コラム・論考

米英の対イラク攻撃に反対する

岩木 秀樹 (2003年3月23日 17時10分)

米英の対イラク攻撃は、国連憲章第7章違反である。国連憲章が認める武力行使は、①武力攻撃が発生した場合、安保理が必要な措置をとるまでの間、国家に認 められる個別的または集団的な自衛権の行使と②平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為に対する集団的措置として安保理が決定する行動の二つだけであ る。①について、自衛権の発動の要件であるイラクによる武力攻撃は発生しておらず、ましてや先制的自衛権の法原則は存在しない。②についても、安保理は決 定していない。安保理決議1441は武力行使に同意を与えたものではない。だからこそ米英は武力行使の新決議を求めていたのである。また現在の主権国家体 制では、内政干渉、国家指導者のすげ替え、国家転覆は国際法上できないのである。どのような国際法的観点から見ても、今回の英米のイラク侵略は、許される ものではない。

国連決議を履行していないと言われているイラクに対して、国連決議なしの米英による攻撃は説得力がない。「まず、イラクに非がある」との説明もある一面 しか見ていないためにするための議論である。法を犯したものに対しては何をやってもよいのか。相手に非があれば脱法行為、人殺し、侵略をしてもよいのか。 イラク侵略は、人類が営々と築いてきた非戦の誓いを破る、文明から野蛮の世界への退行である。

そもそもイラクには本当に差し迫った重大な脅威が存在するのだろうか。1998年までに大量破壊兵器の90から95%は検証可能な形で廃棄されたと元国 連兵器査察官であるスコット・リッターは指摘している。さらにリッターは、炭そ菌問題について、イラクが製造した炭そ菌は貯蔵寿命3年の液体炭そであり、 ブリクス委員長はイラクの工場から出荷された最後の炭そ菌が1991年産であることに言及していないと非難する(『世界』2003年4月号76頁)。その ブリクス委員長ですらあと数ヶ月の査察延長を要求し、次第にイラクも譲歩してきた矢先のイラク攻撃であった。

非民主的で、非人道的で、大量破壊兵器をもち、国際法を遵守していないのはイラクだけではない。なぜ今イラクなのか。最も恐れることは、米国が今後、恣意的に「新しい脅威」をでっち上げ、全世界に今回の事例を適用することである。
今回のような攻撃はテロにさらなる口実や正当性を与えてしまう危険性がある。米国及びその同盟国は新たなテロの恐怖にさらされるだろう。

9・11事件以後米国はイラクに関して、アルカイーダとの関係、テロ支援国家、大量破壊兵器廃棄、国家転覆と次々に政策をずらしていった。確たる証拠がな いのでずらさざるをえなかったのである。米国の対中東政策はあまりにも場当たり的で、長期的ビジョンにかけている。敵の敵は味方とばかり、以前はアフガニ スタンやイラクを軍事的にも大きく支援していた。湾岸戦争後ですら、イラクがクルド人やシーア派に攻撃を加えているのを米国は座視していた。フセイン体制 存続によるサウジアラビアでの米軍の長期駐留が目的であったとも言われている。

そもそも現在の不安定な中東諸国体制は、第一次大戦後に欧米によって作り出されたものである。ヨーロッパにおけるユダヤ問題を、中東に転嫁してパレスチ ナ問題が発生した。冷戦崩壊後、湾岸、旧ユーゴスラヴィア、チェチェン、パレスチナ等で戦禍が続いている。イスラム教徒には、欧米を中心とした大国によっ て虐殺をされ続けているという意識がある。現在の中東諸国の権威主義体制、石油利権、米国等の大国の三者は、共犯関係にあり、当該地域の民衆を苦しめてい る。

冷戦後のアメリカは狭隘な単独主義に陥っている。コソボでもイラクでも安保理決議なしに戦争をし、包括的核実験禁止条約、弾道弾迎撃ミサイル制限条約、 生物兵器禁止条約、国際刑事裁判所設立条約、温暖化防止に関する京都議定書等の様々な機構から米国は脱退した。国際社会を無視し、圧倒的な大量破壊兵器を 有した、選挙民の多数の支持を得ていない、つまり民主的な手続きに疑問のある米国の政権こそ重大な脅威をもった国であろう。

