月別アーカイブ: 2009年6月

日本国憲法第 9 条をまもる人を首相に!

中西 治

現在の衆議院議員の任期は本年 2009 年 9 月 10 日に切れます。
それまであと 2 か月余です。
近く総選挙がおこなわれます。
いまの選挙制度では二大政党のいずれかの政党を中心とした政府ができることになります。
私はどちらの政党の現在の最高指導者も日本国の首相としてふさわしいかどうか疑問に思っています。
日本国憲法第 99 条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」と規定しています。
彼らが一政治家のときはともかく、内閣総理大臣となったときに、この規定を順守すると確信できないからです。
日本国民は彼らのうちからしか日本国の首相を選べないのでしょうか。
私はそうは思いません。
日本国には日本国憲法、とくに、その第 9 条を尊しとする政治家が、与野党を問わず、衆議院議員と参議院議員の国会議員のなかにもたくさんいます。
だから、日本国憲法はその制定以来 60 年余にわたってまもられてきたのです。
私は 300 の小選挙区でも、日本各地域の比例区でも、日本国憲法第 9 条をまもる候補者が一人でも多く当選して欲しいと願っています。
そして、日本国憲法第 9 条をまもる人を日本国の首相に選んでいただきたいと思います。

「9 条をまもる政府」を作りましょう。

第1回グローバル・アカデミーの報告

岩木 秀樹

2009 年 6 月 14 日 (日) 13:30 から 17:10 まで、横浜市青葉区区民活動支援センター会議室 1 で、第 1 回「グローバル・アカデミー  GA (地球大学院)」を開校いたしました。お忙しい中、9 名の方が参加され、かなり時間も超過するほど、活発な議論をすることが出来ました。また何名かは近くで懇親会をし、そこでも様々な論議を交わすことが出来ました。 GA 担当者として、深く感謝いたします。

今回は統一テーマ「ヨーロッパとアジアのアイデンティティと現在」を掲げ、1 コマ目 (13:30-15:10) には吉野良子 (創価大学助教) さんが「ヨーロッパ統合の過去・現在・未来」を、2 コマ目 (15:20-17:10) には岩木秀樹 (地球宇宙平和研究所理事) が「中東の 20 世紀 ー文明の十字路トルコー」を発表いたしました。

吉野さんの発表は、パワーポイントを使用し、地図や表を多用し、ヴィジュアル的にもとてもわかりやすいものでした。まずヨーロッパの過去について、ヨーロッパ概念やヨーロッパ統合の歴史や思想を説明されました。その後でヨーロッパ統合の現在として、不戦共同体構築からグローバルパワーへと位置づけ EU の現状を指摘し、ネイションへの愛着度が次第に低減していることを示しました。最後に統合の未来についての展望と課題を述べ、トルコの加盟問題にも触れながら、今後「他者」をどう取り込むのか、ヨーロピアン・エンパイアとなっていくのかどうかが問われているとしました。

岩木の発表では、帝国から国民国家へ再編するオスマン帝国の共存と対立の歴史を見ていき、20 世紀初頭のオスマン概念の創出と変容を転換期としてのバルカン戦争を中心に考察しました。 20 世紀の中東を概観した後、トルコの EU 加盟の歴史と現状を説明し、今後どのような新しい共同体を作るのか、トルコ・アイデンティティをどう再編するのかが課題になるとしました。

いずれの発表についても、様々な質問や意見が出て、活発な議論が展開されました。特にヨーロッパ概念を巡る問題やトルコの EU 加盟問題、さらに他の地域との比較などが論議されました。

吉野さんがトルコの EU 加盟にまで踏み込んで発表していただいたおかげで、かなり議論がかみ合いました。また参加者から 2 コマ構成でかなり長い時間かけられたことはよかったとの声が聞けました。さらに議論の時間を合わせて 80 分ほど取ったことは双方向のコミュニケーションができ、参加者が単なる聴衆ではなく、主体的な討論者になれたのではないかと思います。

今回、私は GA の担当者兼発表者でありましたが、非常に楽しく、かつ勉強になりました。参加者の方々もそのような思いを持っていただければ望外の喜びであり、今後も充実した GA にしていきたいと考えています。発表希望者を募集しておりますので、ぜひ私までご連絡ください。

朝鮮の核実験についての国連安保理の新しい決議に寄せて

中西 治

国際連合安全保障理事会は2009年6月12日午後 (日本時間13日未明) に、朝鮮が同年5月25日におこなった核実験を非難する新しい決議第1874号を採択しました。

今回の安保理決議は冒頭で「国連憲章第7章の下で行動し、同章第41条に基づく措置をとる」と規定しています。同条は「兵力の使用を伴わない非軍事的措置」についての規定です。ちなみに、第42条は「第41条に定める措置では不充分であろうと認めたときにとられる空軍、海軍または陸軍の軍事的措置」についてです。

一般的には、公海上での他国船舶の停船や捜索は「戦争行為」です。今回はこれを非軍事的におこなわなければなりませんので、当該船の所属国の同意を必要とします。しかも、朝鮮に出入りする貨物の領内および公海上での検査が、中国の反対によって、国連加盟国の「義務」から国連加盟国への「要請」に変わりました。各国は貨物の検査をしてもよいし、しなくてもよいのです。

