月別アーカイブ: 2005年9月

「いかに生きるか」という学問分野

わたなべ ひろし

大学を出て働くようになってから、ずっと考えてきたことがある。それは、大学という「お勉強」ができる環境を卒業して、これから自分は何をどうやって学んでいけばよいのだろうかということである。

最高学府である大学に長年在籍しながら、何をどうやって学べばよいのであろうかというのもみっともない話しではあるのだが、しかし事実なのだからしょう がない。大学では日本社会論をテーマとしていたので、研究対象への「留学」のつもりで実社会に出るのだと強がってみても、実際のところ何をどう勉強すれば よいのかさっぱりわからなかった。

英文学者の中野好夫さんが、自身の大学教師生活について語った文章の中で、次のように述べている。

「最初から私は大学教授になれるような勉強の仕方をしなかった。不勉強だとは申さぬが、それは好きなもの、というよりは、なんらかの意味でいかに生きるかという私自身の関心に切実な題目だけを、全くわが儘勝手に勉強した。」

これから何をどのように学べばよいのか僕は今でも分かってはいないのだが、中野さんのこの文章を読んだとき引っ掛かるものがあった。「あぁ、中野さんもやっぱりそうなのか」という具合にである。

それは「いかに生きるかという私自身の関心に切実な題目だけを」のところだ。なんというか、こういうふうに僕も「勉強」すればよいのかもしれないと、なんとなく行き先が見えた感じがしたのである。

これを仮に「いかに生きるか」という学問分野とでも名づけておこう。僕にとっては、反戦平和の問題も、戦後日本社会をいかに捉えるべきかという問題も、全てこの「いかに生きるか」という学問分野に含まれるものなのである。(そうは言っても、中野好夫という人の学問は、名訳の誉れ高いギボンの『ローマ帝国衰亡史』を始めとする数多くの翻訳があり、17~18世紀の風刺家にして『ガリヴァー旅行記』の作者であるジョナサン・スウィフトの研究があり、それこそ学術研究の面で多くの成果を残している。彼の「わが儘勝手」の勉強は、そういうものをしっかりと生み出しているのであり、僕のようなチンピラとは次元がことなるのではあるが。)

近年は、世界的なレベルで見て日本人の学力レベルが落ちているとか言われているが、例えばさまざまな私的サークルの数の多さ、多種多様な セミナーや講演会の実施、小説家や評論家といった文章や言葉を生業とする専門家の人数の多さ、書籍の発行部数等々、僕は日本人というのは「お勉強」や「学 習」の好きな国民だと思っている。そしてそれ等の「お勉強」や「学習」を通して人々が学びたいと思っていることは、学術研究的なものやノウハウ的なものよ りも、「いかに生きるか」ということなのではないだろうか。

この夏、『週刊金曜日』誌上に5回にわたって連載された、作家の辺見庸さんの「いま、『永遠の不服従』とは何か」という文章は、「いかに生きるか」という学問分野における僕にとっての収穫であった。

辺見さんは昨年の3月、新潟での講演中に脳出血で倒れ、不自由になった身体(それがどの程度のものであるのかは、もちろん分からないが)をおしての、病床 からの文章であった。辺見さんは元共同通信の記者であり、そのうえ芥川賞を受賞した優れた小説家でもある。僕は以前から辺見さんのファンで、彼の言語感覚 によって造形された世界は迫力があり、こちら側に「これを見ろ」と言わんばかりにグイッと突きつけるなにものかがあった。ただ最近(つまり病気で倒れる以 前)は、少し無理をしているというか、辺見さんの想念の深淵にまで彼の言葉が届ききれず、上っ面の方で折り合いをつけてしまっている感じがしていた。

しかし今回連載された文章は、1年数ヶ月の不自由な病床の中で、虚飾や衒い(てらい)を排せざるをえなかった彼が、それでも今の自分に残っているものだけを手がかりに、自分という存在の岩盤にたどり着く到達感が感じられるような、まことに「凄い」ものであった。

「脳がやられるというのはけだし不可思議です。……(電話番号やメールアドレスといった)社会生活上必要とみなされている記憶が消滅し、逆に(映画のセリ フや場面といった)社会的にどうでもいいような記憶が生き残ること。記憶と想念における無用と有用。これらを随分考えました。結論はありません。」

