福田康夫内閣の発足にあたって

中西 治

自民党の「総裁選挙劇」が終わり、福田康夫さんが総裁となりました。いま自民党員が求めているのは小泉・安倍型の威勢のよい麻生さんではなく、おっとり型のユーモアがあるような、ないような福田さんです。小泉・安倍型の政治家はもう懲り懲りでしょう。おかげで参議院議員選挙で惨敗しました。それにしては麻生さんはよくとりました。

私もどちらかと問われれば、福田さんです。野党とすれば、福田さんよりも麻生さんの方がたたかいやすいでしょう。福田さんと麻生さんの二人のうちのどちらかしか、自民党の総裁となれず、日本国の総理となれないのは寂しい限りです。自民党は、日本社会は、そんなに人材がいないのでしょうか。

今日の衆議院本会議の第一回投票で福田さんが338票、民主党の小沢一郎さんが117票、参議院本会議の決選投票で福田さんが106票、小沢さんが133票を獲得しました。憲法の規定で衆議院の議決が優先され、福田さんが内閣総理大臣に指名されました。

参議院で小沢さんが福田さんを27票上回ったことは与党にとって大きな衝撃です。改めて先の参議院議員選挙で失ったものの大きさを痛感しているでしょう。参議院で与党が過半数の支持を得ない限り、政治は一歩も進みません。

自民党の新しい執行体制はこのような状況を打開しようとするものです。幹事長の伊吹文明さんは国民新党の亀井静香さんの派閥を引き継いだ人です。総務会長の二階俊博さんはかつて宮沢内閣不信任案に賛成して自民党を離党した人で、小沢さんの側近でした。伊吹さんと二階さんの仕事は国民新党と民主党を自民党の味方にすることです。当面の課題はインド洋での海上自衛艦の給油問題で野党を味方につけることです。福田さんは民主党との大連立を考えているのではないでしょうか。私が福田さんなら考えます。

古賀誠さんを総裁直属の選挙対策委員長とし、来るべき衆議院議員選挙に備えています。与党は衆議院の先議事項である来年度の予算と関連法案を来年3月までに衆議院を通してから総選挙と考えているようですが、果たしてそれまで保つでしょうか。

新内閣の人事について言うべきことは何もありません。これが「背水の陣」でしょうか。安倍改造内閣は1か月もたなかったのです。ほとんど変わっていない新内閣は短命です。次の総選挙まで、いや、今国会限りかも知れません。この内閣では総選挙はたたかえないでしょう。福田さんはもっと思い切った、大胆な、斬新な内閣を組むべきでした。

どたばた劇の最後はあっけないものでした。何の見せ場もありません。すべて黄昏でした。

いまも福田さんの内閣総理大臣としての初の記者会見を聞きましたが、心に残る言葉はありませんでした。これが福田さんなのでしょう。