米国内で、「新しいアメリカの世紀のためのプロジェクト PNAC(Project for New American Century)」が1997年より活動を開始した。これは軍事予算を3割カットしたクリントン政権に不満を抱く、共和党タカ派、民主党ネオ・コンサバ ティブ派、軍産複合体関係者らによって作られたものである。これには、チェイニー副大統領、ラムズフェルト国防長官、ウォルフォヴィッツ国防副長官、ボル トン国務次官、アミテージ国務副長官、エイブラムス国家安全保障会議中東政策責任者らが中心人物として名を連ねている。彼らの主張は2000年9月の報告 書に集約されるが、その中身は「軍事力を背景に市場経済と人権と民主主義という価値を世界に定着させる」というアメリカ至上主義に特徴づけられる(『世 界』2003年4月号68頁)。

日本は今回、アジアで孤立した。「日本には北朝鮮問題があるから、米国に同調すべきだ」という論調もあったが、むしろ北朝鮮問題があるからこそ平和裏に 物事を解決する必要があった。このままでは逆に危険な方向にいってしまう。米国の圧力にもかかわらず、日朝交渉を進めるべきであろう。そもそも北朝鮮問題 があってもなくても、米国に同調せざるをえない日米安保体制の弊害が露呈してきたということであろう。軍事面での米国追従では日本の国益に合わない状況に なってきた。日米も含めた包括的なアジア地域での人間の安全保障が待たれる。

今回の米英によるイラク攻撃に対して、全世界で大きな反戦、反米運動が展開されている。日本をはじめ多くの国の世論調査では戦争反対が多数を占めている。このことは大きな希望であり、米英の指導者は謙虚に耳を傾けなくてはならない。

今求められるのは、米英及びイラクの犠牲者を一人でも少なくするための即時停戦であろう。その後パレスチナ問題等の中東イスラム世界の諸問題を包括的に 論じ合うための国連を中心にした「中東平和会議」の開催を呼びかけたい。さらに全世界における大量破壊兵器の削減・廃絶をめざす「世界大量破壊兵器廃絶機 構」を国連に立ち上げる必要があろう。またテロには軍主導ではなく、国際刑事裁判所による警察力で強制執行するようなことも検討されるべきであろう。

さらに、グローバル化のなかでの格差の是正、戦争システムの克服、中東における公正な安全保障体制の構築が急がれる。いずれにしてもフセインを倒しても 問題は根本的に解決しない。武力では問題は解決しないということを、人類は何度も確かめてきた。21世紀こそ人間・生命・平和の世紀にする必要がある。

ニューヨークの反戦デモに参加して

中西 治 (2003年3月23日 0時00分)

2003年3月22日(土)にニューヨークのマンハッタンで催されたアメリカのイラク戦争に反対するデモを見に行きました。午前11時前にデモの出発点 であるブロードウェイの33番通りに着きました。現地には続々とデモの参加者たちが集まってきており、デモの主催者たちが記者会見をしていました。私はま ずは腹ごしらえと近くの韓国人街のレストランに行きました。

デモは予定通り正午少し過ぎに出発し始めました。マンハッタンを南に下り、ユニオン広場を経て西4番通りのワシントン広場に至る普通に歩けば30分ほど のコースです。私はデモの全部を見ようと思って33番通りの角に立ち、参加者や参加者の唱えるスローガン、衣装、プラカード、パフォーマンスなどを見てい ました。10万人から15万人が参加すると言われていましたが、実際にどのくらいの人が参加するのかが最大の関心でした。

ブッシュ大統領の開戦演説の翌20日(木)に『今日のアメリカ(USA TODAY)』とCNNテレビとギャラップ世論調査が602人の成人を対象に行なった合同世論調査ではアメリカがイラクとの戦争に向かうことを決めた決定 を強く支持する人が60%、強くではないが支持する人が16%、強く反対する人が15%, 強くではないが反対する人が5%でした。アメリカ国民の4人に 3人がブッシュ大統領の戦争を支持していることになります。本当にそうなのでしょうか。私は自分の目で確かめたかったのです。