辺見さんの文章を読むことで、「いかに生きるか」という学問分野の特徴は「問いはあるが答えは無い」ということなのではないかと気づかされた。

二酔人四方山問答(14)

岩木 秀樹

B:朝鮮の旅で最も印象に残っているのはどんなことなの。

A:いろいろあるけれど、あえて一つだけあげると、子供達かな。モラン第1高等中学校や少年宮での演奏や演舞、アリラン祭も多くは生徒や学生がやっていた。どれも大人顔負けのほとんどプロといってもよかった。

B:あー、たまに日本のテレビでも放映されているものか。でもちょっと作られた笑顔が子供っぽくないけど。

A:確かにそういう側面はあるけれど、どこでどのような笑顔をし、どこでお客さんの手を引くのかを熟知していた。私たちの心を和ませるプロだった。それにあれほどの技術を身につけるのは一朝一夕には出来ないだろう。あの笑顔の裏には相当の努力があったと思う。

B:そうか。普段の学校生活も見たの。

A:まだ夏休みだったようだけれど、私たちのためにわざわざ来てくれた人もいたようだ。 教室ではブラウスに赤いスカーフをした小学校高学年くらいの子供達が歓迎してくれた。モラン第1高等中学校はたぶんエリート校だと思うんだけど、理科室や生物の剥製や視聴覚室、講堂などずいぶん充実していた。日本の私立学校並だったように思う。

B:そうなんだ。

A:帰りに校庭を見たら、数十人の男子生徒がサッカーをしていた。その光景は万国共通だと思った。そうそう、話は変わるけれど、屋外での青 年舞踏会も平壌市内各所で行われていた。8月28日が青年の日か何かで、それを記念して行われるそうだ。その舞踏会が男女の出会いの場になるというのがお もしろかった。日本などで報道されてる朝鮮のイメージとは違う、普通の青年たちの生活や恋愛を少し見たような気がした。日本人も飛び入り参加していたよ。

主体思想塔前での舞踏会
主体思想塔前での舞踏会。向こうの川は大同江。

B:へー、おもしろそうだね。

A:アリラン祭は圧巻だった。10万人以上が入る巨大なスタジアムで、マスゲームや人文字が行われた。単に見せるだけではなく、民族の苦難の歴史を表現しているので、飽きなかった。しかも10月までこれをほぼ毎日やっているというのを聞いて、とてもびっくりした。

B:アリランてどういう意味なの。

A:「あー、リラン」という意味で、リランは男の人の名前。リランとある女性は恋人同士で、ある時リランは村からでることになった。リラン がいなくなった後に、地主がその女性に言い寄ってきた。その現場にちょうどリランが出くわし、再び村を後にした。リランを追っかけて、その女性は「あー、 リラン、あーリラン、いかないで、戻ってきて」と叫んだそうだ。大体こんな話がベースになって、アリランが生まれたそうだ。

B:へー、「あー、リラン」だったのか。男女の話と民族の歴史をだぶらせて、アリランの公演は行われているのか。

アリラン祭
アリラン祭の一場面

A:そうそう、「南男北女」という言葉知っているかい。

B:なにそれ。知らない。

A:李氏朝鮮の頃から言われているらしいんだけど、男は朝鮮の南の方がハンサムで、女は北の方が美人とされている。ほとんど迷信かもしれな いけれど、でも確かに美しい女性が多かった。外国人と接するスチュワーデス、ガイドやウェイトレス、ホテルの従業員には才色兼備の女性を配置しているよう に思う。物腰も柔らかく、あーアジアの女性だなと感じた。

B:なんかだんだん朝鮮に行ってみたくなってきたよ。恐ろしい国だとばかり思っていたよ。

「世論調査」について(2)

今井 康英

9月11日に行われた総選挙で新たに衆議院の議席が確定したばかりなので、 今回は、再び「世論調査」について述べておきたいと思います。 私のブログでは、8月8日の「郵政解散」以降、 選挙関連の世論調査の記事は20件を超えています。 あくまでも結果論ですが、第44回総選挙の結果は、 これら報道各社による事前の世論調査で示されていた通りとなりました。 これで、少なくとも選挙関連の世論調査の信頼性には、 ある程度、肯定的な評価をしておかねばなりません。 但し、小選挙区制の特色が、これほど劇的に現れることは 想定外だったのではないかと思います。

