アイケンベリーさんの講演会に参加して

中西 治

きょうは弥生 3 月の啓蟄です。冬眠していた虫が地中から這い出る日です。遅咲きの我が家の梅も満開を過ぎ、散り始めました。

2010 年 3 月 1 日に東京のホテル・オークラで催されたジョン・アイケンベリーさんの講演会に参加しました。アイケンベリーさんは米国のプリンストン大学ウッドロー・ウイルソン公共政策大学院教授で、『アフター・ヴィクトリー』で日本でも知られている国際政治学者です。共和党のブッシュさんのイラク戦争に反対し、民主党のオバマさんの大統領当選に寄与した人です。米国では「ハト派」に属します。

アイケンベリーさんは日米安全保障条約改定 50 年にあたって「 21 世紀の日米同盟を見通す」と題して講演しました。

まず、日米の同盟関係は日米両国民のそれぞれ70%の支持を得ていると言います。日米同盟は「成功物語」であり、この同盟のお陰で、日本は進歩・発展し、地域は安定した。この同盟はすでに政治的な構造物となっているが、現在、民主的・経済的変革期にある。

日米同盟への挑戦者は台頭する中国である。日米両国は日米同盟を公共財とし、6 か国協議を発展・強化させなければならない。日本が中国と機能的関係を確立することは日米同盟にとっても良い。

中国と米国の国内総生産 (GDP) は購買力平価 (US ドル) で 2005 年に中国は 9 兆、米国は 12 兆であったが、2010 年にはそれぞれ 14 兆と 17 兆となり、2015 年には 21 兆と 22 兆、2020 年には 30 兆と 28 兆となり、中国が米国を追い越す。2025 年には 44 兆と 37 兆、2030 年には 63 兆と 49 兆となり、中国が完全に米国の上位に立つ。

アイケンベリーさんはこのことを中国対米国ではなく、中国対民主主義的資本主義世界という枠組でとらえれば、恐れるべきことではないと言います。

中国に味方しているのは北朝鮮 (朝鮮民主主義人民共和国) だけであるが、米国にはヨーロッパ諸国・日本・韓国など 30 か国から成る経済協力開発機構 (OECD) という強力な味方がいる。OECD の前記の GDP は 2005 年に 34 兆であったが、2010 年には 44 兆、2015 年には 55 兆、2020 年には 73 兆、2015 年には 88 兆、2030 年には 105 兆となる。米国と OECD を加えれば、中国は脅威ではない。さらに、軍事力において米国は中国を圧倒しており、中国が大国になるのは相当先の話しである。

アイケンベリーさんは、アフガニスタン戦争はやっかいな問題というにとどまり、オバマさんに対して経済の基本に戻れと言います。

アイケンベリーさんは、結論として、日米両国の外務・国防相から成る 4 人のタスク・フォース (Task Force=特殊任務を帯びた軍の機動部隊、一般には対策本部・対策委員会) を設け、これから先 50 年間の基地問題を含む日米関係を検討するように提案しました。彼は日米同盟が「太平洋の橋」として続くことを願っています。

アイケンベリーさんにとって日米同盟は居心地の良いもののようです。日米同盟に苦しみ、それに反対している日米両国の人々の声と行動は小さいようです。彼は軍事力の信奉者のようです。軍事力が大国の象徴であった時代は終わったのです。重すぎる武装が身を滅ぼし、国を滅ぼす時代なのです。このことが分かっていないようです。

私も日米関係が「太平洋の橋」となることを望んでいます。軍事同盟関係ではなく、平和友好協力関係によって。

2010 年 4 月 18 日におこなわれる私たちの研究所のユニバーサル・ユニバーシティ・インターネット (UUI) 開校式での記念講演「私の人生哲学」の準備をしています。

良い日々を!