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「反戦平和」について(3)

今井 康英

今回は「反戦平和」について述べます。

毎日新聞(長崎版、9日、横田信行)によると、 長崎での反核・平和運動に長く携わってきた元小学校教諭、 松崎龍一さん(69)は、被爆経験はないが、 さまざまなボランティア活動にもかかわる。 平和をはじめとする市民運動の担い手の一人として知られた存在だ。 旧満州(中国東北部)の新京(現・長春)で生まれ育った。 父は家具工場や農園で大勢の中国人を使い、言う事を聞かないと殴った。 自分も中国人の子どもの帽子を取って逃げたりして遊んだ。 敗戦で状況は一変し、暴動を避けて父母と脱出。 途中で母は病死し、駅で大勢の遺体と一緒に燃やされた。 翌年、無一文で日本に引き揚げた。 「戻って初めて、いかに中国から搾取してきたか分かった」と振り返る。 教師として平和運動を意識したのは6年目。 児童が昼休みに流した「さとうきび畑」の歌が校長に途中で止められた。 「反戦の歌をわざわざ小学生に聞かせることはない」という説明に、 逆に反戦・平和を子どもたちへ伝える使命を痛感した。 以後、児童集会で原爆をテーマにした劇の上演や、 被爆で死んだ長崎の教師を描いた映画の上映など、 被爆地で平和教育に取り組んできた。 戦後世代に伝えたいのは 「戦争をしない、させない意志をはっきり主張する」ことの大切さ。 「権力や行政がいつも正しい訳ではないと批判精神を持ち物事を見て。 総右翼化が進む中、行動に出ないのは認めることと同じ。 署名やカンパ、励ましの声掛けなど何か動いて」と訴える。

私も、松崎さんの訴えに賛同します。 そもそも反戦平和は、日本の国是である。憲法の前文には、 「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうに することを決意」と銘記している。 第9条では、戦争と武力行使を永久に放棄する、 戦力を保持しない、国の交戦権を認めない、と規定している。 まして、教育基本法の前文にも、 「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を 建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。 この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を 期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造を目指す 教育を普及徹底しなければならない」と銘記している。 ここに日本国民が達成すべき憲法や教育基本法の理想と目的は、 明確である。いまでも、これらの理想は正しいと信ずるがゆえに、 私も戦争反対、憲法改悪反対と声を上げて行きたいと思います。

現に日本の自衛隊がインド洋やイラクで行っている活動は、 平和憲法を学んだ者にとっては、「ありえない」活動です。 いかに政府が反戦平和の国是に反しているか、 歴然たることは言うまでもありません。 本日、熊本地裁にイラク派兵違憲訴訟の第2次提訴が行われました。 栃木でも、第2次提訴を準備中です。 誰でも原告(またはサポーター)になれますので、 「許せない!」という思いの人は、是非参加してください。

なお、記録的な大雪で、自衛隊に災害派遣が要請されています。 共同通信(9日)によると、 日本海側を中心とした大雪は8日も続き、 新たに福井県越前市武生で最大積雪量を更新した。 今冬の最大積雪量更新は計15地点となった。 9日には冬型の気圧配置が緩み、日本海側の降雪も一段落する見込み。 雪下ろし中に転落するなどして青森、秋田、山形、新潟の4県で 計5人の死亡が確認され、昨年12月以降の大雪の死者は、 共同通信の8日午後11時半現在の集計で16道県計68人に上った。 負傷者は30道府県計1128人(重傷は353人)。 秋田県が長野、新潟両県に続き、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。 毎日新聞(10日)によると、 日本経団連の奥田碩会長は同日の定例会見で、 大雪に対する支援体制について 「自衛隊が必要であれば支援をもっと厚く、早くやることが大事。 もうちょっと(出動の)早さと(隊員の)数がどうにかならなかったのかな とは思う」と述べ、自衛隊の災害救助体制に不満をもらした。 私は、災害派遣こそ自衛隊の「本来任務」にすべきだと思います。

「靖国参拝問題」について(7)

今井 康英

2006年最初の投稿は、「靖国参拝問題」です。

東京新聞元旦の社説によると、 日本は戦後、アジア重視といいながら、実際は日米主軸、先進工業国に 目を向けた外交を展開してきました。しかし、二十一世紀、経済力を高め、 安定を確保するにはアジアとの地域ぐるみのつながりを一層強めることなしに、 展望は開けません。

ところが、この肝心なとき、 政治次元での日本の存在が希薄です。先の東アジアサミット、 小泉首相は中国や韓国との首脳会談を開けませんでした。 靖国参拝をきっかけとする先の戦争責任に関する認識違いや反発が原因です。 いま中国は、増強する経済力を土台に、日本をしのいで、 アジアへの影響力を広げつつあります。 そんな時に、小泉首相は対日批判の材料を与えてしまったのです。 戦後の日本の為政者は、アジア諸国と実に注意深く、 片言隻句にも神経を使ってつきあいました。 その謙虚さが経済支援や各種の交流などと相まって、 アジアでの存在感を増してきたのです。 歴史への反省を忘れては、「多大の損害と苦痛を与えた」 (戦後60年小泉首相談話)アジアの国々の信頼を得ることはできません。 中国の軍事力増強が「脅威」という見方もありますが、軍拡競争はおろかです。 軍事力行使を抑制する地域の枠組みづくりなど、外交による対応が必要です。 反目はお互いの不利益にしかなりません。経済の交流の深さ、広さを、 政治も含めた全体の関係改善に昇華させるのは、為政者の役割です。 (この意味では、小泉氏は総理失格だと私も思います。)

