2. 太陽・地球・月と生命の誕生 ―コスモナイゼーションとグローバリゼーション

中西 治

ガモフは1945年の『太陽の誕生と死』第2版で「星のできたのは20億年よりは古くないことになる。これは太陽の年齢を相当せまい範囲で与えたものであって、私たちの地球や惑星は太陽初期時代にできたものであるということを示すものである。」と書いている。

ガモフは1963年の『地球と呼ばれる惑星(A Planet called Earth)(邦訳:改訂新版・地球の伝記)』第4版で「いん石を放射性物質で研究することによって、カリフォルニア工科大学のパターソンはそれらのいん石の平均の年齢が45億年であることを知った。太陽系のすべての惑星がほぼ同じ年代にできたものと考えるのは妥当であることから、その年代は地球のできた年代と一致しているものと見ることができる。」と書いている。

ガモフは1945年に太陽や地球やその他の惑星が誕生したは20億年ほど前といっていたのが、1963年には45億年前といっている。これはこの分野の学問が1940年代から1960年代にかけていかに急速に発展したのかを物語っている。それがいまではもっと進んでいる。

2006年に出版された川上紳一と東條文治の『図解入門 最新地球史がよくわかる本』によると、およそ46億年前に巨大な分子雲が重力収縮を始め、周囲のガスを集めて「原始太陽」が形成された。この原始太陽をとりまいて円盤状のガス円盤ができた。「原始太陽系星雲」である。その温度は太陽の近くでは摂氏1500度以上に達し、これが冷却・凝縮して固体微粒子となり、原始太陽系星雲とともに回転した。やがてこれが太陽系の赤道面に沈殿し、微粒子の層が形成されて初期天体となった。「微惑星」である。

地球近傍ではおよそ100億個の微惑星が形成され、これが衝突破壊や合体成長を繰り返して現在のような太陽系ができあがったといわれている。太陽のまわりを回転する水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星などである。いまでは冥王星が惑星から除かれているので8惑星である。

月がどのようにしてできたのかについては四つの説がある。

第一は遠心力によって月が地球から飛び出したとする分離説である。進化論のチャールズ・ダーウィンの息子、天文学者のジョージ・ダーウィンが主張した。

第二は原始太陽系星雲で地球が形成されるときに、地球のまわりにあった微惑星が集まって月ができたとする兄弟説である。

第三は太陽系のどこかほかの場所でできた天体が偶然地球重力圏に捕獲されたという捕獲説である。1960年代にコンピューターを使って月の軌道を計算してでてきた説である。

第四は原始地球に火星サイズの微惑星が衝突して飛び散った破片から月ができたとするジャイアント・インパクト説である。1980年代にでてきた説であり、コンピューターによる衝突過程のシミュレーションもおこなわれている。

現在、地球の年齢は、先にふれた放射性元素を用いた岩石の年代測定によって、およそ46億年といわれているが、同じ方法による地質調査に基づいて、地球史は次のように分けられている。

第一は40億年前以前である。かつては「冥王代」と呼ばれたことがあるが、地質時代の名称としては、現在、使われなくなっている。

第二は40億年前から5億4200万年前までの「先カンブリア時代(隠生代)」である。これは「太古代(40億年前~25億年前)」と「原生代(25億年前~5億4200万年前)」の二つの時期から成る。

第三は5億4200万年前から今日までの「顕生代」である。これは「古生代(5億4200万年前~2億5100万年前)」、「中生代(2億5100万年前~6550万年前)」、「新生代6550万年前~現在」の三つの時期から成る。

「先カンブリア時代」というのは「古生代」の最初の5億4200万年前から4億8830万年前までの時期を「カンブリア紀」と称していることからきている。この「カンブリア紀」の地層から突然たくさんの動物の化石が発見されている。これは動物の起源にかかわっており、「カンブリアの大爆発」といわれている。これはそれ以前の35億年間を「先カンブリア時代」と規定するほどの重大な出来事である。

地球が誕生して以来、46億年間に地球史には次のような七つの大きな出来事があった。

第一は46億年前に地球が始源物質の集積によって成長し、形成されたこと。

第二は40億年前以降に形成された岩石が保存されるようになったこと。

第三は27億年前に世界中で著しい火成活動があり、地球磁場強度が急増したらしいこと。

第四は19億年前に同じく著しい火成活動があり、巨大な大陸が初めて形成されたこと。

第五は6億年前に超大陸が分裂して新しい海洋が形成され、突然多様な生物が発生し、進化し始めたこと。

第六は2億5000万年前からおよそ1000年間、海洋が酸素欠乏状態となり、生物の大絶滅が起こったこと。

第七は現在、人類が科学を始め、地球・宇宙の歴史と摂理を探り始めたことである。この点で20世紀において人類が人工衛星を打ち上げ、長期にわたって宇宙空間に滞在し、調査・研究をおこない始めたことの意義はきわめて大きい。

地球に生命が誕生したのは一体いつごろであったのだろうか。

それは地球ができてから5億年ほど経った40億年以上も前のことであると考えられている。原始地球でメタン、アンモニア、シアン化水素、ホルムアルデヒドといった単純な分子からアミノ酸や脂肪酸が合成され、さらにそれらが一連の反応を繰り返し、細胞膜によって包まれることによって最初の単細胞生物が誕生したといわれている。それは海底の熱水噴出孔や地表の硫黄くさい温泉水の湧き出す温泉のような環境で発生したようである。その単細胞が進化し、人類となった。

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