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再論:東アジア共同体の形成に向けて

ねこくま

アメリカ政府は東アジア共同体形成を自国の繁栄への脅威と見なしているようだ。分割して統治せよ。しかしその施策は金のタナゴを産む鶏を自ら絞め殺す愚行でしかないのかもしれない。

アメリカの意志を受けて中国台頭を阻止しようとする日本の小泉政権は靖国参拝を強行することで、東アジア各国が協調しつつ発展する道を閉ざし続けている。同地域の経済一体化はすでに後戻り出来ない水準に近づき、人々に大きな生活の変化を強いている。日本でも中国でも、おそらく東南アジア各国に拡がる格差が生み出す社会的緊張もその一つに過ぎない。

経済は一体化しても政治的には不一致である状況がまともであるはずはない。各国の政治的協力によって得られるべき利益が何ら得られることなく、痛みばかりが各国の社会を襲う。例えば同地域の政治的協調関係が順調に形成されていれば、軍事費の大幅な削減と、ういた予算を統合によって苦しむ市民の社会保障にも産業構造の転換にも転用可能なのである。

約束された利益は何ら与えられず、変化に伴う痛みだけが押しつけられる。その社会的不満の解消に扇情的なナショナリズムがあおり立てられる。これが現在の東アジア地域における最大の不安定材料である。

アメリカは自国の経済的繁栄の基礎がアジアの生産力とその勤勉な労働力によっていることを自覚すべきである。彼らがアジアの状況をさらに煽り立て放置するなら、アジアの生産力が破壊される可能性さえ予想される。

日本と同盟したアメリカによる侵略の可能性は、植民地のくびきから逃れて半世紀も経たないアジア各国にとって現実の悪夢であることをアメリカはきちんと認識するべきである。

東アジア共同体と言ってもグローバル経済の一部である。アメリカが支配するグローバルな安全保障秩序のインフラの上に成り立つ極めて複雑な経済の複合体なのだ。おそらく現在のアメリカのグローバルな安全保障秩序を全面的に拒絶する国は存在しないだろう。少しばかりの不満、異論をアメリカが中心となって利害調整するシステムを再構築しさえすればよいのだ。

東アジア共同体は地域経済政治中心の存在として、アメリカが支配するグローバルな安全保障枠組みの議論とは分離して勧めるべきだ。この場合6者協議は重要な秩序形成の枠組みとなる。

自国の経済的繁栄を支える東アジア地域の安定と発展の維持のために、アメリカは東アジア共同体に関する対外戦略を真剣に考え直すべきだ。

中国の主導する普遍的国際秩序形成の可能性

ねこくま

「戦後60年と東アジアの平和」シンポジュウムに参加してきました。専門的、包括的で東アジア安全保障の枠組みが今後いかなる方向性をもって再編成されるかについて示唆に富んだ報告の数々でした。5名のパネラーの報告は、いま私が研究しているアジア太平洋地域あるいは東アジアの安全保障秩序がどうなるかという問題を考える上で、非常に参考になりました。とくに清水学先生の「上海協力機構」に関する報告が、私にとっては一番参考になりました。

「上海協力機構」とは、中国がロシアと、旧CIS共和国の何カ国かが、安全保障上のコンセンサスをとりまとめるために締結した組織です。ところが一時アメリカのイラク侵攻に際して、ロシアやこれらイスラム系共和国が基地を提供するなど積極的に協力したために有名無実化したものと見なされていました。これが中国が主導したか、ロシアが主導したのか見えないのですが、米軍基地を地域から撤退させるという決議を実行し、中国が地歩を取り返した訳です。

まあ、今回はこれら中近東地域をめぐる中国の逆襲といった趣ですが、米軍基地の撤退、同機構へのインド、パキスタンの加盟認可、さらにオブザーバーながらアメリカから敵視されるイランを加えたことで「上海協力機構」の意味合いが大きく変化したと思われます。

