朝鮮戦争を再び繰り返してはならない

中西 治

2010年11月23日午後2時半過ぎから1時間余にわたって、朝鮮民主主義人民共和国黄海南道に駐屯する共和国軍隊が十数キロ離れた黄海上に位置する大韓民国の大延坪島(テヨンピョンド)を砲撃した。これは韓国軍が22日から始めた軍事演習に抗議したものであり、朝鮮側は先に砲撃したのは韓国側であると主張している。

1953年7月の朝鮮戦争の休戦にあたって、朝鮮半島の陸上部分では双方の協議にもとづいて軍事境界線が設定されたが、海上部分についてはこれがなく、双方が勝手に境界線を設定している。今回韓国が軍事演習をおこなった地域は韓国と朝鮮の両国がともに自国の領域と主張している地域であり、これまでにも軍事衝突が幾度も発生している場所である。本年3月に発生した韓国哨戒艦の沈没事件もこの地域で起こったものである。

今回の事件がとくに問題となっているのは、これまでの衝突事件はすべて双方の軍隊間のことであったが、今回は朝鮮の攻撃対象が韓国の民間人の居住する地域を含んでおり、民間人に死傷者が出ているためである。朝鮮側も民間人の死傷者が出たことに「きわめて遺憾」の意を表明しており、事態はいまのところ小康状態にある。

しかし、本日、11月28日から12月1日まで韓国南西沖の黄海で、米国の原子力航空母艦ジョージ・ワシントン号も参加して、米国と韓国の合同軍事演習が実施される。朝鮮は「米国が空母を黄海に進入させるなら、その後の悪い結果は誰も予測できない」と警告している。米韓側は今回の軍事演習の目標は中国ではなく、朝鮮であると言っているが、中華人民共和国も首都北京が米軍機の直接の軍事的脅威にさらされるようになるから、これに強く反対している。

現在の状況は国境地帯で南北朝鮮間の軍事衝突が続いたあと、遂に1950年6月25日に朝鮮戦争が勃発し、後には米国と中国をも巻きこむ大戦争に発展した時を想起させる。もしも、朝鮮で戦争が再発することになれば、1953年の休戦以来57年余にわたって、この地域の人々が営々と築いてきたものが再び破壊され、多くの人命が失われることになる。それでは人間は過去の歴史から何も学ばなかったことになる。

朝鮮戦争を再び繰り返してはならない。

いまこそ人間は冷静に事態に対応し、理性を発揮し、戦争への道を断ち切らなければならない。そのために、ただちにつぎのような措置をとらなければならない。

第一は、係争地域における軍事演習をただちに中止しなければならない。戦争ごっこがしばしば本物の戦争になることを歴史は示している。

第二は、軍事演習に反対するために、相手側の軍人だけではなく、民間人にも武力を行使するようなことがあってはならない。それが続けば、戦争である。

第三は、関係国は力には力で対抗するのではなく、話し合いによって平和的に問題を解決する努力をすべきである。具体的には韓国・朝鮮・日本・中国・ロシア・米国の六者協議を速やかに再開し、核兵器のない朝鮮半島を実現し、休戦協定を平和条約に変えるべきである。

第四は、南北朝鮮の人々は同じ民族の友として仲良く生活し、民族の平和的統一をめざして努力すべきである。問われているのは朝鮮人民をはじめとするすべての個々の人間の資質である。

2010年11月28日午前8時