月別アーカイブ: 2005年11月

「世界情勢」について(2)

今井 康英

今回は「世界情勢」について述べます。

15日、ブッシュ大統領が2003年10月以来2年ぶりに来日しました。本日、京都迎賓館で日米首脳 会談が行われ、共同記者会見がありました。日本経済新聞(11月16日)によると、会談内容について、小泉首相は「国際社会での日米関係の重要性、世界の 中の日米関係という視点から話をした」と説明。さらに「日本にとって米国はかけがえのない同盟国。日米関係が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国は じめ世界各国と良好な関係を築けるというのが私の基本的な考え方だ」と表明した。また、「日本の一部に日米関係が良すぎる、緊密すぎ、日本の方向性を失う という議論が一部にある。日米関係にマイナスが出たら、他国との関係を強化して補えばいいという考え方が一部にあるが、私は全く採っていない」 と、日米関係の強化を外交政策の中心に置く姿勢を改めて強調した。

毎日新聞(同日)によると、実際の会談では、二人のやり取りは次の通りであった。

大統領 この地域の平和と安定を維持するために日米同盟は不可欠だ。首相の指導力の下でこれが強化された。

首相 日 米関係は日本にとって最も重要だ。敗戦後60年間、努力して平和の中で繁栄してきたが、これは日米関係が維持、強化されてきたからこそ実現された。日米関 係より、国際協調にもう少し比重を移してはどうかという議論があるが、これは自分が取る考えではない。日米関係がよいからこそ、中国、韓国、東南アジア諸 国連合(ASEAN)諸国、すべての国とのよい関係が維持されてきている。

大統領 よい考えだ。中国から見たら、よい日米関係があればこそ、中国は日本との関係、米国との関係も強化し、よいものにしなくてはと思うのではないか。

一方、【ソウル16日共同】によると、中国の胡錦濤国家主席と韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は16日、ソウルの青瓦台(大統領官邸)で 会談、小泉首相の靖国神社参拝を念頭に、歴史問題が北東アジアの協力と発展に否定的影響を与えてはならないと批判し、「正しい歴史認識」が地域の安定の基 礎になるとの認識で一致した。靖国参拝への直接の言及は避けながらも中韓首脳が参拝中止で連携する姿勢を明確にしたことで、来月の第1回東アジア首脳会議 を前に、日本の対アジア外交は厳しい対応を迫られそうだ。【ソウル16日時事】によると、中韓両国は、靖国問題を「北東アジア」全体の問題として参拝反対 に向けた共同歩調を取ることで、日本をけん制する狙いがある。また、双方は北朝鮮の核問題について、朝鮮半島非核化への目標を定めた6カ国協議の共同声明 履行に向け努力することで一致。 胡主席は中国が南北朝鮮の平和統一のため、建設的な役割を果たすことを改めて表明した。

さらに、【釜山16日共同】によると、麻生太郎外相は16日午後、韓国釜山でロシアのラブロフ外相と会談し、21日に東京で行われる日ロ 首脳会談での合意を目指していた北方領土問題をめぐる共同声明などの政治文書について「日ロ双方の領土問題に対する原則的立場が隔たっている」として、作 成は断念せざるを得ないとの認識で一致した。日ロ首脳の公式訪問の際に政治文書の署名が見送られるのは極めて異例で、領土問題をめぐる溝の深さを示した形 だ。

私見ながら、小泉首相が「日米同盟」を強調すればするほど、日本の近隣外交がこの地域で平和と安定を維持していくのは、いよいよ困難にな る気がします。日本の首相が靖国神社参拝を続け、自衛隊が「自衛軍」となり、ますます米軍と一体化するのが、隣国にとって安心を与えるものなのか、不安を 与えるものなのか?靖国神社建立以来の歴史を反省するとき、隣国は勿論のこと、日本国民の少なからずも、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こるこ と」を心配せずにはいられないに違いない。現に、対アフガニスタン戦争や対イラク戦争には、参戦しているのだから。今はまだ日本軍に戦死者が出ていないので「惨禍」が起きているように見えないだけだ。