ここから先は、今年末に発刊予定の某学会誌「グローバリゼーション特集号」に書いた論文の内容に関わるわけです。この論文で私は、中国がアジア太平洋地域で東アジア共同体を指向し、安全保障面ではARF(ASEAN地域フォーラム)や TAC(東南アジア友好協力条約)に積極参加している状況を、私は「アメリカ主導のグローバル秩序と東アジアの地域的安全保障枠組みの角逐」と捉えました。しかし、清水先生の提起した「上海協力機構」をめぐる中国安全保障枠組みの拡大の試みは、アジア太平洋地域での中国の試みと結びつくと、アメリカのグローバル安全保障秩序と平衡する新たな地球規模の安全保障枠組み形成試みの一貫と解釈できるようになります。

タイトで画一的な価値に支えられたアメリカ主導のグローバル秩序と、多元的で緩やかな結びつきによる秩序の主導権をめぐる競争が始まっていると理解できるわけです。国際社会の歴史は非常に早いテンポで変化しつつあり、アメリカ中心のグローバル秩序が何時までその有効性を保てるのかも不透明です。

地球大の安全保障秩序を普遍的に保持しようという努力に費やされるエネルギーはいかほどのものなのでしょうか。緩やかで協調的な国際秩序の方が、現実的で実効的なグローバル秩序の資格を有しているのではないでしょうか。今回のシンポジュウムに出席してASEAN的な緩やかな求心力による秩序こそ、冷戦とグローバリゼーションで傷ついた世界が求めている秩序ではないかと感じました。

歴史問題

ねこくま

いやー、ブッシュ君、隠し球を持ってましたね。 キリスト教・・・・布教の自由・・・を中国に認めよって、これは「歴史問題」 ですよ。アヘン戦争以来の西欧の暴虐の中心に「キリスト教」があったのは否定できません。それをアメリカの大統領がやってきてキリスト教布教の自由を認めよと圧力をかける・・・これは中国は飲めませんよ。

小泉君の「靖国強行」はこのブッシュの「キリスト教布教の自由要求」の伏線だったのですね。正に恐るべきアメリカ。悪の帝国とは言いませんが(そう言ってしまってはブッシュさんと同じになってしまうから)、ブッシュ君・・悪魔 のような貴方。

グローバリゼーション再考

ねこくま

グローバリゼーションについて学生諸君と議論する機会があったのでそこで気がついた論点をメモ的にいくつか上げておきます。最大のポイントはグローバリゼーションは貧困を解決するのか、あるいは貧困を生み出すのか?これがグローバリゼーションを価値判断する上で最も重要な基準だと思います。

次のポイントはグローバル政体が存在するなら、われわれをいかなる主体がどうやって代表するのかという問題です。トインビーの「所属しているけれど、代表していない」プロレタリアートの状態が、現在の国民国家より優れた統治システムとはとても思えません。

こうなると「帝国システム」なる広域支配システムの中心が何処に存在するのかという問題か、国際関係研究者の間でこれほど関心を集めるようになった理由が理解できます。

最後にグローバリズムと「靖国参拝」の関係について私はこれを国際問題として捉えています。理由は、アメリカ主導のグローバル秩序に挑戦可能な東アジア共同体形成可能性を阻止するために「靖国」は極めて重要な問題だからです。

日本が靖国参拝を繰り返し、侵略戦争の歴史を肯定する主張を続けるかぎり、中国・韓国は言うまでもなく現在のASEAN各国はアジアは「共通の家」形成に踏み出すことは不可能でしょう。

日本をアジアから遊離させ、アメリカのグローバルな国益に全面的に組み込むために「靖国参拝」が要請されていると見た方が合理的なのです。

しかし現実の政策立案の上からは、アメリカのプレゼンスを排除した東アジア共同体形成という選択肢は現実的はありません。東アジア共同体をアメリカ主導のグローバルな世界秩序を牽制するための対抗手段として構想することを選択してはなりません。

アメリカとの共存共栄の枠組みの中で穏やかに変化していく必要があります。中国の韜晦(とうかい)戦略、爪を隠す戦略は短期的には正しいのでしょうが、相応の国力を得た後を考えると早めに成長の芽を摘むという対抗的な長期戦略を呼び寄せてしまう可能性があります。