かつて1962年10月のキューバ・ミサイル危機のときに米国はキューバ周辺の海上封鎖を発表しましたが、実際にはソビエト船の停船や捜索はおこなわれませんでした。米国とソビエトの直接の戦争を避けたいとの思いがケネディさんとフルシチョフさんの双方にあったからです。

私はすべての国の核爆発実験と核兵器保有に反対ですが、今回の決議を安保理に採択させる上で重要な役割を果たした米国やロシアをはじめとするすべての核兵器保有国に、朝鮮を非難する資格があるのだろうか、と思っています。

米国は第二次大戦中に世界で初めて原子爆弾を作り、広島と長崎で最初に使いました。戦後も核兵器を作り続け、1970年にその保有数は2万7000に達し、その後、減っていますが、いまでも核弾頭を2702発、実戦配備していると言われています。ロシアもソビエト時代の1982年に4万近くの核兵器を保有し、その後、減少していますが、いまでも核弾頭の実戦配備数は4834発と言われています。

1970年に発効した核兵器不拡散条約 (Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons: NPT) は、1966年以前に核爆発実験をおこなった米国・ロシア・英国・フランス・中国の5か国だけに核兵器の保有を認め、それ以外の国には核爆発実験も核兵器の保有も認めていません。NPTは核兵器保有国を限定しながら、それを皆無にするための過渡的条約です。しかし、実際には、1998年に核実験をしたインドとパキスタンをいまでは核保有国として認めています。

米国やロシアなどの核兵器保有国が朝鮮の核実験を非難するというのならば、まず、自国が過去におこなった核実験について謝罪し、現在保有している核兵器をすべて即時廃棄すべきです、少なくとも廃棄の日程を具体的に明らかにすべきです。自国の核保有は良くて、他国の核実験は悪いというのは道理に反します。

朝鮮は1950年に始まった朝鮮戦争について1953年に「国連軍」と休戦条約を締結し、現在、米国と停戦状態にありますが、まだ戦争は完全に終わっていません。米国の陸軍と空軍は依然として韓国に2万6000人駐留しています。加えて韓国軍兵士が69万人います。さらに、日本には1万7000人の米軍兵士がおり、米国の第七艦隊が日本に母港をもっています。朝鮮は米国の核ミサイル網で包囲されています。これに対して朝鮮軍は100万人と言われています。

朝鮮半島の緊張を緩和する唯一の方法は朝鮮戦争を完全に終わらせ、朝鮮と米国とのあいだで平和を回復し、国交を正常化することです。朝鮮はこのために虚勢を張っています。戦争が再開されれば元も子もなくなります。平和的な話し合いによる解決しか道はないのです。

核兵器の廃絶を唱えるオバマさんは、朝鮮半島の平和、アジアの平和、世界の平和のために、これまでの枠組を越え、もっと大胆・積極的に指導性を発揮すべきです。世界がオバマさんに期待しているのはこのことです。

私は2005年8月25日から9月2日まで朝鮮と中国を旅しました。新潟からウラジヴォストーク経由で平壌に入り、朝鮮社会科学者協会や金日成総合大学の研究者たちと話し合いました。少年宮や人民大学習堂、モラン第一高等中学校を見学し、アリラン公演やサーカスなども見ました。開城と板門店も訪れました。平壌から国際列車で中国東北を横切り、北京に着き、北京大学日本研究センターの人々と朝鮮問題について論議しました。

私は文化大革命末期の1975年4月に初めて中国を訪れました。中国は1978年に改革開放政策に転じて30年、いまでは繁栄した強大な国になっています。私は、朝鮮は中国の文化大革命から改革開放政策への移行期にあたるのではないか、と思いました。「現在の朝鮮は四半世紀前の中国である。朝鮮は20年くらいで現在の中国のところまで来るであろう。」と書きました。多彩な人材がたくさん育っているので、朝鮮には未来があります。中国は変わりました。朝鮮も変わります。すべては変わるのです。

頑な心を和らげるのは温かい心です。朝鮮半島の北と南、朝鮮と米国、朝鮮と日本、どこにも人間が住んでいます。どこにも優しい人も厳しい人もいます。誰かが先に優しい温かい心で接し始めなければなりません。2000年6月に金大中さんの温かい心に金正日さんも応えました。朝鮮と韓国の統一、朝鮮の非核化に向けて動き始めました。それはつい最近まで続きました。ふたたびこの道に戻らなければなりません。この道しかないのです。いま求められているのは大きく人を包み込む大人です。

「グローバル・アカデミー」の開講・開校にあたって

中西 治

来週日曜日 (6 月 14 日) に「グローバル・アカデミー (Global Academy=GA) 」が始まります。GA は『所報』の充実・発展と並んで本年度の研究所の活動の重要な柱です。GA も『所報』も、いずれも、多彩な研究所員 (正会員・賛助会員) に自由に才能を発揮していただくことをめざしています。

GA の講師には 1 コマ 5 千円 (税込み) とわずかの額ですが、謝礼を用意しています。講師をお願いできる方は GA 担当の岩木さんに申し出て下さい。研究所の内外を問わず多くの方が参加し、自由に論議し、お互いに教え、教えられるような GA にしたいと願っています。

今回の GA は研究所が直接実施し、恒常化をめざしますが、研究所員はどなたでもどこでも身近なところで自主的に GA を主催できます。将来は地球上の各地で GA を展開しようと思っています。そうなれば、今回の開講は新しい教育機関の開校となるでしょう。ご指導とご支援をお願いします。