エッセイ16 結果と展望

木村 英亮

理論物理学の亀淵進は、「ニールス・ボーア先生のこと(4)」『図書』(2005.10)で、ボーアは校正のたびに原稿を修正し、なかなか校了にならなかったと書き、アインシュタインの論文が明快で理解しやすいのに対し、ボーアの論文は、晦渋で初めと終わりが矛盾していたりするという批判を紹介する。そうなる理由は、アインシュタインの論文が、ある範囲内で総括する閉包型であるのに対し、ボーアのものは結果より展望に重きをおく開放型の性格をもつからである。「ボーアが原子構造の理論を提出したとき、その理論をもっとも深く疑っていたのは、他ならぬボーア自身であった」(ハイゼンベルク)。

亀淵はこの文を「他人に分かり易く書くよりも、自らの考えを正しく書くことのほうが、ボーアにおいては優先したと思われる。」とまとめている。

たしかに、一見あまりに分かりやすく、はっきりした発言は疑ってみる必要がある。「郵政民営化」や「経済制裁」という主張も、明快である。しかし、政治も外交も、当面の政策と同時に、展望が必要である。一つの政策、一つの事件は、すっきり終わることはなく、次々に結果を生み、いつまでもいつまでも続いていくからである。

夏目漱石は、次のように書いている。「私は私の病気が継続であるという事に気が付いた時、欧州の戦争も恐らく何時の世からの継続だろうと考えた。けれども、それが何処からどう始まって、どう曲折して行くかの問題になると全く無知識なので、継続という言葉を解しない一般の人を、私はかえって羨ましく思っている。」(「硝子戸の中」)

「人間を知る」ということ

わたなべ ひろし

昨年の11月、当研究所の日本社会研究部会において、都立の知的障害児の施設で働いている明田義男さんに報告をしてもらった。そのときの報告で僕が 一番印象に残ったのは、「世話をする側とされる側という関係が、ある時点を境に変わりました。子供たちの世話をしているつもりが、私の方が世話になってい ることに気がつきました」という彼の言葉であった。「そう気づくことによって、自分が変わったように思います」彼はこう続けた。先日、政治社会学者である栗原彬さんの新著『「存在の現れ」の政治―水俣病という思想』を読んだ。この本の最初の方で、栗原さんは次のような水俣病者の方の「思想」を紹介している。

「漁師であり水俣病者の杉本栄子さんは、水俣病は『のさり』だという。『のさり』とは、向こうからやってくる賜物のこと、また受難のこ と。水俣病のおかげで人間のことを知ることができたという栄子さんにとって、受難は同時に贈り物であり、絶望は絶望のままに魂の救済につながっていく。」

自分にとって「受難」である水俣病が、同時にこの人にとっては、その「おかげで人間を知ることができた」「賜物」だと言うのである。これを読んだとき、僕は先の明田さんの言葉を思い出した。彼も子どもたちの「おかげで人間を知ることができた」ということなのであろうか。

栗原さんは、今から5年前『証言水俣病』という本を編集している。この本は1996年に水俣病公式確認から40年目に開催された「水 俣・東京展」における、水俣病者10人の講演を集めたものである。この本には講演者の略歴が、それぞれの冒頭に添えられており、これを読んだ当時は、内容 もさることながら、これらの略歴から「人間を知ること」の恩恵を受けたような気がする。お二人ほどここにあげてみる。

荒木洋子 1933年生まれ。37年、生後間もない弟が原因不明の疾病で急死。その後、妹、弟も相次いで死去。54年、父発病。この頃、自身も発病。57年、父認定される。64年、結婚。65年、父が激症型で死去。69年、水俣病裁判第一次訴訟に遺族原告として提訴。

大村トミエ 1933年、現在の水俣市湯堂生まれ。53年、結婚。流産・死産を繰り返す。夫の死去後、父親、自身も発病。72年、半身麻痺となる。74年、父死去。

この略歴を見ていて、自身や肉親たちの発病と死去に挟まれて出てくる「結婚」や「流産・死産」の文字に、そのとき目を引き付けられた。例 えばここにある「激症型」の水俣病の症状というものは、本書を読んだ限りでも生半可な苦しさではないようだ。そういうものに自身も発病し、身のまわりの親 兄弟姉妹も発病し、ある者は苦しみながら亡くなっていき、生き続けられたとしても完治することなど無く、一生を苦しむことになる。そういう中に当り前のよ うになされる結婚や出産という人の生の営み。10名全ての略歴が、皆が皆こんな具合なのである。

