4. グローバリゼーションの進展と人間の認識の変化 ―コスモナイゼーションとグローバリゼーション

中西 治

ロシアの哲学者チュマコフは2005年に上梓した『グローバリゼーション:全一的世界の概要』でグローバリゼーションの過程を次の四つの時期に分けている。

第一は人類の出現から新石器革命が終わる1万年前から8000年前までの原始社会の時期である。交流は局地的であった。

第二はそれ以降コロンブスがアメリカ大陸に到達した1492年までの時期である。交流は地域的であった。

第三は地理上の大発見から1957年のソビエトによる人工衛星打ち上げまでの時期である。交流は地球的になった。

第四はそれ以降今日までである。交流は宇宙的になった。

チュマコフによると、現実のグローバリゼーションが始まったのは地理上の大発見以降である。それは地理的グローバリゼーションで始まり、それに経済的グローバリゼーションと政治的グローバリゼーションが続き、20世紀に入って生態的グローバリゼーションと情報的グローバリゼーションが加わり、全体的(総合的)グローバリゼーションが急激に進行した。

グローバリゼーションは人間の意識に大きな変化をもたらした。

第一の時期の後半、1万年前に神話や宗教が出現し、世界観が形成された。

第二の時期に科学革命が起こり、世界観の一形態として哲学が出現し、文化という用語が現れた。

第三の時期の科学革命により世界観の一形態として科学が出現し、文明という用語が現れた。

第四の時期の地球的革命によって地球的意識が出現し、グローバリゼーションという用語が現れた。将来は仮説的ではあるが、倫理革命によって個人的意識と社会的意識のヒューマニゼーション化が起こるであろうという。

第三の時期以降の人間のグローバリゼーション認識の発展過程をもう少し詳しく見ると、19世紀にはマルサス、マルクス、ダニレフスキー、シュペングラーなどが現れた。彼らは全体的な相互関係を直感的に推測した。世界の一体性を感得したが、明確な定式化はおこなわれなかった。グローバリゼーションは検討され、予測されるだけであった。

1960年までにヴェルナツキー、ヤスパース、トインビー、ラッセルなどが現れた。個々の学者が世界の一体性を理解した。地球全体の規模で生物的なもの、社会的なもの、精神的なものが切り離せないように結びついていることを指摘した。

1980年までに自然科学者たちと人文科学者たちが地球的諸問題を発見した。新しい科学知識分野として地球学を形成し始め、地球的意識を形成し始めた。

現在はグローバリゼーションが広範な社会的意識となった。世界の一体性を認識し、地球的世界観を形成した。

2015年以降は仮説的ではあるが、状態、過程、現象としてグローバリゼーションが認識されるであろうという。

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