私見ながら、日本はユーラシア大陸の東隣に位置する島国であり、 遥か太平洋を隔てたアメリカ大陸の出島ではない。 地球儀を見れば、誰でもそう思われるに違いない。 有史以来、中国、朝鮮とは隣国であり、友好往来を続けてきた。 アメリカ大陸諸国とは近代以降の友好往来であり、200年にも満たない。 日本は本よりアジア諸国の一員であり、 米国の属国であり続けるのは本意ではないと思われる。 日本が島国であるゆえに、古来、日本固有の文化を育んできたことは 否定できないにしても、大陸伝来の文化にどれほど恩恵を受けてきたか、 計り知れないとも思われる。 今や、日本は地球上のあらゆる諸国と友好往来が出来る国となった。 (国交がないのは、唯一、北朝鮮ぐらいだが、友好往来がないわけではない。) 日米同盟だけが頼りだという感覚は、いかにも近視眼である。 隣国を敵視する政策は、短期的には優位に立てるかもしれないが、 長期的には互に無駄な消耗戦にしかならない気がします。 日本に生まれたから日本人だというのは、自然な感情だと思われる。 しかし、これからはいよいよグローバリゼーションの時代であるから、 島国根性を払拭して、同時に、地球に共に生まれた地球人である という意識を涵養していくことがますます重要になると思われる。 一国の総理が、靖国神社やら伊勢神宮やらに参拝して、 ミミッチイ島国根性を発揚しているうちは、 地球人としてはまだまだ未熟であると言わざるを得ない。 日本人に限らないが、宇宙的平和観の確立が要請される所以でもあると思う。 本研究所並びに「九条を広める会」の存在意義も ここにあると思われます。

「憲法改正問題」について(5)

今井 康英

今回も、前回に引き続き「憲法改正問題」について述べます。

毎日新聞(22日、田所柳子)によると、 自民、公明両党は同日、与党安全保障プロジェクトチーム (座長・山崎拓自民党安全保障調査会長)を国会内で開き、 防衛庁の「省」昇格に関する協議をスタートした。 山崎氏は「省昇格は小泉政権で道筋をつけるべき課題。 次期通常国会に関連法案を出したい」と述べたが、 公明党の山口那津男政調会長代理は 「党内は慎重論が大勢で法案提出を前提とした協議はできない」 と述べ、議論は平行線をたどった。 両党は幹事長・政調会長レベルでは、 通常国会で関連法案の成立を目指すことで基本合意しており、 来春をめどに結論を出す。

時事通信(同日)によると、 この協議で、両党間の溝は埋まらず、結論を来年に持ち越した。 来年の通常国会への法案提出期限となる来年3月15日をめどに 結論を出す方針だ。 席上、山崎座長は「小泉政権の課題として次期通常国会に 関連法案を提出したい」と表明。 これに対し、公明党の山口那津男政調会長代理は 「小泉政権の課題という認識は初めて聞いた。 党内は消極論が大勢なので、 法案提出を前提とした議論はできない」と反論した。

NHK(27日)によると、 同日、額賀防衛庁長官は閣議のあとの記者会見で、 「陸上自衛隊はイラクへの派遣期間が1年間延長され、 国際的には平和協力活動に活躍している姿が定着したのではないか と思っている。今後の自衛隊の活動として『本来任務』にしっかりと 位置づけていく環境が整いつつあるという思いを持っている」と述べ、 自衛隊の海外での国際平和協力活動などを「本来任務」に格上げするため、 自衛隊法を改正する環境が整いつつあるという認識を示した。 また額賀長官は、「与党の間で防衛庁を『省』に昇格させるかどうかをめぐって 積極的な議論が展開されているので、 国際平和協力活動の本来任務化とあわせて、 政治の場でしっかりと形を作っていただきたい」と述べた。

NHK(28日)によると、 小泉総理大臣は27日夜、自民党の山崎前副総裁、 二階経済産業大臣、公明党の冬柴幹事長と会談し、 懸案となっている防衛庁を「省」に昇格させる問題について、 来年9月までの総理大臣在任中に決着させたいという考えを示した。 この中で、山崎前副総裁と二階経済産業大臣は、 与党内で協議が行われている防衛庁を「省」に昇格させる問題について、 「小泉内閣の残された課題であり、速やかに処理すべきだ」と述べた。 これに対し、小泉総理大臣は、「これは国家の基本にかかわる問題だ」 としたうえで、来年の通常国会に必要な法案を提出することを念頭に、 来年9月までの総理大臣在任中に決着させたいという考えを示した。 また、小泉総理大臣は、自民党が民主党と連立政権を組む、 いわゆる「大連立」構想について、 「連立を組んできた公明党の恩義には感謝しており、 公明党に相談することなく民主党と話を進めることはあり得ない」と述べた。

どうやら、政府与党は、海外派兵を本来任務に格上げする自衛隊法改正や 防衛「省」への昇格を、来年9月までに処理する魂胆のようです。 これが実現すれば改憲無用であることは、前回も述べたところです。 護憲派にとっては、いよいよ厳しい冬の時代ですが、 「冬は必ず春となる」という自然の摂理もありますので、 来年もますます奮闘努力せざるを得ません。

「憲法改正問題」について(4)