私は最近、グローバリゼーションが生み出すマイナス局面を補完し、地域の人々に平等で豊かな生活を保障する地球規模の共同体構想を、正面から主張していくほうが王道なのかもしれないと考えるようになりました。

東シナ海の浪高し

ねこくま

「春暁」ガス田にミサイル駆逐艦など5隻の中国軍艦が出現しました。昨年11月原子力潜水艦が日本の領海に迷い込んで海自の対潜哨戒機の追跡を受けたばかりです。やってきたのは写真で見る限りソブレメンヌイという中国がロシアから購入したばかりの新鋭ミサイル駆逐艦です。

従来中国海軍の艦艇は電子装備とかミサイルが旧式で、航空攻撃への防空能力をほとんど持たないのが特徴でした。しかしロシア製ソブレメンヌイ駆逐艦は中 国海軍で初めて飛来する航空機を迎撃できる防空能力を備えた中国期待の新鋭艦です。まあようするに虎の子の軍艦を出してきたことになります。

さらに中ロ両国の軍隊約1万人が参加する合同軍事演習「平和の使命2005」が、ロシア極東、中国山東半島および周辺海域で実施されたそうです。両国初 の本格的合同軍事演習で、台湾解放を視野に入れたとも対米戦を想定したとも言われています。緩慢ですが着実な中国の軍事力近代化が進んでいます。一方で陸上自衛隊がロシア製火器を輸入するという記事がでていました。自衛隊の仮想敵がロシア製火器を装備している可能性が高いので、 実際に自衛隊の装備を射撃してみて対弾性能とか防御能力を実地で試験するのが目的のようです。昔ロシアが日本の航空自衛隊に、ロシアが中国にも売った SU27という新鋭戦闘機を空中戦の訓練相手に買わないかと売り込みに来ました。このときは日本は相手にしなかったようですが、今度は小銃や対戦車ミサイルに限らずロシアから色々購入することになるかもしれません。

米軍との合同作戦を前提に戦力が構成されている自衛隊ですから、当然アメリカが仮想敵とする中国軍事力との衝突を準備し始めているのでしょう。

海の向こうでは、日中戦争をテーマにしたオンラインゲームが「若者の愛国主義と民族精神を育てる」ために中国で開発中と伝えられていま す。参加者が兵士に扮して日本軍と戦うロールプレイング・ゲームだそうです。中国の指導者たちが、アメリカの軍事力に正面から対決できない大衆の憤懣を、 侵略戦争の歴史を受け入れない日本に転化することはたやすいでしょう。それでも日本の政治家たちは、中国やアジアのナショナリズムを逆なでする靖国参拝を 強行しています。

ここは少々冷静になって状況の沈静化を図らなければならないところです。そこで客観的な数字の登場となります。防衛白書の日中軍事力比 較を見てみましょう。17年度防衛白書によれば中国陸上兵力160万人(日本14.8万人)、中国海上兵力750隻(日本150隻)、中国航空兵力 2390機(日本480機)です。しかも中国の国防費は17年連続で10%以上の伸びを達成しているとされています。

白書の巨大な数字を見れば中国軍事力は巨大で、日本が喧嘩を売るどころか極東アメリカ軍の力を借りなければ日本の防衛も覚束ないかに見 えます。しかし中国軍の実態は、数は多いものの外洋で作戦可能な軍艦は件のロシアから最近輸入されたごく少数のミサイル駆逐艦や潜水艦のみで、弾道ミサイ ル戦力を除外すれば沿岸地域に限定された中国の軍事力投射能力が小規模で限定的なものであるのは周知の事実です。

一方で最先端軍事技術を満載するイージス艦を中心に構成される日本の海上自衛隊は、世界有数の海軍力を誇っています。軍事力の比較は複 雑で単純化が難しい問題です。それ故従来から相手の軍事的意図と能力を取り違えて、軍事力強化のエスカレーションを引き起こし、戦争を引き起こすのが世界 政治の現実です。

世界最強の軍事力を保有するアメリカから敵視され、国内には「台湾解放問題」を抱え、わずか半世紀前に中国大陸に侵攻した隣国日本は排外的なナショナリズムを強めている。これでは中国ならずとも防衛力強化に乗り出さざるをえないでしょう。

