ネパール情勢:ネパールにマオイスト政権発足か!?

植木 竜司

南アジア、ヒマラヤの麓に位置する国ネパールで4月10日、制憲議会選挙が実施された。1996年からのネパール共産党マオイスト(以下、マオイスト)による「人民戦争」で約1万3000人の犠牲者を出し、2005年のギャネンドラ国王によるクーデターなどさまざま混乱が続いてきたが、今回やっと制憲議会選挙の実施に至った。

この制憲議会選挙は幾度も延期され、今回も正常に選挙が実施されるか懸念されていた。投票日当日は政党関係者間の衝突や投票所への放火があり、数名の死者を出し、約数十カ所の投票所で選挙延期・再投票も決定しているが、ポカレル選挙管理委員会委員長は選挙は成功だったとし、国連の潘基文事務総長も「おおむね秩序ある、平和的な雰囲気のなかで実施された」と祝福する声明を発表した。

大勢判明は4月20日頃、結果発表には2~3週間かかる見通しであるが、都市部を中心に小選挙区の結果が少しずつ判明してきている。

今回選挙が行われた制憲議会は定数601、そのうち比例区335、小選挙区240、非選挙枠(政府推薦議員)26議席である。投票率は約60%と発表され、日本でも報じられているように「人民戦争」を行ってきたマオイストが第一党を取る勢いで議席を獲得している。

ネパールの新聞「The Himalayan Times」がウェブサイトで選挙速報として選挙結果を更新しており、日本時間の4月14日午前1時の時点で小選挙区127議席の結果が発表されている。そのうちマオイストが70議席を、G・P・コイララ暫定政府首相率いるネパールコングレス党(以下、コングレス)が19議席を、ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義(以下、UML)が20議席を獲得している。前評判の高かったUMLは、マオイストと選挙協力を行わなかったことでマオイストと票を食い合うこととなり、マオイストの躍進により議席を落とす結果となっているようである。UMLとマオイストの票の食い合いで、有利になるとされていたコングレスもマオイストの躍進で議席が伸びていない。

この選挙でマオイストが負ければ、マオイストが再びジャングルに戻りゲリラ活動を再開するのではとの懸念があったが、この結果からその可能性はなくなったといってよいであろう。共産主義政党であり、毛沢東主義を掲げるマオイストが政権を握るということで、世界中で様々論議を起こしそうであるが、プラチャンダ(プスパ・カマル・ダハル)書記長は、選挙前より複数政党制を受け入れることを表明しており、12日にも改めてマオイストによる一党独裁を懸念する必要はないと強調している。

選挙には王制派政党も参加しているが、少数の議席しか獲得できない見込みで(4月14日午前1時時点で0議席)、有力者の落選も報じられている。現在の暫定憲法では、制憲議会の初日に議会で連邦共和制であることが承認されることになっている。つまりこのまま何事もなく選挙結果が判明し、制憲議会が開かれれば、約240年間続いてきた王制が廃止され共和制に移行することになる。今後、選挙結果とともに、ギャネンドラ国王の動きにも注目である。