今井 康英

今回は「憲法改正問題」について述べます。

改憲論者の目的の一つは、憲法違反と判断されない「自衛軍」を保持することです。 そのため自民党新憲法草案では、現行第9条の第1項を維持しつつ第2項を全文削除して、 「第9条の2」を新設し、第1項で「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、 内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する」と規定している。 さらに第2項ないし第4項において、「法律の定めるところにより、 国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」などを 「自衛軍」が行えるようにするものである。

現行憲法の下でも、「自衛隊」は保持しています。 防衛庁設置法(昭和29年法律第164号)は、 次のように規定している。 第2条(設置) 内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第3項の規定に基づいて、 内閣府の外局として、防衛庁を置く。 第3条(長官) 防衛庁の長は、防衛庁長官とし、国務大臣をもつて充てる。 第4条(防衛庁の任務) 防衛庁は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、 これがため、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を管理し、及び運営し、 並びにこれに関する事務を行うことを任務とする。 第2項  防衛庁は、前項に規定する任務のほか、条約に基づく外国軍隊の駐留 及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の規定に基づく アメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務で 他の行政機関の所掌に属しないものを適切に行うことを任務とする。

自衛隊法(昭和29年法律第165号)は、 次のように規定している。 第3条(自衛隊の任務) 自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、 直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、 必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。 第2項  陸上自衛隊は主として陸において、海上自衛隊は主として海において、 航空自衛隊は主として空においてそれぞれ行動することを任務とする。 したがって、「自衛軍」が行うべき任務は、すでに自衛隊が実施している。 違いは、合憲か違憲かだけである。

ところで、衆議院(第151回国会)に提出された防衛省設置法案要綱によると、
第一 防衛省の設置
一 防衛省を設置するものとすること。
二 防衛省の長は、防衛大臣とするものとすること。
三 防衛省の任務、所掌事務、組織等については、 現行の防衛庁設置法に規定されているものと同様のものとすること。

第二 施行期日
この法律は、別に法律で定める日から施行するものとすること。

第三 関係法律の整備等
一 現行の防衛庁設置法は、廃止するものとすること。
二 この法律の施行に伴い必要となる経過措置及び関係法律の整備については、 別に法律で定めるものとすること。

防衛省設置法案によると、 第2条(設置) 国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項の規定に基づいて、 防衛省を設置する。 第2項 防衛省の長は、防衛大臣とする。 つまり、現状でも自衛隊を管理、運営するには「防衛省」が相応しいようだ。 自衛隊合憲論者なら、当然の結論なのかも知れない。

仮に自衛隊が合憲で、防衛省が設置できるなら、憲法改正の必要はない。 わざわざ憲法第9条の2を新設せずとも、防衛庁を防衛省に昇格させて、 ついでに自衛隊を自衛軍に改称するだけで良い。 そうすれば平和憲法の下で自衛軍を保持できるようになり、 改憲論者の目的は達成されます。 対イラク戦争で大量破壊兵器が有ろうが有るまいが、 フセイン政権を打倒することが正しかったという主張が罷り通るようでは、 日本でも「防衛」や「国際貢献」と言う口実で、何でもできてしまいそうです。

自民党の要請により、公明党も防衛省の昇格を承認するようですが、 これはとんだ大間違いです。 20日の党内論議では、「名称を変える積極的理由がない」との声や、 「仮に名称の変更を是認すれば、集団的自衛権行使の議論に進むステップを 与えてしまうのではないか」「公明党の平和の党としての印象が変わるのでは」 といった慎重論も出たらしい。 こういう時こそ、叱咤激励をして、踏み止まらせなければならない と私は思います。

「自衛隊違憲訴訟」について(3)

今井 康英

今回は、「自衛隊違憲訴訟」について述べます。 昨年の12月14日、平成の栃木の四十七志がイラク派兵違憲訴訟を提起しました。 私も、この「イラク派兵・違憲訴訟の会・栃木」の原告団の一人です。 私は、そもそも自衛隊の存在それ自体が憲法違反であるという立場から、 この訴訟に参加しました。 私のブログにも掲示してきましたが、 本日、「イラク派兵・違憲訴訟の会・栃木」の第2回総会、記念講演、摸擬裁判を 宇都宮大学国際学部・A棟1121教室で開催しました。

総会では、活動報告、会計報告、事業計画、予算が承認されました。 主な活動日程は、以下の通りです。 提訴以来、3月3日に第1回公判(訴状陳述、原告3人が意見陳述)、 5月12日に第2回公判(答弁書への反論、原告1人が意見陳述)、 9月1日に第3回公判(平和的生存権について弁論)、 11月17日に第4回公判(国側が反論)が行われました。 私も毎回法廷に通い、原告席に着きました。 この間、4月21日に第1回摸擬裁判(第1回公判の再現)、 7月14日に第2回摸擬裁判(第2回公判の再現) そして本日、第3回摸擬裁判(第3回、第4回公判の再現)が行われました。 次回(第5回)公判は、来年3月16日が期日です。

記念講演では、原告側主任弁護士の田中徹歩さんが、 「自衛隊のイラク派遣差止・違憲確認訴訟と憲法」と題して、 この訴訟の意義や自民党改憲案など最近の憲法をめぐる情勢について、 なるべく専門用語を使わないようにして、分かりやすく解説しました。 摸擬裁判では、冒頭に「派兵は決定的違憲」市民訴訟の会・山梨の 事務局長を務められた久松重光さんが、特別証人として、10月25日の 山梨訴訟の判決について、市民の立場から批判する証言を行いました。 「犬の目線の先にあるもの:日本国憲法の平和主義」と題して語られました。