確かにアメリカではいま愛国心が掻き立てられています。戦争に公然と反対しにくい雰囲気が作り出されています。民主党の上院院内総務ダシュルさんはブッ シュ大統領の開戦宣言の直後にアメリカが国連安全保障理事会で新たな決議を得られなかったことを批判してブッシュ大統領は外交的失敗をしたと述べたのです が、共和党はこれに反論してブッシュ大統領をいま批判するものは愛国者ではないと強く非難しました。この非難に耐えかねてかダシュルさんはアメリカ合衆国 大統領は最高司令官であり、今日、我々は彼の後ろで団結していると言わざるを得なくなっています。

アメリカ憲法では宣戦布告は議会の権限です。しかし、2002年10月10日の上下両院の共同決議でブッシュ大統領にイラクに対して軍事力を行使する権 限を与えていますので、宣戦布告の決議は議会では特にされていません。軍事力行使の決議に賛成することは宣戦布告に賛成することでした。このことは私たち 日本人も肝に銘じておくべきでしょう。

デモが始まって1時間ほど経った時に戦争に反対する元気一杯の女性の集団が近付いてきました。先頭に立つ長い横断幕を持った人の中に一人男の人がいまし た。見ると元日本平和学会会長の岡本三夫広島修道大学教授でした。岡本さんも私に気付き手招きをされています。側に行くと、一緒にデモをしませんか、と言 われました。私も入って岡本さんの隣で横断幕を持ちました。私は見物人から参加者になりました。

私たちの一団が終着点に着いたあと私はふたたび出発点に戻りデモの流れを見ていました。デモは延々と続き最後の集団が見えたのは3時少し前でした。私は その集団のところへ行き、その隊列の最後に着きました。私のうしろには警備を終えた警察官たちが続いていました。私は出発点の33番通りの角まで歩きまし た。参加者の数は分かりませんが、今朝(23日)のテレビは10万人と報じていました。私は多くのアメリカ人が大変厳しい状況のなかで戦争反対の意志を明 確に表明したことに感銘をうけ、心強く思いました。

私は戦争開始後のアメリカのテレビを見ながらこれは完全なアメリカの侵略戦争であると思いました。アメリカのテレビはイラクに百数十ある油田のうち火の 手をあげているのは9であり、あとは無事に確保されたと伝えていますが、語るに落ちたというものです。国連安全保障理事会はただちにこの侵略行為を止めさ せなければなりません。国連ができなければ地球上の人々が声を高めて止めさせなければなりません。アメリカはこれまでもラテンアメリカなどで他国の政権を 軍事力を行使して潰してきました。アフガニスタンに続くイラクでの今回の行為は21世紀初めにおける蛮行です。

デモのプラカードやスローガンのなかでもブッシュ大統領を弾劾すべきであるとか、ブッシュ大統領を侵略者として糾弾し、その戦争開始の責任を問うべきで あるとかの指摘がありました。私もそのように思います。ブッシュ大統領の再選はないでしょう。歴史はブッシュ大統領の今回の行為に対する責任を厳しく問う ことになるでしょう。

米英によるイラク攻撃の速やかな停止を要求する ―自制心もてぬ主権国家から武力行使権限を剥奪する国際社会システムを創造しよう―

玉井 秀樹 (2003年3月22日 17時12分)

今回の米英によるイラク攻撃はきわめて遺憾であり、その速やかな停止を要求する。この武力侵攻は一国の体制転覆を目的とした国連憲章の精神にもとる国家 行為であり、実際の攻撃に転じる以前から、武力による威嚇をもって国連安保理決議の遵守を要求するなど、米国・ブッシュ政権は当初から武力行使を前提とし た対イラク圧力をかけていた。同政権の自制心の欠如した政策こそが、武力侵攻以外の事態打開策を不可能にした主たる要因であると考えるが、米国の自制心を 失わせた国際社会にも問題がある。

イラクでの事態について言えば、まず、国内における重大な人権抑圧と中東地域において軍事的覇権を追及するという、イラク・フセイン政権自体の重大な過 誤を指摘しなくてはなるまい。しかし、そのように問題のあるイラク政権の軍事大国化を可能にしたのは米国の対イラク軍事支援であったことは看過できない。 国際社会におけるパワーの源泉を軍事力においている大国、しかもかつてはその力を与えてくれた大国が要求する武装解除に説得力はない。イラクを増長させた 原因は米国政権自らにもある。