私は、ここ2年ほどはテレビを見ないことにしています。 今回の「郵政解散」以来の「小泉劇場」を映像としては見ていません。 ニュースは、新聞(主にネット版)やラジオから情報を得ています。 新聞も捏造記事がないではありませんが、 テレビの「やらせ」よりは、まだマシだと思います。 それに新聞記事は自分の頭で考えながら読むことができます。 テレビで見せられた「小泉劇場」は、さぞかし面白かったのでしょう。 「小泉マジック」に国民の多くが幻惑されてしまったのではないかという気がします。

実は、今回の「郵政解散」は、遅くとも1年前から準備されていたという情報もあります。 (下野新聞9月13日30面「首相 1年前に解散決意 読み誤った反対派、民主」による) 小泉首相は、なかなかの「策士」であったと言わざるを得ません。 時事通信(8月31日)によると、 同日付の仏紙ルモンドは衆院選公示を受けて、 国際面トップで東京特派員による日本政治の特集記事を掲載、 小泉首相について「戦略家というより策士」と辛らつに批評した。 同紙は、郵政改革関連法案に反対した議員の選挙区に「刺客」を送り込むやり方は 日本の政治風土になかったことで、「少なくとも政局の流動化を導くだろう」と分析。その上で、「郵政法案の(参院での)否決は、 景気回復を除いて大きな成果がない小泉首相に対する国民の嫌気の表れなのに、 首相はこれを自民党内の造反議員のせいだとして、 国民に新たな白紙委任状を求めている」と指摘した。 また、景気の回復についても、 民間企業によるリストラ効果や中国経済台頭の恩恵にすぎないとの見方を示した。 さらに、小泉首相は「建設するよりも壊した方が多く、 戦略家というより策士、新秩序の創造者というよりも過渡期の政治家のように思われる」と結んでいる。

ここで思い起こすのは、学生時代に学んだ歴史の教訓です。 20世紀にはドイツにワイマール憲法下で、民主的にヒトラー政権が生まれました。 昭和の時代に大日本帝国には、大政翼賛会がありました。 今、21世紀の日本に「平和憲法」の下で、第2のヒトラー政権が生まれるのを目撃するとは、 思いも寄りませんでしたが、私にはそう見えます。 毎日新聞(9月12日)によると、 自民党の閣僚経験のあるベテラン議員も 「勝ったのにどうかと思うけど、怖い。ものが言えなくなってしまう。ファッショだよ」 と真顔で語ったそうです。

国民に郵政民営化の是非を問うだけの総選挙の結果、 自民党(296議席)と公明党(31議席)による「巨大与党」 (衆議院で3分の2以上の議席を占める)が誕生しました。 多分、首相本人もそこまでは予期していなかったと思われますが、 野党無用、参議院無用の平成大政翼賛会が出来てしまったかも知れません。 そうなると、小泉首相に全権委任したも同然です。 果たして、国民によって信任された郵政民営化法案の可決成立だけで、 彼の野望は止まるのでしょうか? 私には彼の本性はよく分かりませんが、 本格的な小泉「総統」政権へ変質するのではないかと危惧しています。

最新の世論調査(共同通信、9月13日)によると、 小泉内閣の支持率は59・1%で、不支持率は33・2%です。 自民党大勝、民主党惨敗という衆院選の結果には 「よかった」39・4%、「よくなかった」24・9%です。 9月21日召集予定の特別国会で成立を目指す郵政民営化法案の取り扱いについては 「慎重に議論すべきだ」53・4%、「同国会で成立させるべきだ」37・1%です。 「いつまで小泉首相に首相を続投してほしいか」との設問に 「来年9月の自民党総裁任期まで」47・2%、 「再来年夏の参院選まで」17・1%、「もっと長く」16・5%でした。 また、読売新聞(9月14日)によると、 小泉内閣の支持率は61・0%で、自民党圧勝の印象を聞いたところ、 「よかった」49%、「よくなかった」38%です。 自民党の獲得議席数については、「少ない方がよかった」56%、「ちょうどよい」33%です。 首相が数を背景に、強引な手法をとる不安を「感じる」63%、「感じない」30%でした。 これらのデータを見る限り、 国民世論はまだ小泉首相の独裁はありえないと判断しているようですが、 果たして彼の暴走を止められるのでしょうか? 日本国民が主権者としての力量を試されるのは、これからだと思われます。

