものではなく、即時絶滅を意味する、と言いました。何という先見の明でしょうか。

研究者はこのくらいの先見性がなければなりません。

私はできるだけ異なる学問の専門家の話を聴くようにしています。とくに、自然科学者の。社会科学者が思いもつかない発想を学ぶことができます。

つぎに、林亮さんの報告「国際関係論は西欧近代を如何に超克するか」について。

私たち日本人は明治までは主として中国・朝鮮、それに少しオランダに学び、明治以降はヨーロッパに学び、第二次大戦後はアメリカ・ソヴェトに学びました。国際関係論はアメリカからの輸入の学問でした。私はそれにソヴェトと中国の研究成果を入れる努力をしました。そして、到達したのが宇宙地球史であり、地球宇宙平和学です。

国際 (International) は 20 世紀の概念です。 21 世紀は地球 (Global) と宇宙 (Universe: Cosmos) の時代です。核エネルギーと人類の出合いは不幸なものでした。核兵器の廃絶とこのエネルギーの平和利用は人類共通の課題です。私たちの研究所は、この時代にふさわしい新しい学問をつくりだすとともに、人類共通の課題を解決する研究所です。

片山さんと林さんの二つの報告はともにそれをめざしたものでした。新しい知見を得ました。ありがとうございます。

第2回グローバル・アカデミー報告

岩木 秀樹

2009 年 7 月 19 日 (日) 13:40 から 16:40 まで、横浜市青葉区区民活動支援センター会議室 4 で、第 2 回「グローバル・アカデミー  GA (地球大学院) 」を行いました。 8 名の方が参加され、白熱した議論をすることが出来ました。

1 コマ目 (13:40-15:00) には片山博文 (桜美林大学准教授) さんが「フレデリック・ソディのエコロジー経済学」を、 2 コマ目 (15:10-16:40) には林亮 (創価大学教授) さんが「国際関係論は西欧近代を如何に超克するか」を発表しました。

片山さんの発表では、環境・エネルギー・金融危機の原因が現在の貨幣制度にあるとしたソディーに着目し、経済におけるエネルギー問題とエントロピー問題の重要性を指摘しました。市場や貨幣中心の経済ではなく、貨幣の肥大化を防ぎ、貨幣と商品を等価なものと考え、共同体が所有していない仮想的な富を制限する新しい経済学の可能性を考察しました。

経済学に疎い私は片山さんの発表に学ぶことが多く、現在の弱肉強食の経済体制を根源から見直す機会になりました。特に次のような議論が非常に示唆に富んでいました。永続的成長が続くことを前提とした市場経済はエントロピー法則を無視している。すべての生命活動の基盤は太陽であり、その恩恵を直接受けている植物こそが真の資本家である。物々交換から金属貨幣、紙幣へ、さらにバーチャルな信用経済へと進む現在であるが、実体的裏付けがないから暴走する可能性が増える。エントロピーは極大化する方向であるが、生命のみが低エントロピーを維持しているということは、生命に何かが隠されているからである。これらの議論は非常に新鮮で、今後の新しい経済のあり方を根本から問題提起するものでした。

林さんの発表では、西欧近代が生んだ現在の諸矛盾を解決すべく、西欧近代の思考様式を紹介し、西欧の脱中心化を図るとともに、パラダイム転換の必要性を考察しました。サイード、ウォーラステイン、リヴァシーズ、フランクなど広範な論者を批判的に摂取しながら、支配的でも強制的でもない知のあり方を模索し、西欧中心の国際関係論から地球国際関係論へパラダイムシフトすべきであるとしました。

林さんの発表後の議論は非常に白熱し、西欧近代における侵略や植民地化などの「負」の歴史と、西欧近代がもたらした「普遍的な」人権や民主概念との対立関係で論議は盛り上がりました。「負」と「正」、「特殊」と「普遍」のどちらかであるといった二項対立ではないし、一方的にどちらかを否定は出来ないですが、どちらを重視するかで議論となりました。人権、民主、平和概念は現在ほぼ「普遍」概念として日常的には使用されているが、そのイデオロギー性を暴露することも重要であろう。しかし、ある一定の普遍性があることにも留意が必要であろう。たらいの水と一緒に赤子まで流してしまっては、今までの先人たちの努力が水の泡となってしまう恐れもある。いずれにしても今後の精緻な研究が待たれよう。

