月別アーカイブ: 2008年9月

8政党党首への公開質問書の案内

中西 治

私も共同代表の一人を務めています「憲法9条をまもる 平和共同かながわ」は、自由民主党、民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、国民新党、新党日本、新党大地の8政党の党首に、日本国憲法と日米安全保障条約の問題について、2008年9月23日付け公開質問書を送りました。

内容は、以下の「憲法9条をまもる 平和共同かながわ」のホームページに掲載されています。ご一読願えれば幸いです。

研究所の発展計画について

中西 治

めっきり涼しくなりました。ときには寒いぐらいです。お元気でお過ごしのことと拝察します。

私は今年の4月から週に一回ピアノのレッスンに通っています。「音は楽しい」です。

5月末から6月はじめにかけて1週間、中国武漢大学に講義に行き、帰国後に論文「歴史・日本・朝鮮・中国−武漢大学講義録(2008年6月)」を完成し、武漢大学に送りました。7月に妻が3週間入院しました。退院後は順調です。いつも心配をお掛けしますが、ご放念下さい。

4月から私は私たちの研究所の専任研究所員です。給料・手当はいただいていませんが、設立10周年に向けて研究所の発展に本格的に取り組んでいます。先日の理事会では下記のようなことが論議されました。次回の理事会は12月7日(日)です。

どのようなことでも結構ですから、10月31日(金)までに私あてにご意見・ご要望をお寄せ下さい。皆さんの声に学び、12月の理事会に私の発展計画(試案)を提出します。理事会での何回かの審議を経て、最終的には2009年度総会で決めていただきます。

愉しい良い日々を!

油井大三郎著『好戦の共和国アメリカ −戦争の記憶をたどる』上梓に寄せて

中西 治

私たちの友人、油井大三郎 (ゆい  だいざぶろう) さんが『好戦の共和国アメリカ −戦争の記憶をたどる』岩波新書 (岩波書店、2008 年 9 月 19 日) を上梓しました。油井さんは私たちの研究所の昨年の総会で「日米関係と戦争の記憶」と題する記念講演をしました。

この本は独立前の植民地時代から今日までのアメリカ合衆国の歴史を戦争を中心として描き、アメリカがなぜ好戦的であるのかを明らかにしています。本書はおよそ 400 年間のアメリカの通史であるだけでなく、アメリカをめぐる国際関係の通史でもあります。内外の最新の資料を使った、大変読みやすい、この分野の優れた研究入門書です。私は二日間でこの本を読み上げました。

油井さんはアメリカの戦争の歴史を五つの時期に分けています。

第一は、17 世紀初めから 18 世紀後半までの植民地時代です。この時期には、ヨーロッパの国々の植民地争奪戦争 (植民地戦争) とアメリカ大陸の先住民と新たな植民者との戦争 (対先住民戦争) 、との二つの種類の戦争がありました。前者は外交と軍事を結合した「限定戦争」でしたが、後者は「無限定戦争」でした。戦争に「二重基準」がありました。

第二は、1776 年の独立宣言から南北戦争を経て 19 世紀末までの新興独立国時代です。独立そのものが戦争によって実現し、領土の拡大が「対先住民戦争」の継続やメキシコとの戦争によって実現したこと、さらに、南北の統一が戦争によって維持されたことなどから、戦争を肯定的にとらえるのが主流でした。他方では、「啓蒙思想の子」といわれた独立革命の初期には「文民統制」のほか、戦争を「最後の手段」とみなす「戦争自制」論も形成され、「非戦論」の潮流が誕生していました。

第三は、19 世紀末のアメリカとスペインとの戦争から 20 世紀なかばの第二次大戦終結までの時代です。アメリカは「大国」化し、新しい世界秩序の構築をめざしました。アメリカはスペインとの戦争で海外領土を保有し、「帝国主義国」化しました。これに対して反植民地主義の伝統と市民平等の共和主義に反するとの批判が起こり、その結果、「門戸開放」という形で、主として海外市場への経済進出をめざす「非公式帝国」路線が主流となりました。