東シナ海の浪高し

ねこくま

「春暁」ガス田にミサイル駆逐艦など5隻の中国軍艦が出現しました。昨年11月原子力潜水艦が日本の領海に迷い込んで海自の対潜哨戒機の追跡を受けたばかりです。やってきたのは写真で見る限りソブレメンヌイという中国がロシアから購入したばかりの新鋭ミサイル駆逐艦です。

従来中国海軍の艦艇は電子装備とかミサイルが旧式で、航空攻撃への防空能力をほとんど持たないのが特徴でした。しかしロシア製ソブレメンヌイ駆逐艦は中 国海軍で初めて飛来する航空機を迎撃できる防空能力を備えた中国期待の新鋭艦です。まあようするに虎の子の軍艦を出してきたことになります。

さらに中ロ両国の軍隊約1万人が参加する合同軍事演習「平和の使命2005」が、ロシア極東、中国山東半島および周辺海域で実施されたそうです。両国初 の本格的合同軍事演習で、台湾解放を視野に入れたとも対米戦を想定したとも言われています。緩慢ですが着実な中国の軍事力近代化が進んでいます。一方で陸上自衛隊がロシア製火器を輸入するという記事がでていました。自衛隊の仮想敵がロシア製火器を装備している可能性が高いので、 実際に自衛隊の装備を射撃してみて対弾性能とか防御能力を実地で試験するのが目的のようです。昔ロシアが日本の航空自衛隊に、ロシアが中国にも売った SU27という新鋭戦闘機を空中戦の訓練相手に買わないかと売り込みに来ました。このときは日本は相手にしなかったようですが、今度は小銃や対戦車ミサイルに限らずロシアから色々購入することになるかもしれません。

米軍との合同作戦を前提に戦力が構成されている自衛隊ですから、当然アメリカが仮想敵とする中国軍事力との衝突を準備し始めているのでしょう。

海の向こうでは、日中戦争をテーマにしたオンラインゲームが「若者の愛国主義と民族精神を育てる」ために中国で開発中と伝えられていま す。参加者が兵士に扮して日本軍と戦うロールプレイング・ゲームだそうです。中国の指導者たちが、アメリカの軍事力に正面から対決できない大衆の憤懣を、 侵略戦争の歴史を受け入れない日本に転化することはたやすいでしょう。それでも日本の政治家たちは、中国やアジアのナショナリズムを逆なでする靖国参拝を 強行しています。

ここは少々冷静になって状況の沈静化を図らなければならないところです。そこで客観的な数字の登場となります。防衛白書の日中軍事力比 較を見てみましょう。17年度防衛白書によれば中国陸上兵力160万人(日本14.8万人)、中国海上兵力750隻(日本150隻)、中国航空兵力 2390機(日本480機)です。しかも中国の国防費は17年連続で10%以上の伸びを達成しているとされています。

白書の巨大な数字を見れば中国軍事力は巨大で、日本が喧嘩を売るどころか極東アメリカ軍の力を借りなければ日本の防衛も覚束ないかに見 えます。しかし中国軍の実態は、数は多いものの外洋で作戦可能な軍艦は件のロシアから最近輸入されたごく少数のミサイル駆逐艦や潜水艦のみで、弾道ミサイ ル戦力を除外すれば沿岸地域に限定された中国の軍事力投射能力が小規模で限定的なものであるのは周知の事実です。

一方で最先端軍事技術を満載するイージス艦を中心に構成される日本の海上自衛隊は、世界有数の海軍力を誇っています。軍事力の比較は複 雑で単純化が難しい問題です。それ故従来から相手の軍事的意図と能力を取り違えて、軍事力強化のエスカレーションを引き起こし、戦争を引き起こすのが世界 政治の現実です。