領土問題とナショナリズムは、政治家が大衆の支持を得るためにもてあそぶ道具としては危険すぎます。領土紛争は国境線をめぐって長期的で 本格的な戦争を引き起こします。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では、激高した狂気のナショナリズムが引き起こす悲劇を目の当たりにしたばかりです。

キッシンジャーは中国の軍事力はアメリカより20年は遅れている。しかし20年後にはその遅れは今より遙かに縮小されているだろう。中国のグローバルパ ワーとしての台頭をアメリカは受け入れるべきだと言明しています。地理的条件からも現実の経済的結びつきからも日本は対中関係を独仏関係並みに改善しなけ ればならないくらいの発言を、日本の政治家からも聞きたいものです。

動物園のぞう

ねこくま

最近動物園にはまっている。年間パスポートを購入して、先月も4回ほど行っているから病は結構重いかもしれない。 Webページ作成実習のフィールドに動物園がぴったりだと考え、まずは自分がお手本のページをアップするために写真を撮りに行ったのが始まりである。プラ イバシーとか知的所有権とか色々難しい問題を考えずに、学生諸君に自由にホームページを作ってもらうために多摩動物園は最適であった。動物園に関心を持つようになると豪華な上野動物園と質素な多摩動物園の格差とかが見えてくる。単純に金のかかり方が違う。パンダだって上野にしかいない。両動物園を運営しているのは東京都だが、同じ都内の動物園でも中心・周辺の格差は明らかに存在するようだ。

さて今日は敗戦記念日、一般には終戦記念日だ。毎年8月15日になるときまって語られる「象のいない動物園」の話をご存じだろう。 上野動物園のドンキのお話である。第二次大戦の末期、空襲で猛獣が逃げ出すと危険だからと動物園の猛獣たちはすべて殺された。ライオンも虎も殺された。猛 獣とは言い難い象も殺された。人間の戦争にまったく関係の無い動物園の動物たちが、戦争遂行に協力せよと殺されるのだから、何とも理不尽きわまりない話 だ。不思議なのは誰がぞうを殺せと命じたのか、その主語が出てこないことだ。

ついでにテレビを見ていたら終戦特集で、文化人?が特攻隊の犠牲のお陰で今の人たちは暖衣飽食が出来ると力説している。これも出鱈目な 主張で兵士に自爆攻撃を命じた責任者の存在を意図的に隠蔽している。赤紙一枚で死地に追い込んだ戦争指導者の責任を棚上げしておいて、戦死者への感謝を説 くのはいかがなものか。

一方で国会は、小泉首相の刺客、くのいち?と郵政解散で浮かれている。何とも浅薄でお目出度い国会議員の先生方だ。周囲のアジア各国で は「戦勝記念日」を機に日本の戦争責任を問いなおそうとの機運が生じている。国家の生存を左右する国際情勢を一顧だにせずに、日本の政治家達が政権政党の 権力闘争、党利党略の次元でしか政治を見ていない証拠である。言論封殺とか、外交戦略とか数々の問題はあるが、一つだけはっきりしていることがある。動物 園の象を殺すような決断を迫る指導者を何があっても選んではならないことだ。

戦争の記憶を伝えていく決意を新たにする8月15日であった。

※日頃の精神的疲労がたまっている方は、是非動物たちと交流して癒されてください。そして人間の都合で故郷から遠く離れて働いている彼らの境遇に少しばかり共感してください。

郵政解散?

