第5回グローバル・アカデミー報告

岩木 秀樹

2009 年 11 月 15 日 (日) 13:30 から 17:00 まで、横浜市青葉区区民活動支援センター会議室 2 ・ 3 で、第 5 回「グローバル・アカデミー  GA (地球大学院)」を行いました。 11 名が参加され、有意義な議論をすることが出来ました。

1 コマ目 (13:30-15:05) には岡田邦生さん (ロシア NIS 経済研究所) が「日ロ経済関係の現状と展望」を、 2 コマ目 (15:15-17:00) には木村英亮さん (横浜国立大学名誉教授) が「ソ連経済における市場経済  中国の体制をどう見るか」を発表しました。地球宇宙平和研究所では来年度にロシア訪問を予定しており、タイムリーかつ 2 人の違った視点の発表によりロシアを見ることができ、興味深いものとなりました。

岡田さんの発表では、細かな数字や図表を用い、ロシアの現状と今後がわかりやすくパワーポイントを使用して報告されました。ロシア経済における総輸出額の 65% をエネルギーが占めており、近年まで原油高を背景に高い成長率を誇っていました。リーマン・ショック以後は、他の資本主義諸国と同様に経済的停滞を経験したが、依然として産出量も埋蔵量も豊富な資源大国であることに変わりはない。日本からロシアへの輸出は自動車が急激に増えており、日本への輸入は石油が増大している。今後、サハリンや北東アジア地域のパイプライン設置により、さらなる日ロ関係の緊密化が望まれる。

木村さんの発表では、これまでのソ連史研究に触れながら、市場経済という観点からソ連の社会主義を再考し、弱肉強食の新自由主義へのオルタナティブを提供するものでした。ソ連史においても市場経済はすでに試みられており、最初はネップによるもの、第二は利潤導入などのコスイギン改革、第三はゴルバチョフ改革であった。ソ連邦の崩壊は一国社会主義の破綻であり、本来社会主義とは国際的なものであり、またそれが経済状況にも適していることは様々に議論されてきた。ソ連の社会主義を当時の国際的・国内的状況を踏まえて理解することが大事であり、社会主義経済 70 年の経験を今後も貴重な財産とすべきであろう。

お二人の発表は、かたやロシアのあるべき資本主義の大きな可能性を示すもの、かたや社会主義経済の有効性とその遺産の正当な継承を訴えるものであり、一見水と油と考えられがちである。しかしいずれも、現在の金が金を生む行き過ぎた新自由主義経済を乗り越える第三の道を志向しているように思われた。質問や意見もそのそうなものが中心だった。人々の自由な意志や労働を保証しながら、生産力を高めつつ、環境にも配慮し、公正で公平な社会のための福祉・教育・医療等のセイフティーネットを強くしていく社会が望まれるだろう。またそれらは時代的・社会的条件の中で行われることも心に留めなければならない。

今年度から始まったグローバル・アカデミーも無事 5 回終了することができました。お忙しい中報告を引き受けていただいた講師の皆さん、また議論に加わっていただいた参加者の皆さん、大変有り難うございました。来年度へ向けて、ぜひ様々なご意見をお寄せください。個人的には、もっと議論の時間をとる、テーマを決めて行う、身近な地域で複数のグローバル・アカデミーを行うなどを考えております。今後とも何卒よろしくお願いいたします。


第5回グローバル・アカデミー報告」への1件のフィードバック

  1. 中西 治

    本年度から始まった私たちの研究所の「グローバル・アカデミー」が、昨日、大きな成果をあげて、2009 年度の日程を終了しました。

    この機会にあたり、5 回にわたるセミナーでご報告いただいた 10 人の講師の方々、ご参加いただいた研究所内外の延べ 52 人の方々、会場を無料で提供して下さった横浜市青葉区の方々、セミナーの企画・運営にあたった同僚の方々に心から厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。

    初年度の経験を踏まえて、2010 年度も知的に豊かになった、参加して良かった、と思えるような「グローバル・アカデミー」にしようと考えています。今後ともご指導・ご支援のほどお願い致します。

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