世界最強の軍事力を保有するアメリカから敵視され、国内には「台湾解放問題」を抱え、わずか半世紀前に中国大陸に侵攻した隣国日本は排外的なナショナリズムを強めている。これでは中国ならずとも防衛力強化に乗り出さざるをえないでしょう。

領土問題とナショナリズムは、政治家が大衆の支持を得るためにもてあそぶ道具としては危険すぎます。領土紛争は国境線をめぐって長期的で 本格的な戦争を引き起こします。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では、激高した狂気のナショナリズムが引き起こす悲劇を目の当たりにしたばかりです。

キッシンジャーは中国の軍事力はアメリカより20年は遅れている。しかし20年後にはその遅れは今より遙かに縮小されているだろう。中国のグローバルパ ワーとしての台頭をアメリカは受け入れるべきだと言明しています。地理的条件からも現実の経済的結びつきからも日本は対中関係を独仏関係並みに改善しなけ ればならないくらいの発言を、日本の政治家からも聞きたいものです。

第44回総選挙結果に想う

中西 治

政治家は毀誉褒貶が激しい。

参議院が郵政民営化法案を否決したときに地獄の底に突き落とされた小泉さんが、いまは、してやったりとほくそ笑んでいる。

小泉さんはプロの大衆政治家である。大衆のつぼをよく心得ている。そうではないといくら批判されても、懲りもなく「官から民へ、公務員を減らそう」と単純な同じことだけを繰り返して大衆の支持を獲得した。

岡田さんはアマチュアの駆け出し政治家である。解散時に千載一遇のチャンスと色めきたったが、あとは郵政改革一点張りの小泉さんに押されぱなし。なす術もなく敗退した。

日本の郵政組織は多年にわたり地域の名士である特定郵便局長を中心として選挙のたびに自民党の集票組織として機能してきた。庶民はかねがねこれを苦々しく思ってきた。それが今度は小泉さんが水戸黄門よろしく地方の悪代官退治の先頭を切ったかのごとくであった。大衆は日頃の鬱憤を晴らし、拍手喝采した。

結果は自民党296、公明党 31、自公合わせて 与党は327、これに対して民主党113、共産党9、社民党7、野党3党を合わせても129、これに国民新党4、新党日本1、それに郵政民営化に反対し 自民党から追い出された人々を中心とする無所属18を加えても152、過半数241に遠く及ばない。代議士の数だけ見ると、野党は完敗である。

本当に日本の有権者はこれほど圧倒的に郵政民営化を支持しているのであろうか。

確かに比例区の票の動きを見ると、自民党は前回2003年11月の総選挙時に比べ520万票ほど票を増やし、2580万票ほど獲得している。公明党も 25万票ほど増やし、890万票に達している。合わせて3480万票ほどである。風は郵政民営化賛成に吹いた。

他方、民主党は前回に比べて105万票ほど票を減らし、2100万票ほどしか獲得していない。しかし、共産党は33万票、社民党も69万票ほど票を増やし、それぞれ490万票と370万票を獲得している。野党を合わせると2960万票ほどとなる。これに新党日本の164万票と国民新党の118万票を加えると、郵政民営化に反対する票は3250万票ほどに達する。

新党大地の43万票をどちらに入れるかで、その差は変わってくるが、せいぜい200万票から300万票ほどの違いである。

現在の選挙制度は民意を議席に正しく反映しない。このことを主権者は忘れてならないし、選ばれた代議士諸公も忘れないでいただきたい。主権者は自民と公明で何をしても良いと全権委任したわけではない。

今回の選挙で改革改革と騒ぎ立てた人は本当にこの改革がどこに行くのかを知っているのであろうか。改革改革の声に踊らされてあわててバスに飛び乗った人はその行き着く先がどこであるのかを知っているのであろうか。

私はこの15年ほど日本の大学改革の過程をを比較的身近に見てきた。その結果は教職員の人員削減や定年切り下げなどのリストラと大学の専門学校化である。大学の知的水準は低下し、大学人は知的に頽廃し始めている。