米国は国際社会でフセイン政権が大量破壊兵器を保有することの危機を訴え、国連安保理常任理事国5カ国もそれに同調した。しかし、彼らは自らが大量破壊 兵器を保有することが危険ではないということを一切証明しなまま、そうした兵器の独占体制を変えようとしていない。大量破壊兵器は存在そのものが人類に とっての災厄なのであり、持ち主によって危険度が変わるわけではない。常任理事国自らの大量兵器廃絶への努力も示さないままに要求する武装解除に説得力は ない。イラクを増長させた原因は国際社会にもある。

2001年の9.11事件については不明の部分多いが、今や象徴的な対米抵抗運動とみなされている。こうした対米抵抗運動を”テロリズム”として恐怖 し、過剰報復する米国政権の反応には、無反省な独善性さえみることができる。しかし、国際社会は、暴力的抵抗運動の不適性を糾弾するとともに、そうした抵 抗についての真摯な内省ができる米国となるよう説得・協力すべきところ、米国政権に恐怖心=反撃欲求の抑制のみを要求し続けた。そのためついに米国政権の 自制心を強化することができず、攻撃欲求の抑制にも失敗した。

今や地球上に比肩しうるもののない軍事超大国になった米国には、その力にふさわしい自制的行動が要求されると考える。しかし、9.11事件から今回のイ ラク侵攻にいたる過程をみれば、そのような一方的な米国への期待が自然に実現するようには思われない。そこで、恐怖心=武力依存性を抑制するという過重な 責務をひとり米国にのみ押し付けることがないような国際社会のシステムを構築することを訴えたい。すなわち、あらゆる軍事力を国際社会の統制下におくとい うことである。今日の国際安全保障システムである国連システムの基礎となったカント平和論の完結、つまり、主権国家による常備軍廃止の完全実施を今こそ推進すべきであると訴える。

21世紀の人類社会はすでに軍事力を行使する必要のない紛争解決、人権回復、社会変革のシステムや技法を開発、発展させてきている。主権国家から軍事力 行使権限を国際社会に譲渡し、民主的な国際社会警察の創設によって、このような非暴力システムのグローバリゼーションを可能にしようではないか。

イラク攻撃に対する所感

その他 (2003年3月21日 17時14分)

投稿者:澤入 恵子

充分ではありませんが、イラク攻撃に対する私の意見をのべさせていただきます。

私は、いかなる武力の行使も、また武力を保持する行為も、認める立場ではありません。したがって、日本国憲法を高く評価するものの一人です。

有名な第9条では、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇、又は武力の行使は、国際紛争を 解決する手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とあ ります。

この条文は、戦争の悲惨さを体験した国民が、世界に発した人類のあるべき姿へのメッセージだったはずなのです。

しかしこの9条の解釈を歪めることによって、日本は、戦力を保持し、他国の行なう戦争行為に加担する国となりました。憲法第99条では「天皇又は摂政及 び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定められているにもかかわらず、昨年は「テロ対策特別措置法」を強 行採決し、今回のアメリカのイラク攻撃についても、胸を張って支持しています。

なんと恐ろしい独裁でしょう。

憲法に抵触する問題を、国会の場で議論することもなく、一方的な政府与党の見解だけで、日本が動いているのです。このような非民主的な行為を見過ごし、許してはいけないと思います。

アメリカのイラク攻撃は、国連の場での議論を放棄し、対話による国際問題解決への道を断ち切った驚くべき暴挙です。もっとも京都議定書を離脱し、国際刑事裁判所に批准すらしていない国ですから、おして知るべしですが。

己のみを正義とし、自分の意に添わない人間を悪と決め、これを力づくで排除しようとする発想は恐るべき自己中心主義です。驚くべき人権侵害です。

しかし、こんなことが国のレベルで行なわれ、なおかつそれを支持する国があるのです。

人は理性を失った時、暴力という行動に出ますが、国家レベルでの暴力行為が現実に行なわれ、なお且つ、その国を容認し、支持する国があるとは…。

友が誤った行動をとろうとしたら、それを止めるのが真の友情でしょう。まして、人を殺す話なのです。それを支持するのは、たとえどんな理由をつけようとも、結局同じ思考の持ち主なのです。