久松さんによると、 甲府地裁の判決文は、政府の答弁書を書き写したものに過ぎない。 いわゆる「門前払い」で、つまり原告には訴えの権利や利益がない。 憲法前文に「われわれは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、 平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と 明記されているにもかかわらず、 裁判所は、「平和」と言う概念は理念ないし目的としての抽象的概念であり、 この権利には個別具体的な内容が示されていないので、 具体的な権利や利益を保障するものではないと主張している。 つまり、裁判官たちにとっては「平和的生存権」は、具体的な権利ではない。 したがって、イラク派兵の事実確認は、何もされていない。 まして、その是非や憲法判断には、一言も触れていない。 ところが、判決の翌日の新聞には、 「防衛庁としては、自衛隊部隊の派遣および活動は憲法の範囲内で、 イラク人道復興支援特措法や自衛隊法にもとづく適正なものと考えている」 とのコメントが掲載された。 裁判では、国はこのような主張はしなかったし、判決にも書かれていない。 これが政府のやり方であり、国民はウソを見抜く目を持つべきだと訴えた。

久松さんは、最後にこう述べて、報告を終えました。 「ぼくが、言いたかったのは、目線を低くすればするほど、 この日本国憲法の平和主義の素晴らしさと より深いリアリズムを感じ取れるのではないか、ということです。 なんと言っても国家に戦争をさせないというのが、 権力を持たぬ世界の庶民の夢であったはずですから。 国家が戦争をするようになれば、苦しむのは民衆であることは、 自明の理だからです。」

「靖国参拝問題」について(6)

今井 康英

今回は「靖国参拝問題」について述べます。

私のブログでも、このカテゴリへの投稿は200件を超えました。 共同通信(11月30日)によると、 小泉首相は同日午後、自民党本部で講演し、 自らの靖国神社参拝に中国と韓国が反発していることに触れ 「靖国問題は外交カードにはならない。 今の時期、多少ぎくしゃくした問題があっても、 長い目でみれば理解されるだろう」と述べ、 これまでの姿勢を変える考えがないことを強調した。 靖国参拝については「まさに精神の自由だ。日本人が批判するのも分からない。 中国、韓国が批判するのも分からない」と重ねて反論。 日本の外交方針に関して「日米同盟をしっかり築き、 そして世界の各国と仲良くしていく方針を当分変えてはいけない」と述べ、 対米関係を優先する意向を示した。

人民網日本語版(12月4日)によると、 国務院の温家宝総理は1日、人民大会堂で仏フィガロ紙のインタービューに応じた。 「欧州訪問に続き、クアラルンプールを訪問されるとのことだが、 日本の首相と単独で対面するか、または中日韓3カ国首脳会合 という形で対面することはあるだろうか」という質問に対し、 温総理は次のように答えた。

中日関係は困難な次期にあり、この局面をもたらした責任は中国側にはない。 1895年、中日甲午戦争(日清戦争)で、日本は中国の台湾を占領した。 1931年の「9・18事変」(柳条湖事件)では、日本は中国の東北3省を占領した。 1937年の「7・7事変」(盧溝橋事件)では、日本は中国への全面的侵略を開始した。 中国の人民は8年に及ぶ非常に困難な抗戦を行い、莫大な民族的犠牲を払った。 死傷者の数は3500万人に達する。 中日韓には2千年余りにわたる交流史があり、友好が主な流れになっている。 長期的に見れば、中日韓の善隣友好関係の発展は、中日両国の人民の根本的利益に役立つ。 中日関係の問題点は、日本がいかにして歴史問題に正しく対処していくかということだ。 しかし、日本の国内にはいつも、侵略の歴史を認めず、軍国主義を美化する一部の人がいる。 特に日本政府の指導者が靖国神社を何度にもわたり参拝していることが、 中国やアジアの人々の感情を大きく傷つけている。 長期的、安定的な中日友好関係を発展させることは、 われわれのゆるぎない方針であり、最も困難な時にあっても、この方針は変わらない。 日本政府は「中日共同声明」など2国間関係に関する3つの政治文書の原則を必ず順守し、 歴史を鑑(かがみ)とし、未来に向かわなければならない。 しかし残念なことに、日本の指導者は頑なに誤った態度を貫いている。 これは中日間の正常な関係の発展、特に指導者間の接触の障害となっている。 われわれは日本の指導者ができる限り早く実際の行動により誤りを正すよう望む。 中日の指導者がクアラルンプールで会合できるかどうかは、ここにかかっている。

時事通信(12月7日)によると、 9日からマレーシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓による 「ASEANプラス3」外相会議の際、日中韓3カ国や日中、日韓の個別の外相会談が いずれも見送られる見通しとなった。 小泉首相の靖国神社参拝に反発する中韓両国が会談に難色を示しているためだ。 既に12日の「ASEANプラス3」首脳会議の際の3カ国や個別の首脳会談も行わないことが 固まっており、「ASEANプラス3」の枠組みを利用した首脳、外相レベルの 中韓両国との会談がすべて実現しないという異例の事態となる。