僕はここから、「人の生」というものの力強さみたいなものを教えられた気がする。そしてそのことで、随分と励まされたことを憶えている。

話しは飛ぶかもしれないが、例えば現在戦時下にあるイラクなどにおいても、人々の生活というものは、同じような強さをもって営まれているに違いない。そしてそのことにも、僕は随分と励まされるのである。派兵当事国の人間としては、まことに申し訳ない話しではあるのだが。

エッセイ15 労働の量と質に応じた分配

木村 英亮

日本は国民中流階級で、貧富の差が少ない。もっと、努力するものが報いられるようにしなくては、発展がない。競争原理を導入し、実力社会にしなくて はならない、といわれている。官庁の給与体系は、年功制になっているし、会社でも長く働いていると、上がっていくようになっていた。アメリカは、非常に競争が激しく、それが発展の原動力になってきた。わたしは、競争によって実力と努力にみあった報酬をうるという考え方には賛成であるが、その差があまり大きくならないようにすべきであると思う。 人間には生まれつきの能力の差というものもあり、それによって一生の収入が決まってしまうのは公正ではないように思う。また、身障者は、大きなハンディを負っている。

社会主義時代のソ連では、賃金は

  1. 労働の量(継続時間、強度、緊張度をふくむ)、
  2. 労働の苦痛度(エネルギー消費が多いのでその補填、人の嫌がる職場に労働力供給を確保するため)、
  3. 複雑度(熟練、資格の向上のための刺激)、
  4. 国民経済的重要度(重要産業への優良労働力の確保)、
  5. 地域手当(労働力の維持・再生産費の差異の補填、たとえば寒冷地の暖房費など)

を総合して定められていた。5を除き、同一労働は同一賃金である。共産主義社会にいたれば、能力に応じて働き、必要に応じて受け取るとなるが、社会主義の段階では、労働に応じて受け取る。ただし、社会主義の段階でも、医療、教育、食糧は保障される。

二酔人四方山問答(20)

岩木 秀樹

B:この前、多くの税金が皇室に使われているという話があったけれど、今回の清子内親王の結婚に伴って、一時金とかいう名目で、1億5千万円以上が支給されるらしいよ。これって税金だよね。

A:そう、羨ましいね。ぼくもその千分の一の15万円でもいいから欲しかったよ。それはそうと、皇室費や各地の御用邸や皇居、そして様々な骨董品や芸術品などの全ての皇室財産を合わせると膨大なものがあるらしい。

B:今、「聖域なき財政改革」とか言われているけれど、皇室関係は例外なのかな。でもこんなことをしていると、かえって世論の反発を招き、皇室の存続を危うくしかねないと思う。

A:そうだね。ただ皇室や宮内庁も生き残りに必死だ。民間からお嫁さんを捜したり、皇族の仲むつまじい映像を公開したりして、ソフトなイ メージを作っている。また天皇は、「憲法を守るように」、「日の丸・君が代を強制しないように」との発言や、サイパンでの韓国人や沖縄出身の戦死者の墓参 りなど平和の象徴の役割を果たそうとしている。

B:そうなんだ。でも若者の間では天皇制への無関心は半数を超えているし、天皇制を維持するための大きなコストを考えると、あっさりいらないと考える人も増えてくるかもしれない。

A:また皇室の様子は芸能人と変わりなくワイドショー化されている。ただ雅子様、愛子様と急に改まった口調で言われるけどね。おもしろいの はそのすぐ後で、急に威圧的な口調で、「金日成・金正日親子の世襲による体制」などと朝鮮が報道されていることだ。あれっ、皇室も世襲ではなかったかなと 思ったよ。