悲しいことに私はその国の一員なのです。

中国の人に、北朝鮮の人に、ベトナムの人に、カンボジアの人に、アフガンの人に、イラクの人に、一生をかけても償うことはできませんが、「地球上の全軍備撤廃」という夢に向かって、自分のできるところから、行動してまいりたいと思います。

アメリカのイラク戦争開始にあたって

中西 治 (2003年3月19日 0時00分)

アメリカが2003年3月19日アメリカ東部時間午後9時30分(日本時間20日午前11時30分)頃に遂にイラクへの戦争を開始しました。2002年4 月1日に日本を発つ時にすでにアメリカのイラク攻撃は必至と見られていましたので別に驚きではありません。むしろ、アメリカ国民と地球の各地の人々が今日 までよくブッシュ大統領の手を縛り付けてきたと思っています。

ブッシュ大統領のテレビを通じての開戦演説を聞きながら51年余り前の1941(昭和16)年12月8日の日本によるアメリカへの宣戦布告を発表したラ ジオ放送を想い起こしていました。アメリカ国民の多くは今回の戦争に賛成していると言われていますが、あの時に日本国民が示した程の熱狂は今のアメリカに はありません。私のまわりにはこの戦争を積極的に支持する人は一人もいません。3月22日(土)午後にはニューヨークで10万人から15万人が参加する戦 争反対のデモが予定されています。

ブッシュ大統領の演説に力はありませんでした。イラク国民への尊敬の念をもって戦争を始めるというのです。このような宣戦布告演説を聞いたことはありません。尊敬の念を持っているのならば、その人々が殺される戦争をしなければ良いのです。

目的はただ一つ、フセイン大統領を殺し、アメリカの思うようになる人物を政権の座につけて、イラクの石油を思いのままにすることです。

アメリカはこれまでイラクが持っているか持っていないか分からない大量破壊兵器を無くすためと言ってきました。私も大量破壊兵器はもちろんのこと、すべ ての兵器に反対です。したがって、私はアメリカの主張に賛成です。しかし、もしアメリカがイラクに対して大量破壊兵器の廃棄を求めるのであるならば、まず アメリカが率先してこの種の兵器を廃棄すべきでしょう。自国はたくさんの大量破壊兵器を持ちながら他国に対してのみそれを求めても説得力はないでしょう。

私は今回のアメリカ国内旅行中にサクラメントで中年のアメリカ人夫婦と知り合いになりました。ご夫婦のお嬢さんは数年前に大阪の高等学校で学ばれたよう です。その奥様からイラクの核兵器について聞かれました。その時に私はいま世界でもっとも危険な兵器はアメリカが持っているたくさんの核兵器であると答え ました。しかも、アメリカはこの兵器を使った世界でただ一つの国です。この方からまたフセイン大統領をどう思うかと尋ねられました。私はフセインはイラク の大統領であって、アメリカ合衆国の大統領ではないと答えました。

フセイン大統領は確かに問題のある大統領のようです。しかし、問題のある大統領や首相は他にもいます。私はブッシュ大統領も問題のある大統領であると 思っています。アメリカ国民の中にも未だにブッシュ大統領は投票結果をねじ曲げクーデターによって大統領になったと主張している人がいます。しかし、私は ブッシュ大統領の退陣やましてやアメリカからの退去などは求めません。それはアメリカ国民が決めることです。フセイン大統領の運命を決めるのはイラク国民 です。

ブッシュ大統領はヒトラーを引き合いにだし、宥和政策が第二次大戦をもたらしたのであるから今のうちにフセインを叩き潰しておかなければならないと言っ ています。しかし、今、世界制覇を唱えているのはだれでしょうか。フセイン大統領でしょうか、ブッシュ大統領でしょうか。

アメリカは21世紀の地球秩序をアメリカ主導で力によって作り出そうとしています。そのためにアメリカではこの1年間に本土安全保障省の設置をはじめと して急速に戦時体制が敷かれてきました。戦争に反対する人は愛国者ではないと非難されています。ここでも国家総動員法の制定から真珠湾への道が二重写しに なります。

アメリカはイラクにさまざまな兵器を廃棄させ、大量破壊兵器が無くなれば戦争はないと言いながら、まだ残っていると言って戦争を始めたのでした。これで はだまし討ちではありませんか。近代兵器を駆使し、丸裸同然のイラクを叩くのですから戦場で勝つのは当然でしょう。しかし、アメリカは道徳的には負けてい ます。アメリカには大義がないからです。