この分では、日本と中韓両国首脳との間では関係改善の見込みはなさそうです。 日清戦争以来の靖国神社の存在意義を考えれば、 中韓両国がこの問題で折れることはありえないと思います。 アジア諸国が、この問題で日本を支持することも期待できないはずです。 小泉首相が意地を通していくほど、アジアで日本が孤立化していく気がします。 日米同盟礼賛、靖国参拝続行だけの首相では東アジアの盟主になるどころか、 東アジア共同体の一員とさえ見なされなく恐れが出てきました。 来年9月で首相を辞任すると本人が言っているのですが、 果たして、それまで日本の対アジア外交は持ちこたえられるでしょうか? 自衛隊のイラク駐留も1年間再延長するようですが、いつまで無事でいられるでしょうか? それでも世論調査では、小泉人気は50%以上あるようですが、 このことこそ、私は「分からない」と言いたくなります。

「自衛隊違憲訴訟」について(2)

今井 康英

今回は、「自衛隊違憲訴訟」について述べます。

毎日新聞(11月30日)によると、政府は29日、自衛隊のイラク派遣を1年間延長する方針を固め、12月14日を派遣期限としている基本計画の変更を同月9日に閣議決定する方向で与党との調整に入った。撤退時期は明示しないが、イラク南部サマワで公共施設の復旧や医療など人道復興支援を行っている陸上自衛隊については、今年末にも発足する新政府のイラク統治が順調に進むことを前提に、来年中に撤退させる方針。また、共同通信(同日)によると、政府は本日、12月14日に期限を迎える自衛隊のイラク復興支援活動を1年間延長する最終方針を固め、自民党幹部に説明した。イラク復興支援特別措置法に基づく基本計画の変更を12月8日に閣議決定する意向を示し、自民党側も了承した。南部サマワに駐留する陸上自衛隊については、来年5月ごろをめどに撤退させる方向だが、依然不透明なイラク情勢を考慮し、1年間の幅を持たせた。

これらの報道によると、閣議決定の日付はともあれ、自衛隊のイラク派遣を1年間再延長する方針であることは間違いないようです。実は、サマワから撤退するのには3ヶ月ほどの期間を要すると言われていますので、第8次隊を派遣した時点で実際は延長せざる得ない事態になっていました。時事通信(11月15日)によると、イラクに派遣された陸上自衛隊の第7次、8次復興支援群の激励を終えて帰国した林直人西部方面総監は同日、熊本市の同総監部で記者会見し、サマワ滞在中、宿営地周辺に砲弾が落ちたことを明らかにした。治安状況については「バグダッドとは状況が違う」と前置きした上で「すべてが安全ということではなく、予断は許さない。時々(砲弾が)落ちてくるわけだし」と話した。西日本新聞(11月27日)によると、第8次イラク復興支援群の立花尊顯群長(48)=都城駐屯地司令=が25日夜、イラク・サマワの宿営地からテレビ電話を通じ、都城駐屯地(都城市)で記者会見した。 現地の治安については「サマワは比較的安定しているが、バグダッドを中心に起こっているさまざまな事案が、サマワでも起こらないとはいえず、油断せず活動を続行する」と語った。私見では、このような総監や現地部隊長の報告があるにもかかわらず、それでもサマワが「非戦闘地域」(イラク特措法第2条3項)であるという理由が分からない。「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ」と平気で言える人が首相でなければ、そもそも派遣などできる地域でないことは明白だろう。

朝日新聞(11月29日)によると、26、27日に実施した世論調査で、来月に期限が切れるイラクへの自衛隊派遣の延長について賛否を聞いたところ、「反対」が69%で過去最多となった。内閣や自民支持層でも、反対は6割近くに達した。「賛成」は22%だった。賛否の理由についても聞いたところ、反対の理由では「派遣先が危険だから」が35%を占めて最も多く、「アメリカとの関係を重視しすぎているから」が23%で続いた。賛成の理由では、半数以上の57%が「国際貢献になるから」を挙げた。また、「賛成」と答えた人に、派遣期限を延長する場合に撤退時期についても方針を示すべきかどうかを聞いたところ、その68%が「示すべきだ」と答えた。これらのデータを、日米同盟偏重の小泉首相はよくよく考えるべきだ。

共同通信(10月23日)によると、英国防省がイラク国民を対象に実施した秘密の世論調査で、回答者全体の45%が駐留英米軍に対する攻撃は正当化されると考えていることが分かった。23日付の英紙サンデー・テレグラフが伝えた。英米など多国籍軍がイラクの治安改善に役立っているとの答えは1%足らずで、南部サマワに自衛隊を派遣している日本政府にとっても無視できない結果だ。調査によると、英米軍に対する攻撃を支持するとの回答は、英軍が管轄する南部マイサン州では65%に達した。サマワを含むムサンナ州の数字は不明。多国籍軍の駐留に「強く反対する」としたのは82%で、3人に2人は駐留によって治安が悪化したと答えた。この分では、サマワに駐留する自衛隊が人道復興支援に「役立っている」と本気で思っているイラク国民も1%足らずに違いない。これらのデータを「国際貢献になるから」と思っている日本国民も、よく承知しておくべきだ。イラク国民は、日本国民ほど外国軍の駐留に寛容ではないことを知るべきである。

「世界情勢」について(3)