B:そうそう。この前、朝日新聞に載っていたんだけど、天皇家って125代続いているんだってね。

A:いや、僕のうちはもっと古いよ。アウストラロピテクスから換算すれば、何万か何十万なのかわからないくらいになるよ。僕がこの世に今存在していることを考えれば、僕の家も万世一系だ。

B:まーまー、そうだろうけれど。そりゃ、どこかで途切れたら、今存在していないし、万世一系ではなくなるけれど。

A:ところで、この万世一系という言葉は、男系のみが一貫しているということで明治憲法でうたわれたんだ。

B:そうそう、僕のおじいさんは歴代の天皇の名前をそらんじていたよ。

A:そうだな、現在70代以上の人は戦前の教育を受けていたので、「神武・綏靖・安寧…」と暗記されられていたからだ。ちなみに日本古代史研究では、実在の天皇は15代の応神以降と考えられている。

B:え、実在しているかどうか怪しい人まで数えているの。ずるいな。じゃあ、僕の家もこじつけて300代続いていますとか言おうかな。

A:神武から125代の現天皇まで124回の継承があったけれど、色々な継承があったらしい。直系継承が69例、兄姉弟間継承が27例、その他の継承が28例で、そのうち非嫡出子(側室の子)は55人とされている。

B:へー、直系ばかりでないんだ。

A:遠い血縁への継承は、皇位をめぐる争いや、継承者不足の危機を乗り越えるためだったんだ。

B:どのくらい遠い親戚からの継承だったの。

A:一つの例は、25代の武烈に男子がいなかったため、15代の応神の五世の孫が現在の福井県から連れてこられ即位した26代の継体がいる。約200年隔たった傍系からの継承で、王朝が変わったとの説もあるくらいだ。

B:そんなにさかのぼったの。本人もビックリしたろうな。自分が天皇の子孫だとは知らなかったりして。

A:継承争いで有名なのは、壬申の乱だ。38代の天智の後継をめぐって、息子の39代弘文と弟の40代天武が内戦をした。他にも南北朝の争いなど多くの継承争いが存在する。

B:天皇家の歴史は抗争、戦争の歴史だな。兄弟や親子、親族で殺し合いをするなんて、血塗られた一家じゃあないかな。

A:僕は天皇家が好戦的で、家族愛に乏しい一家だとは思わない。むしろ権力がそうさせたと言えると思う。権力を維持・継承するために殺し合いをしたという側面がある。現在の天皇家は政治権力はそれほど持っていないので、争う必要はない。

B:そうか。でも今でも皇太子と秋篠宮との対立が報道されているけれど。あれって継承争いかな。

A:週刊誌レベルの報道だから当てにならないけれど、全くないとは言いきれないと思う。女性天皇を認める皇室典範が改定されると、秋篠宮は 皇位継承順位が2から3に落ちる。また皇室典範改定のタイミングにもよるけれど、秋篠宮家が天皇家になる可能性がほとんど無くなってしまうからだ。

B:いやー、大変だね。天皇家に生まれるのも辛いね。僕の結論は庶民でよかったということかな。それと税金は大事に使って欲しいということだな。

「世論調査」について(4)

今井 康英

今回は「世論調査」について述べます。

前回のコラムで第3次小泉改造内閣発足直後の共同通信のデータを紹介しましたが、その後も報道各社が次々と調査結果を公表しました。

読売新聞(11月2日)によると、新しい内閣に「期待できる」と答えた人は51%に上り、昨年9月の第2次改造内閣発足直後の調査に比べ 27ポイントもの大幅増となった。小泉首相が進めてきた改革路線がさらに「進む」と見る人も72%に達し、「改革続行」を掲げる小泉政権への期待感の強さ を示した。新内閣の印象については、新鮮さを「感じない」人が54%と半数を超え、実行力のある重厚さを「感じる」人は41%、「感じない」は39%と、 評価が真っ二つに分かれた。政策面でも、外交政策で成果をあげられないという人が54%、社会保障制度改革を実現できないと思う人も56%に上った。