改革の賞賛者はこれで日本の大学もやっと旧制大学から新制大学になったと自画自賛している。

今回の選挙では郵政改革が構造改革の本丸であると言われた。私は本当の本丸は憲法第9条の改悪であり、郵政改革は本当の本丸を落とすための予行演習であると考えている。小泉さんの郵政民営化に反対するものへの懲罰は憲法改悪に反対するものへの見せしめである。

つぎの選挙が正念場である。

・・・かかしの悩み事・・・

その他

投稿者:かかし

この頃 悩むことばかり
村の子どもに言えるかな。
悪口言っちゃいけないよ
おとなは言っているけれど。

村の子どもが言ってます
人の話は聞きましょう。
そう言うおとなは聞かないね
テレビと議事堂の中の人。
この頃 悩むことばかり
村の子どもに言えるかな。
友達叩いちゃいけないよ
おとなは人を殺すけど。

村の子どもが言ってます
何で子どもが死んでるの。
なんにも悪いことしてないよ
おとなは訳がわからない!

今年もこの日がやって来て
子どもに何て教えよう。
今年も悩むことばかり
子どもに何て教えよう。

続・修学旅行と平和学習

近藤 泉

◆二学期が始まり、学校ではスポーツ、芸術、学問の発表の場など様々な行事が催され、子ども達はもとより親達も楽しみな季節となります。そして修学旅行の季節でもあります。

財政的な理由により修学旅行の行き先から広島・長崎や沖縄がなくなった現状は前に投稿しました。修学旅行に行かないからと「平和学習」まで消えてしまうの は、日本の教育行政の姿勢を象徴しているようです。所詮「平和学習」は意識の高い現場の先生方の努力で築かれたものであって、教育行政の立場からは教育に とっての「必須科目」ではなかったということなのでしょう。今年も来年度に向けて日本の過去の過ちを隠す教科書を選定する動きが各地で見られました。修学 旅行の現状が「平和教育」を避けようとする側に風を送ることにならなければよいなと危惧しています。

◆子どもは私達の未来社会からの預かりもの、何十年か経てば日本や世界を動かす存在です。

街なかで出会うその子ども達が作る社会で、私達大人は生きてゆくことになります。私達大人は子ども達に、自らの生きる意味を見つめ平和を考える教育を用意し、すべての人間の尊厳と生きる権利を奪う戦争の歴史を学ぶ機会を充分つくって来たでしょうか。自殺や殺人への憧れ、いじめ、自傷、バーチャル世界へののめり込み、ひきこもり、ニート、等々、、、。子ども自らが傷だらけになりながら、大人達が築いてきた教育環境への警鐘を鳴らしているように思えてなりません。

子どもの心理状態と環境は刻々と変化し次々と新しい認識も出てきますが、根本の問題は子ども達に「自分は確かに生きている。」との実感がないことと、「自 分が生まれてきたことはかけがえのない尊いことなのだ。」という喜びが湧かないことだと思います。「平和教育」で子ども達が得るものは正しい歴史認識だけ でなく、実は「生きる力」を貰うことに他ならないと思うのです。

◆私立高校では早い時期から海外修学旅行を実施してきましたが、都立高校でも検討されてはいるようです。

【東京都教育長】海外修学旅行は、日本と異なった文化や生活などに触れるよい機会であり、日本人としてのアイデンティティをはぐくむ上で大切な教育活動で ある。平成14年度から国際高校、飛鳥高校、蔵前工業高校を海外修学旅行の試行校として指定し、安全の確保や交流の方法、保護者の経済的負担などについて 検討してきた。今後、都立高校においては、試行校における成果や課題などを踏まえそれぞれの学校の実態を最も的確に把握している校長の判断の下で、実施で きるようにしていく。
(平成16年第3回東京都議会定例会より 平成16年11月5日発行 教育庁報No.497)

この件についてかなり前から議論されていることが窺え、縮小傾向の最近の国内修学旅行との間には多くの課題もはらんでいることと思いますが、子ども 達を国際人として育てるにあたっては、やはり人間として「生きる」意味に向き合わせてあげることが第一だと考えます。海の向こうではなくこちら側にある 「平和を訴える世界遺産」にまず学び、生きていることへの感謝と地球の危うい存在を知ってこそ、日本と異なった国の人々を愛しく想い互いを尊重するように なれるのではないでしょうか。

