エッセイ 45 成年後見制度について

木村 英亮

ひとり暮らしの老人がセールスマンにリフォームなどをすすめられ、貯金を騙し取られてしまったことが報じられている。似たようなことはおそらく数 えきれないくらいあるのであろう。介護サービスも悪質な業者に手抜きされているおそれがある。子どもが親を施設に入れて財産をとってしまうこともおきているようである。普通の老人、あるいは老人でなくても被害者になりうる。

最近、170万人近い自分で権利を守れない認知症(痴呆、ぼけ)の高齢者のために、2000年に成年後見制度が導入されたことを、ボラ ンティア活動をしている友人から聞いて知った。『朝日新聞』(3月28日号)にはシニアルネサンス財団事務局長を務める河合和が、財団の紹介を書いている。それによれば、この財団はボランティアの市民後見人を養成し、成年後見制度をバックアップしているが、現在のところ利用者は少ない。

老人が増えると、社会全体として年金の負担が増大する。それだけでなく医療費なども増加する。いちばん困るのは認知症である。すべての患者に後見人をつけて、その権利を守らなければならない。

その前に、認知症を減らすことができないかと考えていると、書店で須貝佑一『ぼけの予防』(岩波新書、2005)という本を見つけた。それによると、認知症患者は、東京都では65歳以上の老人の4%程度のようである。その半分はアルツハイマー病でその他脳血管性痴呆などである。脳は使えば 認知的予備力が蓄えられ、知能より先に体が老化し認知症が起こる前に寿命が尽きる。ストレスをはじめ食習慣から運動不足までさまざまなことが認知症の原因 となる。知的好奇心をもち、適度の運動をおこない、暴飲暴食をしなければ、ぼけ老人になることはかなり防げるようである。

生涯学習の拡大は、ぼけ老人を増やさないためにも、もっともよい対策であろう。