7. #19 「動くタイプ (印刷機) 」: ユニバーサル・ヒストリー(宇宙地球史)入門(2)
中西 治 (2011年11月28日 21時04分)
科学技術革新の多くのリストのトップに現れるのは「動くタイプ (moveable type) 」である。
多くの西洋主義者たちは 1436 年のグーテンベルグ (Gutenberg) の印刷機 (press) に最初の「動くタイプ」の名誉を与えたいであろう。
実際は、「動くタイプ」は 1040 年の帝政中国にまで遡る。そこでは活字 (pieces) は陶器 (ceramic) であった。
朝鮮人の発明も早く、中国から 200 年ほど遅れて、幾つかの金属 (metals) を使って、これをおこなった。
困難は次の点にあった。
中国語と朝鮮語のような、 5000 字もの文字を有する象形言語にあっては、 5000 字の入った箱システムから一字一字活字を見つけ出し、置き換えるのに時間が掛かり、タイプをセットするのが、非実用的で、非効率であったことである。
朝鮮人と中国人はまた、官僚制度と政府制度に対して印刷を制限した社会機構を持っていた。そこには印刷物に対する私的市場がなかった。結局、これらの文化は一枚刷りの木版印刷に戻っていった。
私たちにとって幸いなことに、グーテンベルグは「動くタイプ」、特殊インク、および、効率的印刷のアイデアを思い付き、タイプ金属と呼ばれていた錫、鉛、アンチモンに将来性があることを理解した。
彼の科学技術革新はすでに準備されていた市場を発見した。その時までに、ヨーロッパのすべての教育をうけた人はウルガタ聖書 (Vulgate Bible=教会公認のラテン語訳聖書) を望んでいたからである。自分自身の聖書を持ちたいという願いが市場を駆り立てていた。
これはまた発明品を守ることに失敗した例であった。
グーテンベルグは彼の工場のすべての見習い工、および、彼の店で働く全員に厳格な非公開協定に署名させていた。ところが、グーテンベルグが「動くタイプ」を使い始めて 5 年以内に、この技術が広く普及し、彼の見習い工たちが去り、それぞれの店を持った。そして、かくなった。