自由に議論し、その後ビールを片手にさらに深めていく、このような知的サロンこそが今、求められているのではないだろうか。家庭、会社、大学、様々な組織でも、このように忌憚なく自由にしゃべれる場はそれほど多いとは思えない。今後も自由に白熱した議論をするグローバル・アカデミー GA (地球大学院) にしていきたい。

「緊急開催! NPOと政党の政策討論会 ―市民パワーと民主党の懇談会―」に参加して

中西 治

昨日、2009 年 7 月 14 日に東京永田町の民主党本部で開かれた「緊急開催! NPO と政党の政策討論会 ―市民パワーと民主党の懇談会―」に参加しました。

民主党の主催ということになっていましたが、実際は特定非営利活動法人 NPO 事業サポートセンターとの共催のようでした。私は後者と連携している NPO 埼玉ネットからメールで連絡を受け、出席しました。

会場は民主党本部ホールといっても、間借りしている、それほど大きくないビルの 5 階でした。参加者は 200 人の予定でしたが、300 人以上が参加し、最初に挨拶した岡田克也幹事長が床が落ちないかと心配するほどでした。

会をリードしたのは民主党政策調査会の人々でした。

司会は京都の参議院議員、福山哲郎同会会長代理、報告者は比例区の参議院議員、直嶋正行会長、比例東京ブロックの衆議院議員、長妻昭会長代理、四国徳島の衆議院議員、仙石由人・市民政策議員懇談会会長 (横路衆議院副議長) 代行でした。

民主党は小選挙区制がもたらした政党です。小選挙区制が導入された 1996 年に旧「民主党」が結成され、1998 年に新「民主党」に発展し、そこに 2003 年に自由党が合流してできたのが今日の「民主党」です。自民党に対抗して選挙を闘うための「反自民連合戦線」です。

昨日発言した岡田さんは元自民党、直嶋さんは元民社党、仙石さんは元社会党、長妻さんは元新党さきがけ、福山さんは旧民主党です。結党以来十有余年にしてやっと一つの政党になり、新しい人材が育ちつつある感じです。

NPO から 7 人が貧困、福祉、教育、環境、国際協力、コミュニティなどについて報告し、毎週、2.5 人の子供が親によって殺されているという深刻な事実が紹介されました。民主党は「市民を主役とする社会」をめざしており、NPO と政党との間には一定の緊張関係が必要であると指摘していました。私もそう思います。

私は日本国憲法、とくに、第 9 条に対する民主党の政策を尋ね、「すくなくともこれから 4 年間、憲法改定、とくに、9 条を変えないこと」を来るべき総選挙の公約に入れるよう要望しました。

NPO が日本社会で果たしている大きな役割と私たちの研究所がこれから果たすべき役割について改めて考えました。有意義な会合でした。

日本の政治情勢について

中西 治

風は恐ろしい。当事者も予期しないような結果をもたらす。

2005 年 9 月 11 日の衆議院議員選挙では自由民主党に「郵政民営化」の風が吹いたが、2009 年 7 月 12 日の東京都議会議員選挙では民主党に「政権交代」の風が吹いた。

自民党は小泉さんのおかげで 2005 年の選挙において小選挙区で 219 人、比例区で 77 人、計 296 人 (61%: 括弧内の数値は全当選者中に占める割合。以下、同様) の衆議院議員を獲得し、それに胡座をかいて今日まで小泉・安倍・福田・麻生と 4 代の内閣が続いた。

逆風は 2007 年 7 月 29 日の参議院議員選挙から吹き始めていた。この選挙で民主党は選挙区で 40 人、比例区で 20 人、計 60 人 (50%) の議員を獲得し、自民党の選挙区 23 人、比例区 14 人、計 37 人 (30%) を大きく上回った。参議院で民主党が多数派になり、自民党が少数派に転落した。