今井 康英

前回に続き、「世界情勢」について述べます。

20日、プーチン大統領が2000年9月以来5年ぶりに来日しました。 21日に首相官邸で日露首脳会談が行われ、共同記者会見がありました。 毎日新聞(11月21日)によると、 首脳会談で、北方領土問題をめぐっては、北方四島の帰属確認後に 平和条約を結ぶとした「東京宣言」(93年)の再確認を小泉首相が求めたのに対し、 大統領は宣言に言及せず、具体的な進展はなかった。 両首脳は領土問題の解決を目指し協議を継続することでは一致したが、 共同声明(政治文書)の発表は見送られた。 両政府は首脳会談後、経済分野を中心に12の合意文書に署名。 東シベリアのパイプライン建設に関し「来年のできるだけ早い時期」までの合意を 目指すとしたが、日本が求める太平洋ルートの優先着工は明記されなかった。 ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟を承認する2国間合意や、 ロシアの退役原子力潜水艦5隻の解体に日本が協力することも盛り込まれた。 北方領土問題については、

首相  北方領土の帰属問題を解決し、平和条約を締結するという認識は共通しているが、 立場には相当開きがある。さまざまなレベルで協議を続け、溝を埋める努力をしていく。 良好な経済協力を強化し、協力できる分野を広げ、 将来の平和条約締結に向けた環境を醸成していきたい。

大統領  双方に善意さえあれば、双方にとって受け入れ可能な解決策を見いだし、 四島の住民、そしてロシアと日本の国益に合致する解決策を見いだすことができることを 確信している。平和条約がないことが露日間の経済協力を妨げているのは間違いない。 しかし、経済協力発展の方向で問題を解決できるよう努力していく。

外務省HP掲載の会談結果概要(11月22日)によると、 北方領土問題については、

(1)小泉総理より、1956年の日ソ共同宣言、1993年の東京宣言、2003年の日露行動計画等 の諸合意はいずれも極めて重要かつ有効であり、 これらに基づいて平和条約締結交渉を継続していく必要がある、 日露両国には、四島の帰属に関する問題を解決して 平和条約を可能な限り早期に締結するとの共通の認識がある、 その意味で真剣な話合いを行うことは重要である、 日露双方が受け入れられる解決を見いだす努力を続けていきたい旨述べた。

(2)これに対してプーチン大統領より、 この問題を解決することは我々の責務である、 ロシアは本当にこの問題を解決したいと思っている、 平和条約が存在しないことが日露関係の経済発展を阻害している、 その一方で、この問題は第二次世界大戦の結果であり、 他の問題への連鎖という難しい問題がある旨述べた。

(3)両首脳は、平和条約締結問題につき、これまでの様々な合意及び文書に基づき、 日露両国が共に受け入れられる解決を見出す努力を行うことで一致した。

(4)小泉総理より、国後島沖で拿捕された「第78栄幸丸」の速やかな解放を要請したのに対し、 プーチン大統領より、解決できない問題はない旨述べた。

つい先日表明された小泉首相の信念では、 日米同盟さえ強化すれば、すべての国際関係がうまくいくはずである。 今回の領土交渉で、ロシア大統領にも説明しただろうか? 隣国の大統領は、その信念に基づき日米同盟が強化されることを歓迎してくれただろうか? 中国との軍事演習、武器売買などには両首脳が言及したようだが、 あえて日米軍事同盟の強化には触れなかったのかも知れない。 多分、先日の日米首脳会談でも、ブッシュ大統領が北方領土返還のために、 「一肌脱ぐ」気があるとまでは言ってくれなかったに違いない。 私見ながら、プーチン大統領も述べたようにロシアの「善意」が発揮されなければ、 北方領土問題の解決は困難です。 自国の戦死者だけを追悼し、頼りは日米同盟だけと決め込む首相がいるような国に対して、 しかも現に米軍のための基地を持ち続ける国に対して、 日本がなにもせずに相手に善意が生まれるはずがない。 ロシアの国民が大戦の戦利品だと見ているその4島を返してもらうには、 平和で友好的な隣国だから日本に返しても良いと思えるような両国関係を築く必要があります。 そのためにも、日本はロシア国民からどんな善意を求められているのかを考えるべきだ。

ところで、両国間で未解決なのは領土問題だけではありません。 私も関係者の一人として、「シベリア抑留」についても述べないわけにはいきません。 JNN(11月20日)によれば、 日本を敵国として活動していた元KGBのアレクセイ・キリチェンコ氏も、 「抑留問題が解決されないと日露間に汚点として永遠に残ってしまいます」 と述べたほどです。 外務省HPによると、 シベリア抑留問題については、

(1)小泉総理より、高齢化が進むシベリア抑留者の方々の心情に配慮し、記録開示、 遺留品の返還等についてロシア側が今後一層協力を強化することを期待する旨強く要請した。

(2)これに対しプーチン大統領より、 仮に支障があるとすれば官僚主義によって対応が遅いということであり、 支障の克服は可能である、協力したい旨述べた。

共同通信(11月22日)によると、 補償問題や遺骨収集に取り組む元シベリア抑留者ら約20人が同日、 衆院第2議員会館で集会を開いた。 日露首脳会談で補償問題などに動きはなく、出席者から 「元抑留者は高齢化している。なぜ進展しないのか」といら立ちの声が上がった。 集会では、全国抑留者補償協議会の有光健参与が、 首脳会談で1991年の政府間協定に基づき、 遺留品返還や情報開示を進めることが確認されたと報告した。 遺骨収集に取り組む出席者からは「11年間で1万6000柱しか収集できていない。 まだ3万柱残っており、収集のペースを上げてほしい」と国の対応の遅さを批判した。 ロシアだけではなく、日本でも官僚主義的対応が解決を遅らせています。 領土問題決着には、年月はかかるでしょうが、いずれ両国の善意によって解決出来ます。 しかし、シベリア抑留の当事者には、残された時間はもうありません。 早期に解決しなければならない所以です。