日本経済新聞(11月2日)によると、新内閣の顔ぶれを「評価する」との回答は49%。「評価しない」の24%を大きく上回っており、 「ポスト小泉」候補による改革競争に期待が集まっている。小泉首相が毎年1回の靖国神社参拝を続けていることに「賛成」との意見が47%で、「反対」の 37%を上回った。8月調査では賛成が46%、反対は38%でほぼ横ばい。10月の首相の5回目の参拝に中国や韓国は反発しているが、世論は総じて冷静に 受け止めている。

毎日新聞(11月2日)によると、今回の内閣改造・自民党役員人事について「評価する」と答えた人は53%で「評価しない」の34%を上 回った。人事を評価する人に理由を聞いたところ、「改革を継続する意欲がみられるから」が60%でトップ。「首相に後継者を育てる意欲がみられるから」が 23%で続いた。「評価しない」人の理由は「外交への取り組みに意欲がみられないから」が40%で最も多かった。サプライズ(驚き)に乏しかった反映か 「人事の顔ぶれが新鮮さに欠けるから」も24%あった。また、同(11月4日)によると、小泉首相の10月17日の靖国神社参拝について聞いたところ「賛 成」との回答が50%で、「反対」の46%を4ポイント上回った。参拝前の10月調査で、首相が参拝を続けることの是非を聞いた際には、「反対」 (51%)が「賛成」(44%)を上回っていた。7月、6月、4月の調査でも反対派が上回っており、賛成派が多数派だったのは昨年12月調査以来。首相が 本殿に上がらず「私的参拝」を強調したことや、韓国の反発が抑制的な点が影響した可能性がある。

朝日新聞(11月2日)によると、小泉首相のもとで自民党が「変わった」と思う人が70%を占め、「そうは思わない」の22%を大きく上 回った。新しい内閣の顔ぶれを見て、小泉首相が掲げる改革が「進むと思う」は58%で、「そうは思わない」の21%を大きく上回った。「新しい内閣で一番 力を入れてほしいこと」は、年金・福祉問題が56%で最も多く、景気・雇用対策が17%、行政・財政改革が15%で続き、外交・防衛政策は9%だった。

各社による改造直後の内閣支持率は、下記の通りです。
読売新聞 支持62・5% 不支持20・4%
共同通信 支持60・1% 不支持28・7%
日経新聞 支持56% 不支持30%
毎日新聞 支持56% 不支持31%
朝日新聞 支持55%

テレビ各社も週末(5日、6日)に世論調査を実施しました。JNN(TBS系、11月7日)によると、改造内閣の顔ぶれについては、「期待 できる」が61%で、1年前の前回の改造の時の27%に比べ大幅に増えました。改造内閣が最も重視すべき政策については、年金問題を挙げる人が29%で最 も多く、以下、財政再建が25%、景気が17%などでした。また、自民党が決めた憲法改正の草案に「自衛軍を保持する」と明記されたことについては、賛成 が45%で反対とする43%をわずかに上回りました。

NNN(日本テレビ系、11月7日)によると、「来年9月に自民党総裁としての任期が切れる小泉首相に成し遂げてもらいたいこと」には、 「年金制度の見直し」が38.8%と最も多く、続いて「財政と税制の改革」となっている。自民党内で社会保障目的とした上で消費税率の引き上げが検討され ていることについて、 「税率引き上げを認めても良いか」との質問には、「良いと思わない」と答えた人が48.0%で、「良いと思う」を0.8ポイント上回った。

ANN(テレビ朝日系、11月7日)によると、2007年にも導入に向けた法改正が検討されている消費税の引き上げについて、「やむを得ない」と答えた人が49%と、半数近くが引き上げを容認している実態が明らかになりました。

FNN(フジテレビ系、11月7日)によると、新しい内閣は改造前よりも「期待できる」と答えた人は46.2%で、半数近くにのぼった。小 泉首相の10月の靖国参拝については、「支持する」が47%で、「支持しない」をわずかに上回った。消費税に関しては、社会保障のための税率引き上げを 「容認する」と答えた人は48%で、「容認しない」と答えた人をわずかに上回った。

テレビ各社の調査による内閣支持率は、下記の通りです。
JNN 支持67・4%
NNN 支持62・4%
ANN 支持59・9%
FNN 支持56・9% 不支持29・6%

