第2回グローバル・アカデミー報告

岩木 秀樹

2009 年 7 月 19 日 (日) 13:40 から 16:40 まで、横浜市青葉区区民活動支援センター会議室 4 で、第 2 回「グローバル・アカデミー  GA (地球大学院) 」を行いました。 8 名の方が参加され、白熱した議論をすることが出来ました。

1 コマ目 (13:40-15:00) には片山博文 (桜美林大学准教授) さんが「フレデリック・ソディのエコロジー経済学」を、 2 コマ目 (15:10-16:40) には林亮 (創価大学教授) さんが「国際関係論は西欧近代を如何に超克するか」を発表しました。

片山さんの発表では、環境・エネルギー・金融危機の原因が現在の貨幣制度にあるとしたソディーに着目し、経済におけるエネルギー問題とエントロピー問題の重要性を指摘しました。市場や貨幣中心の経済ではなく、貨幣の肥大化を防ぎ、貨幣と商品を等価なものと考え、共同体が所有していない仮想的な富を制限する新しい経済学の可能性を考察しました。

経済学に疎い私は片山さんの発表に学ぶことが多く、現在の弱肉強食の経済体制を根源から見直す機会になりました。特に次のような議論が非常に示唆に富んでいました。永続的成長が続くことを前提とした市場経済はエントロピー法則を無視している。すべての生命活動の基盤は太陽であり、その恩恵を直接受けている植物こそが真の資本家である。物々交換から金属貨幣、紙幣へ、さらにバーチャルな信用経済へと進む現在であるが、実体的裏付けがないから暴走する可能性が増える。エントロピーは極大化する方向であるが、生命のみが低エントロピーを維持しているということは、生命に何かが隠されているからである。これらの議論は非常に新鮮で、今後の新しい経済のあり方を根本から問題提起するものでした。

林さんの発表では、西欧近代が生んだ現在の諸矛盾を解決すべく、西欧近代の思考様式を紹介し、西欧の脱中心化を図るとともに、パラダイム転換の必要性を考察しました。サイード、ウォーラステイン、リヴァシーズ、フランクなど広範な論者を批判的に摂取しながら、支配的でも強制的でもない知のあり方を模索し、西欧中心の国際関係論から地球国際関係論へパラダイムシフトすべきであるとしました。

林さんの発表後の議論は非常に白熱し、西欧近代における侵略や植民地化などの「負」の歴史と、西欧近代がもたらした「普遍的な」人権や民主概念との対立関係で論議は盛り上がりました。「負」と「正」、「特殊」と「普遍」のどちらかであるといった二項対立ではないし、一方的にどちらかを否定は出来ないですが、どちらを重視するかで議論となりました。人権、民主、平和概念は現在ほぼ「普遍」概念として日常的には使用されているが、そのイデオロギー性を暴露することも重要であろう。しかし、ある一定の普遍性があることにも留意が必要であろう。たらいの水と一緒に赤子まで流してしまっては、今までの先人たちの努力が水の泡となってしまう恐れもある。いずれにしても今後の精緻な研究が待たれよう。

自由に議論し、その後ビールを片手にさらに深めていく、このような知的サロンこそが今、求められているのではないだろうか。家庭、会社、大学、様々な組織でも、このように忌憚なく自由にしゃべれる場はそれほど多いとは思えない。今後も自由に白熱した議論をするグローバル・アカデミー GA (地球大学院) にしていきたい。