二酔人四方山問答(13)

岩木 秀樹

A:この前、朝鮮民主主義人民共和国に行って来たんだ。

B:え、本当、大丈夫だった。

A:みんなそんな風に言うんだ。行く前から、ちゃんと帰ってこれるのか。拉致されるんじゃないか。などと異口同音に言われたよ。

B:でも今の日朝関係や、世界情勢を見ても、そのような心配は当然出てくると思うよ。

A:それはそうかもしれないし、確かに普通の海外旅行とは少し異なった緊張感はあったことは事実だ。ただ現にこうやって元気に帰って来られたので、そのような心配は杞憂だった。

B:で、どうだった北朝鮮は。

A:その北朝鮮という言い方は、日本では略称として使われがちだけど、蔑称としてのニュアンスも混じっているため、朝鮮民主主義人民共和国では使われず、自分たちのことを共和国などと呼んでいる。ちなみに大韓民国のことは南朝鮮と言っていた。

B:へー、そうなんだ。

A:朝鮮民主主義人民共和国の地図、Map of Koreaでは、大韓民国を含む朝鮮半島全体が描かれ、南北国境線は他の道の境界線と同じ太さで描かれている。また朝鮮観光地図帖の朝鮮行政区域図には、朝鮮半島全体が行政区域とされている。

B:で、印象はどうだったの。

A:街はとてもきれいだった。確かに建物は老朽化し、道路もがたがたしているところが多かったけれど、みんなで協働で清掃しているからかゴミ一つ落ちていなかった。世界の大都会でこんな街もかなり珍しいんじゃないかな。

ホテルより平壌遠景
ホテルより平壌遠景。下は大同江。

B:へー、旅行者を狙うスリなんかはいるの。

A:スリや置き引きやボッタクリのたぐいの心配は全くなかった。旅行者がそのような心配もせずに旅行できる国はこれまた世界でも本当に少ないと思うよ。

B:じゃあ良いことばかりだったの。

A:予想に比べ、かなり快適だったことは事実だ。ホテルも日本と変わりなく、日本のBS放送も見られた。ただ自由な行動があまりとれなかっ たこと、入国と出国の審査ではスーツケースまで開かれ検査させられたことは残念だった。特に携帯電話を持ち込むことと、印刷物を持ち込むことは非常に神経 をとがらせていたようだ。

B:カメラの撮影はどうだった。

A:デジカメやビデオの撮影はほとんど自由だったから、色々なところを取った。ただ私たちが行ったところは、平壌と開城と板門店だけで朝鮮社会のほんの一握りしか見ていないけれど。

平壌の街並み。
平壌の街並み

B:やはりマスコミで報道されているように、かなり貧しい様子だった。

A:地方の様子は分からないけれど、平壌を見た限りではそれほど貧困にあえぐという状況ではなかった。商店やレストランは社会主義経済のせ いなのか、看板もでておらずどこにあるのかわかりずらかったけれど、汚い建物をいったん入ると、豪華なレストランがあったりしていた。単に道路から見てい ると、商店もレストランもないように見えるが、中にはいるとそれなりに商品が並んでいた。

B:なるほどね。また続きは聞かせてよ。

「靖国参拝問題」について(2)

今井 康英

今回は、再び「靖国参拝問題」について述べます。 このカテゴリには、4月27日以降、100件の記事を投稿しました。 今、総選挙で「郵政民営化」の是非だけを争点にしている小泉首相ですが、 国民に必ず実行すると公約したことはそれだけではありませんでした。 その一つが、8月15日に靖国神社を参拝することです。 しかし、この公約は、今年はまだ実行されていません。 首相にとっては、靖国参拝は「心の問題」だそうです。

共同通信(6月8日)によると、 自民党の野田毅元自治相(日中協会会長)は同日午後、 首相と官邸で会い、首相の靖国神社参拝について 「中国から言われて参拝をやめるのではなく、 国益を考えて大局的な判断をすれば、事態は改善する」と中止を求めた。 野田氏によると、首相は参拝問題には言及せず 「わたしは日中友好に熱心だ」と述べるにとどめた。 首相はこの後、靖国参拝について、官邸で記者団に 「きちんと説明している。国会の答弁でも、皆さんにも。 公約以前の問題、個人の心の問題ですから」と指摘。 中国などからの批判に対しては 「話せば分かる問題もあるし、分からない問題もある。 国内でも国外でも意見の対立があるが、 お互い友好な関係を築いていこうという精神が大事だと思う」と強調した。 (首相が自身の靖国参拝について、どれほど説明したのだろうか? 私には、相手に分かってもらおうと話をしたようには思えないが。)