「世界情勢」について(2)

今井 康英

今回は「世界情勢」について述べます。

15日、ブッシュ大統領が2003年10月以来2年ぶりに来日しました。本日、京都迎賓館で日米首脳 会談が行われ、共同記者会見がありました。日本経済新聞(11月16日)によると、会談内容について、小泉首相は「国際社会での日米関係の重要性、世界の 中の日米関係という視点から話をした」と説明。さらに「日本にとって米国はかけがえのない同盟国。日米関係が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国は じめ世界各国と良好な関係を築けるというのが私の基本的な考え方だ」と表明した。また、「日本の一部に日米関係が良すぎる、緊密すぎ、日本の方向性を失う という議論が一部にある。日米関係にマイナスが出たら、他国との関係を強化して補えばいいという考え方が一部にあるが、私は全く採っていない」 と、日米関係の強化を外交政策の中心に置く姿勢を改めて強調した。

毎日新聞(同日)によると、実際の会談では、二人のやり取りは次の通りであった。

大統領 この地域の平和と安定を維持するために日米同盟は不可欠だ。首相の指導力の下でこれが強化された。

首相 日 米関係は日本にとって最も重要だ。敗戦後60年間、努力して平和の中で繁栄してきたが、これは日米関係が維持、強化されてきたからこそ実現された。日米関 係より、国際協調にもう少し比重を移してはどうかという議論があるが、これは自分が取る考えではない。日米関係がよいからこそ、中国、韓国、東南アジア諸 国連合(ASEAN)諸国、すべての国とのよい関係が維持されてきている。

大統領 よい考えだ。中国から見たら、よい日米関係があればこそ、中国は日本との関係、米国との関係も強化し、よいものにしなくてはと思うのではないか。

一方、【ソウル16日共同】によると、中国の胡錦濤国家主席と韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は16日、ソウルの青瓦台(大統領官邸)で 会談、小泉首相の靖国神社参拝を念頭に、歴史問題が北東アジアの協力と発展に否定的影響を与えてはならないと批判し、「正しい歴史認識」が地域の安定の基 礎になるとの認識で一致した。靖国参拝への直接の言及は避けながらも中韓首脳が参拝中止で連携する姿勢を明確にしたことで、来月の第1回東アジア首脳会議 を前に、日本の対アジア外交は厳しい対応を迫られそうだ。【ソウル16日時事】によると、中韓両国は、靖国問題を「北東アジア」全体の問題として参拝反対 に向けた共同歩調を取ることで、日本をけん制する狙いがある。また、双方は北朝鮮の核問題について、朝鮮半島非核化への目標を定めた6カ国協議の共同声明 履行に向け努力することで一致。 胡主席は中国が南北朝鮮の平和統一のため、建設的な役割を果たすことを改めて表明した。

さらに、【釜山16日共同】によると、麻生太郎外相は16日午後、韓国釜山でロシアのラブロフ外相と会談し、21日に東京で行われる日ロ 首脳会談での合意を目指していた北方領土問題をめぐる共同声明などの政治文書について「日ロ双方の領土問題に対する原則的立場が隔たっている」として、作 成は断念せざるを得ないとの認識で一致した。日ロ首脳の公式訪問の際に政治文書の署名が見送られるのは極めて異例で、領土問題をめぐる溝の深さを示した形 だ。

私見ながら、小泉首相が「日米同盟」を強調すればするほど、日本の近隣外交がこの地域で平和と安定を維持していくのは、いよいよ困難にな る気がします。日本の首相が靖国神社参拝を続け、自衛隊が「自衛軍」となり、ますます米軍と一体化するのが、隣国にとって安心を与えるものなのか、不安を 与えるものなのか?靖国神社建立以来の歴史を反省するとき、隣国は勿論のこと、日本国民の少なからずも、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こるこ と」を心配せずにはいられないに違いない。現に、対アフガニスタン戦争や対イラク戦争には、参戦しているのだから。今はまだ日本軍に戦死者が出ていないので「惨禍」が起きているように見えないだけだ。

「世論調査」について(4)

今井 康英

今回は「世論調査」について述べます。

前回のコラムで第3次小泉改造内閣発足直後の共同通信のデータを紹介しましたが、その後も報道各社が次々と調査結果を公表しました。

読売新聞(11月2日)によると、新しい内閣に「期待できる」と答えた人は51%に上り、昨年9月の第2次改造内閣発足直後の調査に比べ 27ポイントもの大幅増となった。小泉首相が進めてきた改革路線がさらに「進む」と見る人も72%に達し、「改革続行」を掲げる小泉政権への期待感の強さ を示した。新内閣の印象については、新鮮さを「感じない」人が54%と半数を超え、実行力のある重厚さを「感じる」人は41%、「感じない」は39%と、 評価が真っ二つに分かれた。政策面でも、外交政策で成果をあげられないという人が54%、社会保障制度改革を実現できないと思う人も56%に上った。

日本経済新聞(11月2日)によると、新内閣の顔ぶれを「評価する」との回答は49%。「評価しない」の24%を大きく上回っており、 「ポスト小泉」候補による改革競争に期待が集まっている。小泉首相が毎年1回の靖国神社参拝を続けていることに「賛成」との意見が47%で、「反対」の 37%を上回った。8月調査では賛成が46%、反対は38%でほぼ横ばい。10月の首相の5回目の参拝に中国や韓国は反発しているが、世論は総じて冷静に 受け止めている。