第四は、第二次大戦後の「パクス・アメリカーナ (アメリカの平和) 」の時代です。アメリカが経済や軍事面で圧倒的な優位に立ち、アメリカ中心の秩序を維持するために、ソ連を「封じ込め」、局地戦争に介入しました。そのさい、自由主義を絶対化し、朝鮮やベトナムの民族独立や統一問題の切実さを軽視することになりました。アメリカは史上初めてベトナムで「敗戦」を体験しました。

第五は、ソ連の崩壊後にアメリカが唯一の超大国となっている現在の時代です。ここでも、「ネオコン」グループのように、グローバルな単独介入を強行しようという潮流と冷戦終結による「平和の配当」を活かし、軍縮を進めるとともに、国際協調の下で紛争の平和解決を図ろうとする潮流があります。

油井さんは、アメリカにはそれぞれの時代に「好戦論」と「非戦論」が存在し、「非戦論」の批判を受けて「好戦論」の内容が変化していることを指摘しています。アメリカにはクエーカー (友の会) のように戦争を原理的に否定し、徴兵を拒否する「原理的反戦派」もいます。戦争の性格によって、「反戦派」になったり、「好戦派」になったりする「状況的非戦派」もいます。

油井さんは、最後に、「本年の大統領選挙でイラク戦争を批判し、「ハト派」として期待されているオバマ候補が、一方でアフガン戦争の完遂を主張しているのをみると、改めてアメリカにおける「好戦性」の根深さを感じさせられた。」と結んでいます。

私は油井さんの論に基本的に賛成です。

私の考えは次のようなものです。

第一は、アメリカは英国、メキシコ、スペイン、ドイツ、日本とのいずれの戦争においても、勝利して、領土や市場や影響圏を拡大してきたのであるから、いずれの戦争も良いではないか、先住民との戦争にしても結果的には先住民にとっても良かったのであるから良いではないかとの考えがあります。これがアメリカの主流の考えです。この考えは、朝鮮とベトナムでの失敗にもかかわらず、いまもなお変わらず、アフガニスタンとイラクで戦争を続けています。

第二は、アメリカは一度手に入れた領土や土地は簡単には手放しません。南北戦争では南の分離を認めませんでしたし、スペインとの戦争で獲得したキューバの軍事基地は 100 年以上経つのにいまも維持しています。日本の米軍基地も然りです。すでに 63 年経っています。例外は 1946 年に独立したフィリピンです。1992 年にフィリピンは米軍基地を完全に撤廃させました。それでもなおアメリカは基地を維持しようと折りに触れて努力しています。アメリカの支配から脱するためには長期にわたる不屈の努力が必要です。

第三は、アメリカ的生活様式が最良であり、アメリカ的民主主義が最善であり、アメリカが世界の中心であり、世界はアメリカを中心として動くべきであるとの考えがアメリカにあります。しかも、その考えを他国に押しつけようとします。アメリカは自己中心的です。

すべてのアメリカ人がこのように考えているわけではありません。アメリカ社会は多様です。私はアメリカが経済的にも、政治的にも、軍事的にも大きくなりすぎ、大きな失敗をし、挫折することによって、深く反省し、考え方、生き方を大きく変えるときがくると思っています。

マケインさんは典型的なこれまでのアメリカ人、オバマさんは「状況的非戦派」、転換期の政治家。アメリカ人は 2008 年 11 月にどちらを選ぶでしょうか。

理事会報告

事務局

2008年9月21日(日)午後3時半から5時半まで、横浜市青葉区区民活動支援センター会議室1で、第4期理事会第8回会議が開催されました。出席理事は書面評決者も含めて11名で、オブザーバーは1名でした。

まず10月発行予定のニューズレター第16号の内容について審議をし、巻頭言の担当理事を決定し、特集テーマは「平和について(仮)」とした上で、研究会報告、会員紹介、その他の論考等を幅広く募集することになりました。

