アメリカ合衆国大統領選挙について

中西 治

2008 年 11 月 4 日に投票がおこなわれるアメリカ合衆国大統領選挙の民主党候補者にバラク・オバマ上院議員 (47 歳) 、共和党候補者にジョン・マケイン上院議員 (72 歳) が確定しました。副大統領候補者にはそれぞれジョセフ・バイデン上院議員 (65 歳) とサラ・ペイリン・アラスカ州知事 (44 歳) がなりました。いよいよ本番の選挙戦が始まりました。

米国の大統領選挙は長丁場です。今年の 1 月に両党の大統領候補を決める予備選挙が始まってから 8 か月、これからの本選挙 2 か月。米国の大統領になるためには、よほど体力と金力に恵まれていないと駄目です。アメリカ民主主義は金持ち民主主義です。

予備選挙が始まった段階では、イラク戦争の失敗によってブッシュ大統領 (62 歳) の人気があまりにも悪いので、民主党は誰が大統領候補になっても勝てる、と言われていました。私はヒラリー・クリントンさん (61 歳) を大統領候補の本命とし、ヒラリーさんとオバマさんの正副大統領候補の組み合わせなら、民主党は勝つと考えていました。

私は米国ニュージャージー州立ラトガース大学から 2002 年に人文学の名誉博士号を授与されたシャーリー・チズム (Shirley Chisholm) さんのことを思い出しています。私はこの学位記授与式 に参加しました。

シャーリー・チズムさんは 1926 年 (1924 年 11 月 30 日生まれという説もあります。 2005 年 1 月 3 日に亡くなりました。) にニューヨークのブルックリンで生まれました。父は南米・英国領ギ アナの原住民で、工場労働者、母は中米バルバドスから来た針子でした。

シャーリー・チズムさんは苦学してブルックリン大学を卒業し、コロンビア大学で初等教育の修士号をとりました。その後、看護学校の教員を経てニューヨーク州の下院議員となり、1968 年に黒人女性として初めて連邦下院議員になりました。

彼女は 1972 年に民主党の大統領候補の一人となりました。最終的にはマクガバン上院議員が大統領候補となりましたが、このときのことを彼女はのちにつぎのように語っています。「人々は私をわらいました。しかし、だれかが始めなければならなかったのです。いつの日か、大統領となる黒人の男性か、女性が現れるでしょう。」と。

1963 年 8 月 28 日にキング牧師が「私には夢がある」と語ってから 45 年、同じ 8 月 28 日にオバマさんは大統領候補の受諾演説をしました。米国社会は大きく変化し、黒人が民主党の大統領候補になるところまできました。

これを好まない米国人がたくさんいます。いまのところ、オバマさんとマケインさんは互角です。民主党は予備選挙で精力を使いすぎました。党内に亀裂が生じ、まだ完全に修復していません。 11 月 4 日まで事態がどのように展開するのか分かりません。私はオバマさんが勝利することを願っています。

いずれ人間が皮膚の色や性別などで同じ人間を差別しなくなる日がきます。人間の歴史は徐々にではあるが、間違いなく良い方向に前進しています。今回の米国大統領選挙はその一里塚です。


アメリカ合衆国大統領選挙について」への1件のフィードバック

  1. 米国在住

    現在、カリフォルニアに住む私にとっても、米国の大統領選は、楽しみにしています。また、庶民(中流家庭や貧しい家庭)を対象とする政策を推進する民主党を、私自身も、選挙権がないものの、勝って欲しいと願っています。やはり公的部門の教育や福祉を重視する民主党の政策を応援しています。(現在、州から奨学金を頂いているので、私も裨益者です。)

    だた、選挙戦については、先生も言われているとおり、非常にお金がかかっており、一般庶民も、選挙戦の時期を3ヶ月とか、もっと短くした方が良いと批判する人も増えています。また、選挙戦でかかるお金を、福祉関係にまわすとか、使い用があると思っています。ただ、これらの資金は、大資本家や企業等から出ているので、彼らの「思惑」もあるのでしょう。

    民主党の候補は、オバマ氏に決まりましたが、私の友人や学生に聞いたところでは、「候補が女性だからとか、黒人だから支持するのではなく、政策が良いから、この人に入れるということを最優先すべき」という人が多かったようです。私個人的には、経験豊かなヒラリーに候補になってもらいたかったですが、ヒラリーの人柄を好きになれない人も、庶民派の中には多いようです。他方、オバマ氏のほうは、比較的、多くの層から支持されているようです。(ただ、重要な州でのプライマリーでは、全てヒラリーがリードしていましたが。)

    今は、私も、若いですがオバマ氏に絶対勝利して欲しいと思っています。ただ、誰がなっても、次期大統領は、これまでの「汚点」をきれいにすることから始めなくてはならず、課題は山積みです。イラク戦争による負債、財政赤字、世界的なアメリカに対する信用の消失と嫌悪感等、立て直す課題は多々あります。次の4年で、また、8年でどれだけ前進できるかは、お手前拝見と言ったところではないかと思っています。また、勿論、日本の政治、外交も、(民主、共和党の政策に拘らず)常に親米的なので、日本の政治にも影響が出ることでしょう。民主党であれば、早目に米国はイラク戦争も引きあげてくれ、日本の援助負担も、多少は減るのではないかと期待していますが。最近の復興援助を見ていると、アメリカ等が破壊した国や地域を、日本等が援助でインフラ建設、人道援助をしており、人間は何と愚かなものかと思うことも多々あります。

    立派な次期大統領が、平和な世界の建設のために尽力してくれることを、選挙権がない私も祈っています。

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