ねこくま

チキンゲームそのものでしたね。小泉さんの郵政解散。政略とか戦略とか色々言われていましたが、終わってみればセンターラインを爆走してきた二人の不良の運転する暴走車は正面衝突、激突してしまいました。前の晩にタイのビールで真っ赤に酔っぱらった森前首相が登場したりして、正に画に描いたようなチキンゲームでした。

キューバ危機なら核戦争勃発です。相手が理性的に行動するだろうという前提があっての核抑止論です。ああ良かった。6者協議の主役が日本じゃなく て。小泉さんは日本人だなあ。清水の舞台から飛び降りるのが大好きですねえ。このままだと敗戦記念日に靖国公式参拝って可能性も。

成算なり、見通しがあっての行動ならまだ良いのですが、どうも反対ならぶっ壊すということなので独りよがりの目算が外れれば自爆ということらしいです。小泉政権だけの自爆ならどうぞ後勝手になのですが、問題は小泉さんがハンドル握っている車にはお客さんが沢山乗っていることですね。

非情になると見栄を切っている様ですが、国民の生命財産の重さにまったく自覚のない小泉さんに日本国を任せることが出来るのでしょうか。非情な政治家に私の生活や財産を勝手に売りに出されるのはご免です。

※フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

チキンゲーム: 2人のプレイヤーは崖に向かって別々の車で同時に走り出し、先に運転席から飛び出した者が「チキン」である。

憂鬱な食生活

ねこくま

仕事の打ち合わせをしていたら、気の利いたフレンチ・レストランに行きたいねえという話になった。でも予約を入れておかないとランチにはステーキが出るよと言うと、まだ若いのに口の肥えているこの友人は「えー、ビーフですか? それはがっかりですねえ」と返してきた。フレンチで牛は憂しである。そう言えば最近こういう食に関わる機転の利いた会話ができなくなった。このレストランも昔はステーキなど出さなかったのだが、客単価が落ちて自然と「普通のメニュー」が出てくるようになった。そう言えば最近都内の研究者の集まりの後の居酒屋でも食べるものがなくなった。乾いた上に薬くさいお作り、異様に油が重い揚げ物、果ては妙に悪酔いする生ビールのジョッキ。最近は自分だけは瓶ビールをお願いしている。食生活が貧しくなった。

学生達の食生活はもっと悲惨だ。生協で買った冷凍のピラフを電子レンジで解凍して、袋のまま立ったままで食べる。食堂は高くて量が少ないと言う。パンだってプラスティックくさい大メーカーのこれまたプラスティック・バック入りのパンだ。うどんやそばは一食分ずつビニールパックしたものを茹で直して出してくる。それでもけして安くはない。

その上わが大学は最近一日に5校時を詰め込んだために昼休みの時間が足りない。ゆっくり食事をしている暇が無い。私なども何とか米だけでも弁当を持参する。味もともかく実質30分の講義の合間の昼休みに食堂に行っている暇など無い。

大学生の酒生活も酷いものだ。彼らと飲み会に行くと、まず飲み放題のプランを予約してくる。割り勘の計算が簡単だからと言うが、彼らが好むのは甘くて、冷たくて、工業アルコールいりの色水である。世間ではあれをカクテルと称しているらしいが・・・。ワインもあるがこれもワインとは名ばかりのキンキンに冷えていないと飲めない工業製品がほとんどだ。

八王子に私がワインのイロハを教えてもらった酒屋さんがある。ここの社長はよくサント・・のウィスキーは、輸入モルトを有機芳香化合物と着色用のキャラメルと工業アルコール薄めた偽物だと言っていた。彼はそれが嫌で、この大会社を辞めて、ウィスキーのモルトを初めとするお酒の輸入・販売を自分で始めてしまった。

学生達が喜んで飲む「色水」には酒と呼ぶための根拠であったモルトでさえ入っていない。

ご多分にもれず私の身の回りでも鬱病の話を良く耳にするようになった。世の中の流行通りに大学でも鬱病が増加傾向にあるのかもしれない。その原因がビタミンや稀少ミネラルの不足、不規則な食生活にあるという説がある。彼らの食生活を見ていると食生活の乱れが鬱病を生み出しているという説明は、結構正鵠を射ているのではないかと思えてくる。

何とかしなければならないとは思う。で、講義の合間に、コーラが骨を溶かすとか、ジュースは糖尿病まっしぐらとか、シャンプー・リンスは○○の陰謀とか、おもしろ可笑しく語り続けている。春合宿では有機農法の米と野菜、国産小麦と天然酵母でパンを焼くペンションを数年使い続けている。自然の本物の味は美味しいでしょう。まあこのペンションは、一日中勉強会のために食堂を開放してくれたり、無線LANの提供からプロジェクター、PCの持ち込みまで、勉強するゼミナールのわがままを聞いてくれるという理由もあるのだが。