毎日新聞(11月2日)によると、今回の内閣改造・自民党役員人事について「評価する」と答えた人は53%で「評価しない」の34%を上 回った。人事を評価する人に理由を聞いたところ、「改革を継続する意欲がみられるから」が60%でトップ。「首相に後継者を育てる意欲がみられるから」が 23%で続いた。「評価しない」人の理由は「外交への取り組みに意欲がみられないから」が40%で最も多かった。サプライズ(驚き)に乏しかった反映か 「人事の顔ぶれが新鮮さに欠けるから」も24%あった。また、同(11月4日)によると、小泉首相の10月17日の靖国神社参拝について聞いたところ「賛 成」との回答が50%で、「反対」の46%を4ポイント上回った。参拝前の10月調査で、首相が参拝を続けることの是非を聞いた際には、「反対」 (51%)が「賛成」(44%)を上回っていた。7月、6月、4月の調査でも反対派が上回っており、賛成派が多数派だったのは昨年12月調査以来。首相が 本殿に上がらず「私的参拝」を強調したことや、韓国の反発が抑制的な点が影響した可能性がある。

朝日新聞(11月2日)によると、小泉首相のもとで自民党が「変わった」と思う人が70%を占め、「そうは思わない」の22%を大きく上 回った。新しい内閣の顔ぶれを見て、小泉首相が掲げる改革が「進むと思う」は58%で、「そうは思わない」の21%を大きく上回った。「新しい内閣で一番 力を入れてほしいこと」は、年金・福祉問題が56%で最も多く、景気・雇用対策が17%、行政・財政改革が15%で続き、外交・防衛政策は9%だった。

各社による改造直後の内閣支持率は、下記の通りです。
読売新聞 支持62・5% 不支持20・4%
共同通信 支持60・1% 不支持28・7%
日経新聞 支持56% 不支持30%
毎日新聞 支持56% 不支持31%
朝日新聞 支持55%

テレビ各社も週末(5日、6日)に世論調査を実施しました。JNN(TBS系、11月7日)によると、改造内閣の顔ぶれについては、「期待 できる」が61%で、1年前の前回の改造の時の27%に比べ大幅に増えました。改造内閣が最も重視すべき政策については、年金問題を挙げる人が29%で最 も多く、以下、財政再建が25%、景気が17%などでした。また、自民党が決めた憲法改正の草案に「自衛軍を保持する」と明記されたことについては、賛成 が45%で反対とする43%をわずかに上回りました。

NNN(日本テレビ系、11月7日)によると、「来年9月に自民党総裁としての任期が切れる小泉首相に成し遂げてもらいたいこと」には、 「年金制度の見直し」が38.8%と最も多く、続いて「財政と税制の改革」となっている。自民党内で社会保障目的とした上で消費税率の引き上げが検討され ていることについて、 「税率引き上げを認めても良いか」との質問には、「良いと思わない」と答えた人が48.0%で、「良いと思う」を0.8ポイント上回った。

ANN(テレビ朝日系、11月7日)によると、2007年にも導入に向けた法改正が検討されている消費税の引き上げについて、「やむを得ない」と答えた人が49%と、半数近くが引き上げを容認している実態が明らかになりました。

FNN(フジテレビ系、11月7日)によると、新しい内閣は改造前よりも「期待できる」と答えた人は46.2%で、半数近くにのぼった。小 泉首相の10月の靖国参拝については、「支持する」が47%で、「支持しない」をわずかに上回った。消費税に関しては、社会保障のための税率引き上げを 「容認する」と答えた人は48%で、「容認しない」と答えた人をわずかに上回った。

テレビ各社の調査による内閣支持率は、下記の通りです。
JNN 支持67・4%
NNN 支持62・4%
ANN 支持59・9%
FNN 支持56・9% 不支持29・6%

以上の通り、内閣改造後、55%~67・4%の「支持」を得たことになり、国民の過半数が小泉内閣を支持しているようです。(但し、これを 裏返してみると、20・4%~31%が「不支持」を表明しており、32・6%~45%は必ずしも「支持」していないと言えます。私も、不支持を表明する国 民の一人です。)また、小泉外交には、それほど期待していないことが分かります。

ところで、小泉首相の盟友はどうか?実は、このところブッシュ大統領の支持率が就任以来最低を更新している。例えば、【ワシントン2日共 同】によると、米CBSテレビが2日発表した世論調査では、ブッシュ大統領の支持率は先月6日の37%から35%に下がり、就任以来最低となった。イラク 戦争が米兵の死者数や経費からみて犠牲を払う価値があったかについては「あった」が31%、「ない」が64%と否定的な見方が強まった。つまり、対イラク 戦争で米兵の戦死者が2000人を超えたり、「戦争の大義」が出鱈目な情報によるものであったことが次々と暴露されて、ブッシュ政権の信用失墜が続いてい る。(勿論、原因は他にもあります。)

日本国民にとっては「戦争の大義」などは今更どうでもいいようだが、仮にサマワ駐留の自衛隊員に一人でも戦死者が出たらどうなるか?自衛 隊陣地を狙ったと思われる攻撃は11回を数えたが、今のところ幸いにも、人命には及んでいない。ブッシュ大統領と一蓮托生を決め込む小泉首相だが、内外の 自粛要請にもかかわらず、年1回の靖国参拝を欠かせないのも、それ故かと思えます。「愚かな、指導者達に、ひきいられた国民ほど、あわれなものはない」と いう歴史の教訓を、想起せずにはいられません。