第二次大戦終結62周年にあたって

中西 治

残暑お見舞い申し上げます。

第二次大戦終結62周年を記念して二つのテレビドラマが放映されました。一つは8月10日と11日のフジテレビの二夜連続ドラマ「はだしのゲン」前後編です。もう一つは8月12日のNHKのスペシャルドラマ「鬼太郎が見た玉砕」です。

前者は中沢啓治さんのマンガ『はだしのゲン』をドラマ化したものです。後者は水木しげるさんのマンガ『総員玉砕せよ!』をドラマ化したものです。

中沢さんは現在68歳、1945年8月6日のヒロシマのピカドンのとき国民学校1年生でした。水木さんは現在85歳、ニューギニアのニューブリテン島ラバウルで二等兵として従軍し、二度の「玉砕」から生き残りました。

お二方の体験にもとづく二つのテレビドラマを見て、改めて戦争の悲惨さを痛感しました。戦争は人を狂わせます。地獄です。8月15日に寄せて恒例の一文を書きました。

第二次大戦終結62周年にあたって

1945年8月15日に日本がポツダム宣言の受諾を発表し、第二次大戦は終結しました。それから62年が経ちました。 この間に日本と世界は大きく変わりました。

日本は天皇主権の国から国民主権の国となりました。最近の参議院議員選挙の結果は日本で国民主権が定着・発展しつつあることを示しました。戦後の 平和と民主主義を「戦後レジーム」と称して、それからの脱却を主張し、憲法第9条の改悪をめざした安倍内閣は敗北しました。比例区での自民党と公明党の得 票率は合わせて41.3%、選挙区では37.4%、非改選を加えた現有議席の占有率は42.6%です。参議院では与党が少数派となり、民主党、共産党、社 民党、国民新党などの野党が多数派となりました。

自公は現在、衆議院で合わせて337議席、70.3%の議席を有しています。2005年9月の衆議院選挙のさいの比例区での自公の得票率は合わせ て51.5%、小選挙区では49.2%でした。現行の選挙制度では50%の得票で70%の議席が得られます。議席数に惑わされてはなりません。ただ、その 機会は与野党の双方にあります。問題はどちらの側が大同団結して多数派を形成するかです。

1930 年代初めから侵略戦争を開始した日本軍国主義・ドイツナチズム・イタリアファシズムなどの枢軸国は中国・米国・英国・ソヴェトなどの連合国に敗北しました。民主主義が時代の思想となりました。植民地がなくなり、帝国主義の時代は終わりました。

国際連合は第二次大戦の教訓に学び、紛争問題を戦争によってではなく、平和的に解決するという原則を憲章で決めました。この原則が世界の多くの地域で実現し始めています。

ヨーロッパでは共同体が形成され、かつて戦争を繰り返したフランスとドイツのあいだで、もはや戦争は考えられなくなりました。ソヴェトが解体した ユーラシア大陸では独立国家共同体や上海協力機構などの地域協力体が生まれています。東南アジア諸国連合の首脳が1976年に調印した東南アジア友好協力 条約には日本、中国、インドなど24か国が参加しています。北アメリカ大陸でも広大な自由貿易圏が形成されています。

武力紛争が続いている地域があります。中東です。1948年5月のイスラエル共和国建国以来のイスラエルとアラブの抗争です。アフガニスタンとイラクでは米国が力を使って新しい秩序を確立しようとしています。地域住民は激しくこれに抵抗しています。

紛争の火種を残しているのは朝鮮半島と台湾周辺です。1950年に勃発した朝鮮戦争は休戦状態であり、まだ終わっていません。中国・朝鮮・韓国・ 米国・ロシア・日本の六者協議や南北朝鮮の直接対話によって朝鮮戦争を完全に終結し、朝鮮半島を非核化し、南北朝鮮を平和的に統一する兆しが現れていま す。2008年の北京オリンピックを前にして台湾がどう出るのか。1980年のモスクワ・オリンピックを、西側諸国がアフガニスタンへのソヴェトの軍事介 入を口実にして、ボイコットしたことが思い起こされます。

当面の最大の課題は中東での戦争を止めさせ、朝鮮・台湾問題を平和的に解決することです。

日本国憲法は国連憲章よりも先駆的です。第9条は、第1項で戦争を国際紛争を解決する手段として永久に放棄することを宣言し、第2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と規定しています。

ドイツの哲学者カントは18世紀末に永遠の平和のためには常備軍を廃止しなければならないと主張しました。日本国憲法第9条は人類が多年にわたって求めてきた非戦と非武装の到達点です。人類の宝です。

核兵器のない、人殺しの道具のない、軍隊のない、戦争のない、平和な日本と地球を作り出すことが21世紀の目標です。

私たちは2001年12月15日に「特定非営利活動法人 地球宇宙平和研究所」を設立しました。そのなかの有志が2004年8月15日に「日本国憲法第9条を支持する宣言」を発表し、日本だけではなく、韓国、中国、ネパール、タイなどの139人の賛同を得ました。

2005年8月15日に「日本国憲法第9条の精神を地球全体に広める会(略称、9条を広める会)」を設立しました。この会の世話人は今井康英、岩 木秀樹、上田順子、近藤泉、高橋勝幸、竹本恵美、中西治、藤田尚則、星野昭吉(敬称略、五十音順)の9人です。世話人には、いつでも、だれでもなれます。 9条をまもり、広めるために大同につきましょう。

第二次大戦後62年間の内外情勢の大きな変化は私たちに明るい希望を抱かせるものです。

21世紀における変化はもっと大きいでしょう。輝かしい未来のためにともに努力しましょう。

2007年8月15日