食は重要な文化という前に、すでに自分の健康を守る前提として食の安全性、食文化の見直しが必要な段階に入っているようだ。年に数回チキンラーメンを食べたくなる発作は起こるものの、単に安全な食べ物というだけでなく、酒も含めて食の文化を大切にして行きたいものだ。

猫熊は機械猫の夢を見るか

ねこくま

@横浜市某所N邸研究会

毎月末日曜の研究会が開かれているが皆様はご存じだろうか。テーマは「フルシチョフ時代再考」である。2時間をこえる研究会であるが、学問的であると同時に東アジア国際関係やイラク戦争など最新の国際問題を読み解く鍵を与えてくれるエキサイティングな内容に満ちている。このところの私の最優先事項である。

しかし問題もある。物理的に遠いのである。東京に居住している私が片道2時間以上、往復5時間あまり。誤解を恐れず言うならば2時間の研究会のためにたまの日曜日が費やされる。私はあまりに興味深いために何事にも優先して出席している。しかしさらに遠い場合、あるいは日曜日一日使う余裕が無い人間はあきらめねばならぬ。

大学を卒業したとき思ったこと

私は大学を卒業してサラリーマンになった。勉強を続けたい。さらに高度な教育を受けたいと言う希望は持っていた。一生懸命本も読んだ。ゼミの集ま りがあればこれにも参加した。しかし実際仕事を始めるとそんなに時間は取れなかった。結局サラリーマンの猫をかぶりきれずに退社し大学院に舞い戻ったが、それでも卒業後も大学に集って勉強を続ける仕掛けが作れないかという夢は持ち続けてきた。

機械猫の夢は実現する

あれから20年を越える歳月が流れ、情報技術の進歩は僕らに時間と距離を超える数々の技術的手段を与えてくれた。マルティメディア技術とインターネットである。機械猫とは中国でドラえもんのことを指す。未来から来たどらえもんばりの道具を使えば、2時間の研究会の講義を録画、インターネットを経由して視聴可能だ。もちろんレジメもおくれる。世界中何処にいてもネットに接続できれば研究会に参加できる。論より証拠、以下に5分ほど「講義」を載せておく。おそらく一般的なネット環境とPCさえあれば時差はあっても空間は越えられる。 http://www.s.soka.ac.jp/~ahayashi/2005npo/npo1.html

もちろん時間の差も限りなくゼロに近づけることは可能だ。「講義」をそのままWebカメラでネットに流してしまえば良い。チャットを使えばその場で質問もできる。しかもコストは最低限だ。僕らでも何とか負担できそうだ。毎日11時まで残業していても、休日出勤でも2時間の時間的余裕さえ見つけだせれば勉強を続けることができる。

バーチャル・ユニバーシティ

ありがたいことにN邸講義だけでなく、処々で友人達が活躍している。 地球宇宙平和研究所の知的資源は豊富である。これを活用しない手はない。

インターネットで配信されたレジメをもって講義を聴き、メールで質問し、レポートを送る。チャットルームを開設すれば議論活発なゼミナールだって開ける。卒業資格とか体系的な教育内容とか言われるとまだ準備には時間がかかるかもしれないが、とりあえず国際関係に関心を持つ人間の心を潤すく らいの知的刺激は十分に与えられると信じている。

大猫熊は機械猫の夢を見続けている。

蒸し暑い夜の妖怪話

ねこくま

唐突であるが「銀河英雄伝説」というSF小説をご存じであろうか。民主的選挙で選ばれた一国の首相をSF小説の悪役にたとえるのは何とも失礼な話であるが、今回は小泉首相とこの小説の登場人物ヨブ・トリューニヒト氏のお話である。(注1)