所報第3号は予定通り、10月末原稿締切、12月発行を目指して進行中であり、編集委員会からの執筆要請や役員の買い取り等についても今後議論していくことになりました。

学術交流について、朝鮮訪問はしばらく延期することになり、今後は訪問形態を変え、費用の低減化も目指すことになりました。またそれぞれの地域の二回目の学術交流は参加希望者を中心にして計画を進めていくことになりました。

来年度は役員改選の年であり、まず立候補者を募り、その立候補者を中心として役員選考委員会を組織し、残りの役員を選考するなど、今後も詳しい選考方法を議論していくことになりました。

来年度の事業計画について、2011年の設立10周年を見据えて、様々な事業をすることになり、さらに詳細は今後話し合うことになりました。

最後に、キューバ関連書籍発刊について、進捗状況の報告があり、近く何らかの形で発行を目指すことが確認されました。

研究会のお知らせ

中西 治

秋が来ました。昨夜、十五夜の月は臨めませんでしたが、今夜が満月、中秋の名月です。

9月23日(火・秋分の日)15:00〜16:00に横浜駅西口の神奈川県民活動サポート・センター705号室で下記のような研究報告をします。参加費は無料です。お出でを!

9月23日(火・秋分の日) サポートセンター705号室
「平和共同かながわ」第1回研究報告会 15:00〜16:00

報告者 中西 治
テーマ 「最近の朝鮮情勢と日朝関係」
行きつ戻りつの最近の朝鮮情勢と日朝関係について30分間報告し、30分間質疑応答する。

参考資料
中西治「現在の朝鮮は四半世紀前の中国 ー朝鮮・中国訪問記」
地球宇宙平和研究所編『東アジアはどうなるのか』白帝社、2006年、1-13ページ。定価800円。
中西治「新しい日朝関係を!−韓国併合98周年に寄せて−」2008年8月22日。http://www.igcpeace.org/archives/793

アメリカ合衆国大統領選挙について

中西 治

2008 年 11 月 4 日に投票がおこなわれるアメリカ合衆国大統領選挙の民主党候補者にバラク・オバマ上院議員 (47 歳) 、共和党候補者にジョン・マケイン上院議員 (72 歳) が確定しました。副大統領候補者にはそれぞれジョセフ・バイデン上院議員 (65 歳) とサラ・ペイリン・アラスカ州知事 (44 歳) がなりました。いよいよ本番の選挙戦が始まりました。

米国の大統領選挙は長丁場です。今年の 1 月に両党の大統領候補を決める予備選挙が始まってから 8 か月、これからの本選挙 2 か月。米国の大統領になるためには、よほど体力と金力に恵まれていないと駄目です。アメリカ民主主義は金持ち民主主義です。

予備選挙が始まった段階では、イラク戦争の失敗によってブッシュ大統領 (62 歳) の人気があまりにも悪いので、民主党は誰が大統領候補になっても勝てる、と言われていました。私はヒラリー・クリントンさん (61 歳) を大統領候補の本命とし、ヒラリーさんとオバマさんの正副大統領候補の組み合わせなら、民主党は勝つと考えていました。

私は米国ニュージャージー州立ラトガース大学から 2002 年に人文学の名誉博士号を授与されたシャーリー・チズム (Shirley Chisholm) さんのことを思い出しています。私はこの学位記授与式 に参加しました。

シャーリー・チズムさんは 1926 年 (1924 年 11 月 30 日生まれという説もあります。 2005 年 1 月 3 日に亡くなりました。) にニューヨークのブルックリンで生まれました。父は南米・英国領ギ アナの原住民で、工場労働者、母は中米バルバドスから来た針子でした。

シャーリー・チズムさんは苦学してブルックリン大学を卒業し、コロンビア大学で初等教育の修士号をとりました。その後、看護学校の教員を経てニューヨーク州の下院議員となり、1968 年に黒人女性として初めて連邦下院議員になりました。