以上の通り、内閣改造後、55%~67・4%の「支持」を得たことになり、国民の過半数が小泉内閣を支持しているようです。(但し、これを 裏返してみると、20・4%~31%が「不支持」を表明しており、32・6%~45%は必ずしも「支持」していないと言えます。私も、不支持を表明する国 民の一人です。)また、小泉外交には、それほど期待していないことが分かります。

ところで、小泉首相の盟友はどうか?実は、このところブッシュ大統領の支持率が就任以来最低を更新している。例えば、【ワシントン2日共 同】によると、米CBSテレビが2日発表した世論調査では、ブッシュ大統領の支持率は先月6日の37%から35%に下がり、就任以来最低となった。イラク 戦争が米兵の死者数や経費からみて犠牲を払う価値があったかについては「あった」が31%、「ない」が64%と否定的な見方が強まった。つまり、対イラク 戦争で米兵の戦死者が2000人を超えたり、「戦争の大義」が出鱈目な情報によるものであったことが次々と暴露されて、ブッシュ政権の信用失墜が続いてい る。(勿論、原因は他にもあります。)

日本国民にとっては「戦争の大義」などは今更どうでもいいようだが、仮にサマワ駐留の自衛隊員に一人でも戦死者が出たらどうなるか?自衛 隊陣地を狙ったと思われる攻撃は11回を数えたが、今のところ幸いにも、人命には及んでいない。ブッシュ大統領と一蓮托生を決め込む小泉首相だが、内外の 自粛要請にもかかわらず、年1回の靖国参拝を欠かせないのも、それ故かと思えます。「愚かな、指導者達に、ひきいられた国民ほど、あわれなものはない」と いう歴史の教訓を、想起せずにはいられません。

グローバリゼーション再考

ねこくま

グローバリゼーションについて学生諸君と議論する機会があったのでそこで気がついた論点をメモ的にいくつか上げておきます。最大のポイントはグローバリゼーションは貧困を解決するのか、あるいは貧困を生み出すのか?これがグローバリゼーションを価値判断する上で最も重要な基準だと思います。

次のポイントはグローバル政体が存在するなら、われわれをいかなる主体がどうやって代表するのかという問題です。トインビーの「所属しているけれど、代表していない」プロレタリアートの状態が、現在の国民国家より優れた統治システムとはとても思えません。

こうなると「帝国システム」なる広域支配システムの中心が何処に存在するのかという問題か、国際関係研究者の間でこれほど関心を集めるようになった理由が理解できます。

最後にグローバリズムと「靖国参拝」の関係について私はこれを国際問題として捉えています。理由は、アメリカ主導のグローバル秩序に挑戦可能な東アジア共同体形成可能性を阻止するために「靖国」は極めて重要な問題だからです。

日本が靖国参拝を繰り返し、侵略戦争の歴史を肯定する主張を続けるかぎり、中国・韓国は言うまでもなく現在のASEAN各国はアジアは「共通の家」形成に踏み出すことは不可能でしょう。

日本をアジアから遊離させ、アメリカのグローバルな国益に全面的に組み込むために「靖国参拝」が要請されていると見た方が合理的なのです。

しかし現実の政策立案の上からは、アメリカのプレゼンスを排除した東アジア共同体形成という選択肢は現実的はありません。東アジア共同体をアメリカ主導のグローバルな世界秩序を牽制するための対抗手段として構想することを選択してはなりません。

アメリカとの共存共栄の枠組みの中で穏やかに変化していく必要があります。中国の韜晦(とうかい)戦略、爪を隠す戦略は短期的には正しいのでしょうが、相応の国力を得た後を考えると早めに成長の芽を摘むという対抗的な長期戦略を呼び寄せてしまう可能性があります。

私は最近、グローバリゼーションが生み出すマイナス局面を補完し、地域の人々に平等で豊かな生活を保障する地球規模の共同体構想を、正面から主張していくほうが王道なのかもしれないと考えるようになりました。

