爆笑問題・太田光がんばれ。
高橋 勝幸 (2006年11月1日 1時17分)
2006年10月2日の新聞の全面広告「安倍さん、本当に憲法 変えちゃう気ですか。」少なくとも朝日と読売には広告が掲載されました。太田光と中沢新一が並んで腕を組んで立っていました。カラーです。「安倍さん、本当に憲法 変えちゃう気ですか。」このメッセージが広く届いたことを期待したいと思います。
爆笑問題の太田光はなかなかいいと思います。私はファンです。太田光は1965年生まれで、私と同じ年であります。この世代は、高校、大学で60年安保世代あるいは70年安保世代の教員の影響を受けているのではないかと思われます。
終わっちゃいましたけど、日本テレビ系の「爆笑問題のススメ」も面白かったです。いろいろな作家、文芸人を呼んで、対談する番組でした。ここでも、自民党批判、平和擁護、戦争反対の舌鋒をふるっていました。
TBSラジオの深夜番組(火曜。正確には水曜、午前1時)「爆笑問題カウボーイ」も昨年の8月(24日)、9月(14日)あたりは「シリーズ、太田はこう思う」(少なくとも10回)という特集を組んで、太田光が2時間ぶっ続けで戦争、平和、憲法9 条、靖国、テロ、イラク戦争、総選挙について毒舌を発していました。今年の8月はそれもなく、残念でした。お笑いで、がんばっているけれども、なかなか引き締めが厳しいのだろうと、想像します。
最近ではやはり日テレ系金曜午後8時から「太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。」で毒舌を聞けます。これは模擬国会で、提出された法案をディベートします。可決されたものは実際に国会にもっていくことになっているそうです。10月6日の番組では、「『憲法9条の日』という祝日をつくります」という提案を太田総理が提出しました。太田総理は「これが何十年後か、何百年後かわからない。でも、その先には憲法9条というものが実は全然ばかばかしくない時代がおそらく来るだろう。・・・・・・憲法9条は究極の理想だから、これを何とか変えないように」と主張しましたが、否決されました。番組では、しばしば自衛隊、憲法9条をめぐって、石破茂元防衛庁長官と議論を戦わせますが、太田光も守りの姿勢に追い込まれ、平和を語ることの難しさを感じさせます。
爆笑問題、とりわけ、太田光の活躍は大きいと思います。爆笑問題は、いわゆる漫才師系の芸能人であり、テレビの露出度も高く、人気もあります。幅広い年齢層、人々に大きな影響力があります。太田はよく本を読んでいます。方向性も好きです。
さて、太田光と中沢新一の対談『憲法九条を世界遺産に』は21万部を突破しました。一方、本物の安倍総理の『美しい国へ』は48万部で2倍以上です。
対談集の中で、太田光は言います。「今、憲法9条が改正されるという流れになりつつある中で、10年先、20年先の日本人が、「何であの時点で憲法を変えちゃったのか、あの時の日本人は何をしてたのか」となった時に、僕達はまさにその当事者になってしまうわけじゃないですか」(16 -17頁)。これだけは、私は避けたいと思います。平和憲法を改悪した当事者になって、後生の人々から批判されるのは御免です。あの忌まわしいアジア太平洋戦争において、「こんなことになるのなら、なぜあのとき、もっと反対しなかったのか」といった件が、『きけわだつみのこえ』にあったと思います。私は、大学で、「言うべきことを、言うべき時に言うこと」を教わりました。しばしば、TPOを間違えますが。戦争は不条理です。人を殺すことがよくないということがわかっていても、殺さなければ相手か、上等兵によって殺される、身内や仲間が殺されれば復讐の炎が燃え上がります。戦争は絶対に許されません。
中沢新一は答えます。「現在の国際情勢などというものに押されるようにして憲法を改正してしまうと、僕たちの時代は将来の日本人にたいしてひどい汚点を残すことになってしまうでしょう」(17頁)。
中沢は言います。「あいかわらず、まともな異論を唱えようとする人々を黙らせてしまおうとする、嫌な精神土壌はそのまま生き続けているでしょう」(18頁)。
中沢は語ります。「平和憲法は世界の憲法の中の珍品だと思います。ところがいま、この世界の珍品を普通のものに変えようとして、改憲論が吹き荒れているわけです」(54頁)。
太田は言います。「この憲法は、アメリカによって押しつけられたもので、日本人自身のものでないというけれど、僕はそう思わない。この憲法は、敗戦後の日本人が自ら選んだ思想であり、生き方なんだと思います」(96頁)。
中沢は答えます。「日本の仏教は価値があるといえる。その仏教を日本人は大事に守ってきた。今さら、あれはインドからきたものだからダメだとか、中国人が途中で漢文のお経を入れたからダメだなんて、誰も考えないでしょう」(61頁)。
中沢は主張します。「そういう(憲法9条-筆者注)場所があることを知って、そこに心を向けることで、世界は正しい方向に向かっていける」(78頁)。「そういうものを簡単に捨ててしまったりしたなら、日本人は、大きな精神の拠り所を失うと思います。この憲法に代わるものを僕たちが新たに構築するのは、不可能です」(79頁)。
「安倍さん、本当に憲法 変えちゃう気ですか。」私は憲法9条を世界遺産にするのではなく、世界に広め、活かすべきであると考えます。憲法とは、我々が進むべき方向を示します。我々の意思であり、その実現のために不断の努力が必要であります。私たちは、平和憲法が世界の中で普通のものになるように、世界を変えなければなりません。