彼女は 1972 年に民主党の大統領候補の一人となりました。最終的にはマクガバン上院議員が大統領候補となりましたが、このときのことを彼女はのちにつぎのように語っています。「人々は私をわらいました。しかし、だれかが始めなければならなかったのです。いつの日か、大統領となる黒人の男性か、女性が現れるでしょう。」と。

1963 年 8 月 28 日にキング牧師が「私には夢がある」と語ってから 45 年、同じ 8 月 28 日にオバマさんは大統領候補の受諾演説をしました。米国社会は大きく変化し、黒人が民主党の大統領候補になるところまできました。

これを好まない米国人がたくさんいます。いまのところ、オバマさんとマケインさんは互角です。民主党は予備選挙で精力を使いすぎました。党内に亀裂が生じ、まだ完全に修復していません。 11 月 4 日まで事態がどのように展開するのか分かりません。私はオバマさんが勝利することを願っています。

いずれ人間が皮膚の色や性別などで同じ人間を差別しなくなる日がきます。人間の歴史は徐々にではあるが、間違いなく良い方向に前進しています。今回の米国大統領選挙はその一里塚です。

所報第3号の原稿募集

事務局

先日のニューズレター第 15 号でもお知らせいたしましたが、所報第 3 号を 2008 年12 月に発行いたします。つきましては、皆様から論文、研究ノート、 研究動向、書評、エッセイを募集いたします。締め切りは、10 月末日となって おります。ぜひ多くの方から原稿をいただければと思います。なお現時点のも ので結構ですが、執筆希望者は仮題を編集委員会の岩木までお知らせいただけ れば幸いです。

創刊号、第 2 号を発行し、少しずつ地球宇宙平和研究所の認知度も高まり、こ の分野でさらに貢献したいと考えております。また所報発行は、近い将来にお ける地球宇宙平和学叢書発行への足がかりともなります。ぜひみなさんのご協力をお願いいたします。何卒よろしくお願い申し上げます。

福田康夫さんの辞任表明について

中西 治

昨年、2007 年 9 月 12 日午後 2 時に安倍さんが辞任を表明しました。「なんとも無責任な人です。日本国首相の地位をなんと思っているのでしょうか。」と私は書きました。

今日、2008 年 9 月 1 日午後 9 時 30 分に福田さんが辞任表明をしました。またかという感じです。自民党の末期症状です。

福田さんの表面的な理由は、安倍さんのように国会が開かれ、施政方針演説をしたあと野党の意見を聞かないで辞任するよりも、国会が開かれる前に辞任した方が国民と国会に迷惑をかけないですむ、ということのようです。

本当の理由は、1 か月前の 8 月 1 日に内閣を改造したのに、内閣の支持率が上がらず、国会を乗り切ることも、国会を解散することもできず、進退窮まった、というところでしょう。

私は安倍さんや麻生さんより福田さんが好きです。「自分自身を客観的に見ることができる」という福田さんの言葉は、その通りでしょう。しかし、福田さんは内閣総理大臣としての資質と力量をもっていなかったようです。

さあ、自民党はどう出るのでしょうか。小泉さんをもう一度引っ張り出すか、麻生さんでいくか、それとも、加藤紘一・元幹事長のような人を担ぐか。かつての自民党には田中角栄でだめなら、三木武夫でという知恵と度胸がありました。いまは、どうでしょうか。

いずれにしても、自民党は政策を抜本的に転換する必要があります。そうでなければ、元の木阿弥です。

ここで自民党は野に下り、政権を民主党に渡すというのも一つの手ですが、権力亡者の集まりである自民党は、そのようなことができるでしょうか。

誰が首相になろうと、衆議院の解散と総選挙です。いよいよ私たち主権者の出番です。 21 世紀の日本の政治の枠組みを作る重要な選挙です。

私は積極的に発言し、行動します。