エッセイ14 技術と熟練

木村 英亮

沢山の原稿を裏表に印刷し、二つ折りし、ホッチキスで止める作業をするコピー機を見ると、人間よりずっと器用で、間違いもない。自動車工場で、さまざまなロボットが、組み立てを流れ作業でおこなっているのをテレビで見ると感嘆せざるをえない。技術の発達によって、生産の工程のなかでの熟練労働の役割が小さくなった。多くの工場では、生産はオートメーションで行われ、人間はそれを監視するだけである。

産業革命のときは、失業した職人による機械打ちこわし運動がおこった。いままた、根本的な技術革新によって、労働をとりまく環境は大きく変化した。

少なくなった第二次産業の工場は、賃金の低い中国など国外に移動し、さらに減っている。労働の生産性の向上によって余暇が増えるという事 情も重なって、国内では第三次産業、すなわちサービス業の比重が大きくなっている。しかも、情報化の進展によってサービス業の内容も変わっている。

さらに、サービス業のたとえば料理にしても、冷凍食品や缶詰などを使うことが多くなっている。調理に人間の手をかけることが少なくなったわけである。

このような傾向が進むなかで、第一次産業である農業の見直しが課題となっている。私が子供のころは、田舎で草むしりをし、縄をない、わら ぞうりを作っていた。子供達はみんな、このような手作業の技術を競っていた。手先の器用さは、将来の生活の基盤となったのである。農業は、食料を生産して いたばかりでなく、手作業の訓練の場でもあった。

同じようなことは、工業についても言える。私の育った八幡では、年に一度製鉄所が構内を市民に開放し、高炉や圧延工場を見せていた。そこでは大規模な設備を操る労働者も誇りをもっているように見えた。

いまは、農業、工業は、その比重自体が小さくなったばかりでなく、そこで手や体を使って作るという作業が減った。その傾向はサービス業においても同じである。

手作業という要素がわれわれの身の回りから少なくなったことが、人間にどのような影響をもたらしているのであろうか。

エッセイ13 情報と判断

木村 英亮

パソコンや携帯が生活に入ってきたことによって、情報がすぐに取り出せるようになった。これによって、記憶の必要性が大幅に減り、判断力の重要性が 大きくなったと言っていいのであろうか。もしそうなら、知識の量より判断力、批判力の役割がいっそう大きくなった。すなわち、教育においては、詰め込みは 意味が小さくなり、自分で考える力を身につけさせることが大切になったはずである。ところが、家ではテレビがつけっぱなしで、外でもたえず携帯を見ており、情報のとりかたが受身になっている。ゆっくり考える暇がなく、判断が他人任せになっているようにもみえる。情報を生かすことなく、判断は画一的となり、情報のない社会と同じような結果となっている。

あるいは、人々は豊富な情報にもとづいて自分で判断していると思っているだけで、全体として操作されているのかも知れない。それは、情報が直接統制されている独裁国家と同じくらい恐ろしいことである。

アメリカ政府は、世界中からあらゆる公開の情報を集めるばかりでなく、CIA や FBIのような機関もつかって秘密情報を集め、政策を立案している。しかし、ベトナム戦争に続きイラク戦争でも失敗を重ねている。肝心のベトナム人やイラ ク人の意思をよくつかんでいるとは思えないのである。

情報の集め方に問題があるかもしれないが、もっと大きいのは、それに基づく判断が、先入観や目先の利害のために間違ってしまうのであろう。

膨大な資料を読んだ上で、誤った結論に達した論文のようなものである。

二酔人四方山問答(19)

岩木 秀樹

B:この前の靖国神社の話で、天皇の軍隊についた戦死者しか祀られないと言っていたよね。

A:そうだよ。靖国神社は日本の伝統的な神社と異なる国家神道だ。伝統的な神社では亡くなった人は皆等しく神様になるが、靖国はそうではない。敵はおろか民間の犠牲者も祀られないんだ。

B:ふーん。靖国神社は日本の伝統だと思っていたけど、そうじゃないんだ。

A:明治に作られ、陸軍省と海軍省が管理し、日本の国体と天皇制の象徴だ。だから伝統的神道の信者は、靖国神社は神道をゆがめる存在だと怒ってもいいと思う。

B:色々話を聞いていて、やはり天皇制の問題が避けて通れないと思ったんだ。でも日本では天皇制を直接論議することはタブーなんでしょ。天皇制批判をすると、右翼などから脅しや暴力を受けると聞いたことがあるよ。