ブッシュ大統領はアメリカの歴史上初めて先制攻撃をしました。これまでも小競り合いを利用して戦争を始めたことはありますが、今回のようなことはなかっ たのです。しかも、アメリカは独立革命以来の盟友であったフランスの支持を失いました。ブッシュ大統領はフランス、ドイツ、ロシア、中国などヨーロッパ大 陸からユーラシア大陸、アジア大陸の主要な国の反対をうけています。戦争開始の段階で国の内外にこれほど大きな反対をうけている国は最後には敗北するで しょう。

日本はアジアでただ一つ積極的にアメリカを支持することを表明した国です。小泉さんにはもう首相を止めてもらわなければなりません。口でいかに平和を唱 えても戦争を積極的に支援する小泉さんを支持する人は戦争を支持する人です。真に平和を求める人は今こそ毅然として平和の側に立つべきです。ここで小泉内 閣が潰れ日本国の首相が代われば今回の戦争の過程も変わりますし、21世紀の地球の歴史が変わります。

私は確信を持って平和の側に立ちます。

設立記念講演会を終えて ―新しい船出に際して

岩木 秀樹 (2002年3月19日 2時51分)

2002年3月17日、かながわ県民センターにおいて、地球宇宙平和研究所中西治理事長による設立記念講演会が開催された。

2001年10月1日の地球宇宙平和研究所準備委員会の発足、12月15日の設立総会の開催、2002年1月28日の特定非営利活動法人設立認 証の申請を思い起こすと感慨深いものがある。まだ始まりの始まりに過ぎないが、第1回講演会を開催することができ、多くの方に感謝をしたいと思う。

講演会には皆さんお忙しい中、九州など遠路から43名の方々がお越しになった。その後の懇親会にも23名が参加され盛況であった。

講演会のテーマは「現在の国内・国際情勢と地球宇宙平和研究所の役割」であり、研究所の将来を指し示すものであった。宇宙・地球・人類の誕生から説き起こし、時間的にも空間的にも長いスパンで考察し、人間の幸福と平和を希求するものであった。

戦争と革命の時代であった20世紀はあまりにも犠牲が大きかった。20世紀の教訓とは内外の紛争は武力ではなく平和的に解決することを確認した ことである。講演では、21世紀初頭の国内・国際情勢にも触れられ、大きな転換点である現在、人類の全ての成果に学びながら、宇宙的視野で考え、地球的規 模で活動することが重要であると指摘された。

私がこの講演会で最も印象深かった点は、「やられてもやり返さない」思想である。紛争の絶えない世界にこの言葉は非常に重い。また実行すること は言葉で発するほど簡単ではないのも事実であろう。しかし幸福と平和を求めて止まない人類は、古来より「やられてもやり返さない」思想を昇華するために宗 教や哲学を作ってきたといっても過言ではないであろう。

他者の痛みや苦しみへの共感が根底にある「抜苦与楽」の仏教の思想。「ひとりの者を救う者は世界をも救う」のユダヤ教の思想。目には目をではな く、悪しき者には手向かわず、「人もし汝の右の頬を打たば、左をも向けよ」のキリスト教の思想。戦争の家から平安の家への「ジハード(絶え間ない努力)」 を説くイスラームの思想。「やられてもやり返さない」思想は、このような古今東西の思想と通底し比肩するものであろう。

私たちの新しい船出に際して、この思想を高く掲げ、さらに現実化、具体化、理論化を図り、地球と宇宙の平和構築に寄与していきたい。

理事長就任に当たって

中西 治 (2002年1月28日 2時52分)

2002年の新春をお慶び申し上げます

「特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所(Institute for Global and Cosmic Peace=IGCP)」の設立総会が45名の設立者の賛同を得て2001年12月15日にかながわ県民センターで開催され、2002年1月28日に神奈川県県民部県民総務室へ法人設立認証の申請を行ないました。県公報による公告、県民総務室での2か月間の縦覧を経て認証を受けたあと、法務局に法人設立登記をし、設立登記完了届を県へ提出することによりすべての手続きが終わり、研究所は正式に発足します。