歴代の首相経験者や衆議院議長はては日本遺族会会長までが、小泉首相の靖国公式参拝中止を求めている。もとよりいわゆる護憲派も、戦後民主主義の 受益者である大企業の大部分もアジア諸国民の感情を逆撫でして日本の対外経済活動を制約する靖国参拝に反対であろう。しかし小泉氏は四面楚歌にも似たこの 状況で「国会解散」を盾に頑迷に政治姿勢を変えようとしない。

ある研究会で韓国人研究者から問われた。靖国公式参拝に執着する姿勢は日本国首相の個人的資質なのか、あるいは何か目算があってのことなのか? 私にも小泉氏が中国や韓国とあえてことを荒立てる理由は理解不能だ。日中経済はすでに一体化しているからだ。(注2)

こんなおりEU憲法採択がフランスとオランダで否決された。政治統合推進で世界覇権確立を求めるEUエリートの独走に、生活の質の保障を求める一 般国民が反対を表明したというのだ。これを見て一定の国民が「靖国参拝」を支持する日本でも同じことが起こっていることに今更ながら気がついた。経済レベ ルにおけるアジア経済一体化はとうの昔に進行しており、日本の大企業は格安な労働力を求めてアジアに工場を移転し、日本人労働者は仕事を失ってきた。グ ローバリゼーションの名の下に大企業は中小企業と労働者を切り捨ててきた。

まして東アジア共同体など実現してしまったら大部分の日本人の生活はどうなるのか。不満と先行きの不安に突き動かされる負の庶民感情と小泉氏のか たくなな靖国詣でが結びついた場合、ナショナリズムという理解不能な次元で日本を突き動かす妖怪に化ける可能性に思いたる。わが日本国の小泉首相は「銀河 英雄伝説」の登場人物ヨブ・トリューニヒト氏に類似して、実にポピュリスト的直感に優れた人物である。小泉氏が土壇場の一発逆転を狙ってナショナリスト 「小泉純一郎」を演じている可能性に思い至ったのである。

ブッシュ大統領への無類の忠誠心を売り物に強引なグローバリゼーションを進めてきた小泉氏を、グローバリゼーションへの不満からナショナリズムを 高揚させる人々が支持するというのは何とも皮肉な話であるが。小泉氏の狙っているのが中国への生産移転で苦しみ、アジア経済の一体化に底知れぬ不安を感じ 取っている庶民の支持を狙っての「小泉靖国参拝」だとしたら、氏は大変な政治センスの持ち主だということになる。

日本の指導者諸氏は国民の平等と福利の保証に本気で取り組まないと、経済権益も財産も全部吹き飛んでしまうような事態がすぐそこまで 迫っていることを理解しなければならない。ナショナリズムには経済的合理性も倫理も正当性も通用しない。死に体だった小泉氏が再び復活などと言う事態が起 こるかもしれない。蒸し暑くなったので怪談話と冗談ではすまされぬ恐ろしい話である。

注1:広大な銀河系を舞台とした皇帝を頂く銀河帝国と民主主義を頂く自由惑星同盟の興亡を描くいわゆるスペース・オペラと呼ばれる小 説である。ここにヨブ・トリューニヒトという男が登場する。陰謀と策略で大衆を操るポピュリスト政治家で帝国騎士団という極右テロ集団を擁して大統領に登 り詰める大衆政治家である。軍事クーデターから銀河帝国による占領といった数々の危機を持ち前の悪運と鉄面被的な悪辣さで乗り切って、最終的には自分が大 統領を務める自由惑星同盟を滅亡に導く悪党の代表のような大変な登場人物である。

注2:戦後60年近い年月を経て、国民全体から見れば一定の割合に止まっているにしても、首相の靖国参拝を支持する日本国民がどのような理由でこれ を支持するのか私はずっと不思議に思っていた。アジアとの情報の一体化が進む国際化の時代に、明治以来の英霊への参拝という話も何とも時代錯誤的である。 私が靖国参拝に反対する理由は、靖国神社が日本と周辺諸地域を苦しめた国家神道の象徴であること、首相による公式参拝が日本国憲法の理念の一つである信教 の自由の否定を意味していること、アジアに限らず世界の人々が首相の靖国公式参拝を日本の軍国主義回帰と理解するだろうと考えるからだ。