自民党はこのときに反省し、政策を根本的に改めるべきであった。しかし、自民党はそれをせず、参議院で否決されたものを衆議院の多数を頼んで再可決し、従来の政策を推進してきた。信を国民に問うという方法もあったが、総選挙をしても、衆議院議員が増えることは望めず、減ることは確実なので、解散もできず、政権に食らいついてきた。その結果が今回の都議選である。

麻生さんもついに 2009 年 7 月 21 日に衆議院を解散し、8 月 18 日に総選挙を告示し、同月 30 日に投票を実施するという。いまの衆議院の任期はあと 2 か月弱、2009 年 9 月 10 日には機能を停止する。選挙を 10 日ほど早めたからといって、主導的に解散権を行使したことにはならない。「追い込まれ解散」「野垂れ死に解散」である。

今度の東京都議会議員選挙が次の衆議院議員選挙にどのような影響を与えるのであろうか。

まず、今回の選挙結果を見ておこう。都議の定数は 127 人、今回の選挙結果と前回、2005 年の選挙結果を比較すると、民主党は 35 から 54 (42%) と 19 議席増やし、自民党は 48 から 38 (29%) と 10 議席減らしている。公明党は 23 (18%) で前回と変わらず、共産党は 13 から 8 (6.2%) と 5 議席減り、ネットは 3 から 2 (1.5%) と 1 議席減り、諸派は 1 から 0 (0%) 、無所属は 4 から 2 (1.5%) と、合わせて 3 議席減らしている。

公明党は増減なく現状維持であり、民主党は自民・共産・ネット・諸派・無所属などの減った分、19 議席をそっくり増やしている。今回の選挙は民主党の一人勝ちである。

次に前々回の 2001 年 7 月の都議選とその直後の 2001 年 7 月 29 日の参議院議員選挙および前回の 2005 年 7 月の都議選とその後におこなわれた 2005 年 9 月の小泉郵政選挙を比較しよう。

2001 年の選挙についてみると、このときの都議選の当選者は自民党 53 人 (41%) 、公明党 23 人 (18%) 、民主党 22 人 (17%) 、共産党 15 人 (11%) 、ネット 6 人 (4.7%) 、諸派 1 人 (0.7%) 、無所属 7 人 (5.5%) であった。参議院選挙の当選者は選挙区と比例区を合わせて、自民党が 65 人 (54%) 、民主党が 26 人 (21%) 、公明党が 13 人 (10%) 、共産党が 5 人 (4.2%) 、自由党が 6 人 (5%) 、社民党が 3 人 (2.5%) 、保守党が 1 人 (0.8%) であった。

2001 年のこの二つの選挙結果を比較すると、都民と国民はほぼ同じ時期にほぼ同じ順序でそれぞれの政党を支持していることが分かる。つまり、都議選の結果から次の国政選挙の結果を予測することは可能である。ただし、自民党や民主党のような大政党は当選者の割合が都議選よりも参議院選挙の方が多くなっているが、公明党や共産党の場合は減っている。参議院選挙の制度は大政党に有利である。

2005 年の選挙についてみると、当選者は都議選では自民党が 48 人 (36%) 、民主党が 35 人 (27%) 、公明党が 23 人 (18%) 、共産党が 13 人 (10%) であるが、定数 480 人の衆議院選では小選挙区と比例区を合わせて自民党が 296 人 (61%) 、民主党が 113 人 (23%) 、公明党が 31 人 (6%) 、共産党が 9 人 (1.8%) 、社民党が 7 人 (1.4%) 、国民新党が 4 人 (0.8%) 、新党日本が 1 人 (0.2%) 、新党大地が 1 人 (0.2%) 、その他が 18 人 (3.7%) であった。小選挙区を中心とする衆議院選挙では大政党で、しかも、そのときに風が吹いている政党に大変有利になる。

以上のことから、次の総選挙では民主党の勝利が予想される。

自民党は小泉改革以来、衆議院での多数を背景に、日本の雇用制度・教育制度・医療制度・年金制度を変え、国民の生活を悪くした。何もかもが金で計られるぎすぎすした社会になった。一日に 100 人近くの人が自ら命を絶たざるを得ない社会は異常である。自衛隊の海外派遣の恒常化も人々に戦争の不安を感じさせている。

変化を求める声が高まっている。「変革の風」が吹いている。日本も変革の時代に入った。