産経新聞(8月16日)によると、 靖国参拝について首相はかねて、「一年に一回」とし、 今年5月の衆院予算委員会では「いつ行くか適切に判断する」と述べている。 いずれにしろ、今年中に参拝するのはまず間違いない。 首相は今春、周囲に 「靖国で譲れば日中関係が円滑にいくなんて考えるのは間違いだ。 靖国の後は教科書、尖閣諸島、石油ガス田…と次々に押し込んでくる」 と漏らしていたが、最近はこんな言い方をしている。 「(日本人の)心の問題に踏み込んだことを中国は後悔するだろう」

共同通信(9月4日)によると、 首相は同日午前、NHKと民放2社のテレビ討論番組に出演、 自らの靖国神社参拝について 「戦没者に対し追悼の念を表現する心の問題にまで介入されて良いのか」と述べ、 靖国参拝を批判する中韓両国に不快感を表明、独自の判断で参拝を続ける考えを示した。

私も、戦没者追悼が「心の問題」であることには同意しますが、 中国や韓国の人々の心に対する配慮に欠けているのではないかと思います。 日本人の「心の問題」だけを大事にして、 なぜアジア諸国の人々の「心の問題」を大事にしないのか? こんな態度では、いくら謝罪と反省の言葉を述べても、 アジア諸国から信頼されることはないと言わざるを得ません。 もはや「日米同盟」だけをやっていれば済む時代ではありません。 そんな時代錯誤な首相を退陣させるには、 今回の選挙は良いチャンスだと思うのですが、 果たして日本国民は、9月11日にどのような審判を下すのでしょうか。

我が土、我が民(その7)-故郷の大地を俯瞰する(その3)

王 元

臨渙には安徽省境内保存状態の一番良いと言われる土城(土の城壁)がある。漢代のもので、宋まで歴代の王朝が整備してきたが、元の時代廃棄したとい われる。下図で示すように、正方形に近い形で、面積は約1.96平方km(1.4 km×1.4 km)、高さは7 m -15 m、南は澮河に面し、東、北、西三面に「護城河」(防衛のために城壁を取り囲む堀)が流れる。護城河の深さは約4m、広さは約10m。

居民の生活区1980年代までは東南の約三分の一の区域に集中したが、いまは城壁内全域まで広がった。

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レンガ構造にしなかった原因は不明。故郷には「夜転亳州」という伝説がある(臨渙のレンガ構造の城壁が一夜で亳州のものになったという話)。

黄土を「夯」という技法で固める構造であるため、長年風雨の浸蝕にもかかわらず、北の段保存状態がいい。1970年代、「農業学大寨」の下で行われた 「平整土地」により、その時まで、ほぼ完全な状態である北の段の外の面(北の面)は、少なくとも、四分の一が削られてしまった。

しかし、黄土であるため、煉瓦焼きの格好の材料になる。特に人民公社時代の煉瓦窯は皆土城をくいものとした。また、粘性の高い黄土は練炭の球つくりにも 必要な材料だ。こうした人間の破壊活動により、現在は旧生活区に近い東南の段はかつての「城壁」の面影がなく、東、西の段も長い「小土岡」しか見えない。 今は植木、草が見えるが、昔(僕の小、中学校時代)、城壁が皆の物であるため、樹木、草も全て採られて、禿げ城であった。

臨渙土城 北の段
臨渙土城 北の段

臨渙高校の操場から見る臨渙土城 東の段
臨渙高校の操場から見る臨渙土城 東の段

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土城は臨渙人の公共墓地でもある(所謂「土葬」)。東の段、保存状態の悪い東門の付近。写真には『臨渙区志』主編の呉延東先生(右)、筆者(中)、県技術局長(元臨渙鎮長)の宋克華氏。