ベトナムの今 ~ストライキに泣く日系ベトナム企業~

野津 志乃

2008年1月ホーチミン市近郊のT工業団地は異様な雰囲気に包まれていた。先日も私の働く会社の近くのいくつかの工場で路上に多くの工員さん何百と集まり、公安も駆けつけるほどの状態になっていた。

http://www.nld.com.vn/tintuc/cong-doan/213766.asp
http://www.nld.com.vn/tintuc/cong-doan/213621.asp

ここ2,3年急激に世界の注目がベトナムに集まっている。去年WTOに加盟指定から特に投資が盛んになってベトナム株が急騰。

ホーチミン市とハノイ市で、オフィス、高級マンション、小売用地など各種不動産の賃貸料が急上昇している。地価も上がり、土地成金、株成金が増え、お金持ちのベトナム人が増え、外資の高級デパートで買い物をする人が増えた。高級車に乗るベトナム人も増えた。

それに伴って物価も急騰。2007年は年間で12.63%UP (2006年12月比)、過去11年で最高となった。ほぼ全ての品目で上昇したが、最も高かったのがCPI算出品目で最大の割合を占める食品で、前月比4.69%上昇、年間では21.16%上昇となっている。地価とガソリン、そして食品の値上げが生活を直撃している。ホーチミンに住んでいる低所得者の生活は苦しい。

またホーチミンの最低賃金が2008年1月より引き上げられた。外資系の企業、工場の最低賃金はベトナム企業より高く設定されており、100万ドン(62.5$)になった。

2008年1月の消費者物価指数 (CPI) 上昇率は前月比2.38%、昨年同期比14.11%と非常に高かった。

そのような状況の中で多くの日系製造業の会社で多くのストライキが発生するにいたった。台湾系の会社等は人件費が高騰し採算が取れなくなれば撤退する会社もあるが、日系はある程度余裕があるため賃上げができることあり、狙い撃ちされている感がある。工業団地では一社がストライキを起こせば連鎖的に近隣に広がる。一旦賃金改定に関して決着したいたが、近隣のストライキに刺激され再度ワーカーから賃上げ要求がなされ再ストライキといった事態もある。これはベトナム特有の問題もある。基本給から手当の額までお互いにすぐに見せ合い比較するからだ。

また一党独裁のベトナム政府は物価上昇による生活苦から国民の不満が政府に向かうことを恐れているように感じる。そのため、政府は意図的に労働者側に立ち、物価上昇にともなって賃上げをしない企業側に今回の問題があるというスタンスをとっている。新聞などでも物価上昇による労働者の生活苦と企業の待遇の悪さが書き立てられる。しかしその記事は誇張や誤り、うそがある。扇動的に感じる。

2月7日はベトナム旧正月。多くの労働者が田舎に帰郷し始め、工業地区は落ち着きを取り戻しつつある。旧正月が終わり、労働者が都市部に戻ってきた後、現在の状況がどういう方向に向かうのか注目したい。