小室金之助創価大学前学長ご夫妻をはじめ中国の先生方、各界で活躍されている多くの方々が設立者として参加されたことに心から厚く御礼申し上げます。

設立総会で12名の理事と2名の監事が選任され、第一回理事会で理事長に中西治、副理事長に佐藤智子さんが互選されました。そこで理事長就任に当たって設立に至る経緯と私たちの地球宇宙平和研究所がめざす目標について所信を述べたいと思います。

この研究所の淵源は30年前の1971年4月に遡ります。私が1969年から教え始めた神奈川大学の学生が3年生になる段階で私を中心としたゼミナールを開いてもらいたいとの要望を大学当局に出しました。私は当時、非常勤の講師であったにもかかわず、大学当局は学生のこの希望を入れて、ゼミナールの開設を認めました。私のゼミナールは大学のゼミナールとして理想的な出発をしました。その後、1974年に神奈川大学外国語学部の専任教員となり、1976年にゼミナール発足5周年を記念してゼミナール誌を出すことになりました。

ゼミナール誌の名称をめぐって様々な意見がありましたが、結局、『輩流』ということになりました。この案を出したのは今回、理事に選任された牧野常夫さんでした。『輩流』創刊号には次のような編集後記が編集委員によって書かれています。「”輩流”という名のいわれであるが、同じ何かを求めあう目的を持ちあったものが一つ場に集まり、会して議して議して会する、これが同輩である。僕達は通常、孤独であることを忘れて生活している、あるいは自分をごまかして生活している。現実は常に流れ行き、僕達は多種多様の経験にもまれ、視野は絶えず外界に向いている。同輩は一つ場に集まり、そこで心の安らぎを覚え、そして自分を見つめ、孤独を認識し、自分の中の世界の存在を知る。在学中だけでなく卒業してからもそういう形でのつながりを持ち続けていく。そんな人間と人間の姿を追求してゆきたい願望をこのタイトルにこめて名づけたものだ。」

神奈川大学のゼミナールは私が1977年に創価大学に移ったあと一時休ませていただきましたが、1992年9月に私がモスクワ大学で10か月間研究するために日本を離れるまで続きました。1978年10月1日に私がゼミナールを担当した法政大学、神奈川大学、創価大学の卒業生・在学生が中心となって「輩流会」が組織されました。1979年に創価大学の最初のゼミナール生が出した卒業論文集は『輩流』と名付けられました。その時のゼミナール幹事が今回、同じく理事に選任された林亮さんです。その後も創価大学で出された『輩流』は「輩流会」の機関誌的な役割を果たしました。1986年12月30日に「輩流会」を基礎として地球と宇宙の平和をめざす国際研究所(International Institute for Global and Cosmic Peace=IIGCP)が設立されました。この国際研究所は主として研究・出版活動を行なってきましたが、2001年10月1日に設立15周年を記念して特定非営利活動法人の研究所をつくる準備委員会を発足させました。それからわずか45日で設立総会が開かれました。

「特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所」はこのような前史を持っています。しかし、この研究所はこれまでの国際研究所と目的は同じですが、大きく異なっています。それはこれまでの研究所はゼミナールの同窓生を主たる構成員とした私的な団体でしたが、今度の研究所は公的な団体です。これまでの研究所も世界に広く開かれていましたが、今度の研究所はすべての人々に開くことが法的に義務づけられています。私たちは新しい研究所をこれまでよりも量的にも、質的にも優れたものにしたいと願っています。新しい「特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所」が認証され、正式に発足すると同時に、これまでの国際研究所は発展的に解消します。

地球宇宙平和研究所は地球上に住む60億以上の人間の生活、文化、社会、歴史を調べ、その知識を人々に普及します。人間と人間社会を良く知り、その多様性を認め、それを互いに尊重しあうことが人々が平和に生きるための基礎です。地球上で戦争が起こらないようにし、起これば、即座に止めさせ、広がらないようにし、地球上の戦争が宇宙空間に拡大しないように努力します。また、地球上の平和を確立するための方策と組織を提言します。私たちの研究所がめざす平和は地球と宇宙の全体的な調和のとれた平和です。

地球宇宙平和研究所は人間の幸福と平和への灯台の役割を果たしたいと願っています。

志を同じくする多くの人々のご参加をお待ちしています。

全 54 ページ: « 最初 ... « 51 52 53 [54]