2007年謹賀新年

中西 治

新年明けましておめでとうございます。新しい2007年が地球上のすべての人にとって平和で幸せな年になることを願っています。過ぎ去った2006年は第二次大戦後の日本の歴史において重大な意味を持つ年となりました。憲法につぐ重要な法律である教育基本法が改定され、公共の精神を尊ぶことが重視され、国を愛する態度を養うことが強調されるようになりました。防衛庁が防衛省になり、自衛隊の海外派遣が従来の付随的任務から本来的任務になりました。

改定教育基本法は美辞麗句にみちています。第2条 (教育の目標) 5は「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」と謳っています。文言そのものは一見きわめて自然な表現のようにみえます。

それが問題となるのは、国旗・国歌問題に見られるように、法案採択時には国旗・国歌に対する日本国民の感情がさまざまであるから、国旗・国歌を強制するものではないと言いながら、法律施行後は教育の現場で国旗・国歌が強要され、これに異議を唱える教職員が懲戒処分を受けているからです。日本国憲法第19条が保障する思想および良心の自由が侵されています。

今回の改定教育基本法にしても、日本国民の日本国に対する考え方は多様であるにもかかわらず、法が「国を愛する態度を養うこと」と規定すると、教育をする者にとって国を愛する態度を養うことが職務上の義務となり、教育を受ける者にとって国を愛することが当然のこととされ、国を愛さない者は非国民ということになる可能性があります。法律とは恐ろしいものです。

安倍さんはこれら一連の法律の制定を戦後レジーム(体制)からの脱却と言い、首相在任中に憲法を改定したいと公言していますが、第二次大戦の終結まで天皇制のもとで軍国主義的な愛国教育をうけてきた私としては、日本がふたたび国家の下に個人を置き、愛国心の名のもとに国家に忠誠を誓わせて戦地に赴かわせ、戦わせようとしているとしか思えません。安倍さんの政策は戦前への回帰です。それは戦争への道であり、破滅への道です。

世界情勢は複雑に動き、平和への動きと戦争への動きが交錯しています。

米国ではアフガンとイラクへの戦争を強行したブッシュさんの共和党が昨2006年の中間選挙で大敗を喫し、政策の変更を余儀なくされています。この失敗を覆い隠すかのようにフセインさんが急いで死刑に処せられました。フセインさんは殉教者になりました。中東での紛争はいっそう激化するでしょう。六者協議が再開され、休会に入ったとはいえ、続いています。朝鮮半島はいずれ非核化されるでしょう。

日本では今年の夏に参議院議員選挙がおこなわれます。憲法第9条の改定問題が具体的な政治的争点になります。日本国民はこの問題について明確な態度を表明することが求められます。

設立満5年を終えた私たちの研究所が果たすべき役割はきわめて大です。私たちの研究所は内外の情勢を冷静に客観的に分析し、平和と人間の幸せのために何をなすべきであるのかを明らかにしなければなりません。国家間の争いを解決するためには、狭い一国的観点を越えて、広い全地球的観点、さらに奥深い全宇宙的観点が必要です。高みに立つことによって全体がよく分かり、部分に的確に対応できます。

いっそうの活躍と多幸を祈ります。

2007年元旦