A:確かにあるが、言論の自由が保障されている日本ではそんなことがあってはならない。相手の人権を侵害しなければ、どのような議論も自由にできなくては自由主義国家、法治国家と言えない。

B:今、女性天皇の論議が盛んだけど、どう思う。

A:今の皇室典範のまま行くと、あと数十年で天皇制が無くなることは誰の目にもわかる。だから皇室や宮内庁にとっても皇室典範を変えることは死活問題だという現実がある。その上で女性天皇の論議について考えると、僕は当然の流れだと思う。

B:どうして。伝統的に男が天皇になるもんでしょ。

A:いや、明治以前までに10代8人の女性天皇がいたんだ。だから男系男子のみが天皇というわけではなかったんだ。ただ女性天皇を認める理 由としてもっと重要なのは、憲法第14条に男女の平等が書かれているからだ。これは当然、皇室典範より上位に位置するもので、皇室典範第1条「皇位は、皇 統に属する男系の男子が、これを継承する」は憲法違反だ。

B:なるほどね。

A:男系男子天皇制は家父長制の近代家制度のもとで作られ、戦後、皇室典範もかなり修正されたが、男系男子規定はそのまま維持された。ただ女性天皇が認められれば、天皇制に何の問題が無いというわけではない。

B:他にどんな問題があるの。

A:これは女性史研究者の加納実紀代さんが言っているんだけど、民族・階級・ジェンダーの三つの観点から、たとえ女性が天皇になっても問題があるとしている

B:へー。おもしろそうだね。

A:第一の民族の観点では、天皇は日本国民の統合の象徴とされており、逆に言えば、非日本国民の排除という排外主義をはらんでいる。第二の 階級の観点では、天皇制は生まれながらの貴賎や階層秩序を生み出す根源であり、人間平等の理念に反する。第三のジェンダーの観点では、天皇制は世襲であ り、血統に権威の根拠を置いていて、そうである限り皇室の女性は子供を産むことが強制される。

B:そりゃそうだ。色々根本的な問題が山積しているね。これじゃあ、天皇制存続についての議論が起こるのも無理ないね。

A:そうなんだ。憲法第2条の「皇位は世襲」との規定と、14条の「国民は人種、信条、性別、社会的身分又は門地により差別されない」との規定が大きく矛盾するんだ。14条にはさらに、「華族その他の貴族の制度は認めない」ともあるんだけどね。

B:これを矛盾ではないとするためには、天皇や皇室は国民でもなく、華族でもない、特別の存在とするしかないね。

A:そう。実は天皇制は皇室の人々から見てもかわいそうな制度だと思う。職業選択、学問、居住、結婚、信教その他の自由はほとんどない。もちろん僕らのような戸籍もなければ、選挙権も被選挙権もない。つまり人権が認められていないということだ。

B:人として認められていないということか。パン屋になりたいとか、歌手になりたいとか、思ってもだめだろうな。

A:学問の自由もないよ。古代日本史や近代天皇制研究、マルクス主義や東アジア研究などは危なくてやらせてもらえないだろう。自分たちの出 自や一族同士の骨肉の争い、軍国主義下での天皇制の果たした役割などが明らかになったら、自分たちの存在そのものに懐疑的になってしまうよ。だから当たり 障りのない、ナマズや鳥や植物の研究がせいぜいだ。

B:イスラーム教徒になりたいとか創価学会に入りたいとか論外だろうな。結婚相手も相当限定されるだろう。外国人や同性などは想定の範囲外だ。

A:本当は京都かどこかでひっそり暮らしたいんだけどな、と思っていてもだめだろう。

B:うーん。かわいそうな人々。僕、天皇家に生まれなくてよかったよ。

A:でももっとかわいそうなのが、天皇家やそれを支える制度に大量の税金をつぎ込んでいる僕らかもよ。この続きはまた今度しよう。