どこに問題があるのか ーガソリン税などの暫定税率復活法の再可決によせてー

中西 治

2008 年 4 月 30 日、日本国の衆議院本会議は、参議院で審議中の税制関連の 5 法案を、衆議院が本年 2 月 29 日に可決したにもかかわらず、参議院がまだ結論を出していないのを、「参議院が否決したものとみなす」と決定した。これは日本国憲法第 59 条④の「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて 60 日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」に基づいている。

そのうえで、衆議院本会議は、ガソリン税などの暫定税率を復活させる税制関連法案を、民主党、社民党、国民新党が欠席し、共産党が出席するなか、賛成 337 、反対 12 で再可決した。これは憲法第 59 条②の「衆議院が可決し、参議院がこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数でふたたび可決したときは、法律となる。」に基づいている。 かくして、税率は 5 月 1 日から引き上げられる。

法的に問題はない。

どこに問題があるのか。与党の政治的対応である。

自民党と公明党の与党は、昨年の参議院議員選挙で敗北し、参議院の多数派から少数派に転落したことを率直に認めるべきである。参議院が駄目だというものは駄目である。それが衆参二院制のルールである。衆議院の三分の二以上での再可決は緊急避難行為である。それを繰り返すのは参議院の存在の否定である。

国や地方公共団体の歳入が減るというならば、減った範囲でやるべきである。どの家庭でも収入が減れば、減った範囲で生活を立て直すのが常識である。それをしないと、一家は路頭に迷う。

与党の多くの議員は、衆議院で再議決に賛成しながら、先日の山口県第 2 区衆議院議員補欠選挙の結果を、「明日は我が身」と考えていたであろう。民主党と社民党などの野党の議員は、再議決の場に出席し、堂々と論陣を張り、再議決に逡巡している与党の議員を味方につける努力をすべきであった。

現在の政治状況は末期的である。正常な判断力を失っている。これを正すのは私たち主権者である。