為政者はグローバル化の進行を理解せよ

ねこくま

ある研究会で韓国人研究者が靖国参拝をめぐる小泉総理の発言や行動は、総理個人の資質なのか、あるいは何らかのもくろみがあってのことなのかと問いただした。わが日本国の総理は単なる愚か者なのか、それともアジア再侵略の戦略的意図を有しているのか問われたと考え、「総理は東アジア共同体形成を快く思わないアメリカの意図を汲んで、日本とアジア各国の融和に障害となる『靖国参拝』を続けている。」との私の見方を示した。

これに対し参加者の一人から県議会の裏話とともいえる衝撃的な発言があった。島根県議会「竹島の日」制定の目的は、単に県が国に漁業補償を出させるためだったと言うのである。いかにも日本的なドメスティックな手法は完全に裏目に出て、もはや国際問題化した状況で島根県が漁業補償を得る見込みは消滅し、同時に日韓自治体間の文化交流も友好関係も経済協力もすべて吹き飛んでしまった。補助金目当てという説明は悪い冗談のように聞こえるかもしれないが、日本人にとっては「アメリカ一辺倒の小泉政権」より遥かに深刻で恐ろしい説明である。

JR宝塚線の悲惨な事故で証明されたばかりだが、昨今の内向きの理屈で強引に権力で押し切る手法は日本社会に体制疲労を強いて事件や事故を続発させている。今回の事故も「旧国鉄の悪習」が原因と言いたげなJR西日本経営陣の発言は、小泉ばりの強圧とごまかしの手法の焼き直しである。国鉄解体以来の「生活」を人質にとった強引な人減らしと、すり替えによる責任回避の手法は日本国内では現在に至るも通用してきた。

しかし日本の為政者たちのやり方は直接の利害関係を持たない隣国の国民には何ら効力は発揮しない。中国も韓国もグローバリゼーションでアメリカに直接結びつき、日本の頭越しに幾らでも商売が可能だと考えているだろう。アメリカ留学組の両国のエリートたちはもはや日本を習得すべき近代化のお手本とは見なしていない。

しかもグローバル化で情報はまさに自国と同時に隣国に伝わる。民主化の進行した両国では国民の意志を政府は無視できない。それなのにドメスティックな手法もすり替えの理屈も通用しない国際社会の現実に日本の政治家たちは気がついていない。

どうか日本の為政者には正気と良心を取り戻して頂きたい。日本と中国と韓国はすでに経済的には利害を共有する運命共同体である。広く東アジアから世界に視野を拡げ、グローバリゼーションの流れの中でEUなど地域共同体が並立する新たな時代に備えるべきである。日本は今一度失った信頼を取り戻し、平和と共存のパートナーとしてアジアに認められる必要がある。そのためには憲法9条を初めとする豊かで穏やかな社会関係を目指してきた日本の「戦後」を再評価して、その平和な未来への継承を図るべきだ。


為政者はグローバル化の進行を理解せよ」への1件のフィードバック

  1. 中西 治

    2005年5月31日、「コラムのページ」の発刊、おめでとうございます。この日は私たちの研究所にとって記念すべき重要な日です。

    一人ひとりの会員が地球社会に向けて率直に意見を表明する。そこにはさまざまな考えがあるでしょう。

    私たちはそれに謙虚に耳を傾け、そこから多くのことを学ぶことになるでしょう。それは互いに切磋琢磨しあう相互学習の場です。

    この輪が地球全体に広がれば、この日は地球史にとっても特記すべき日となるでしょう。

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