平和学の教科書を読んでみる(1)

玉井 秀樹

このコラムの初回で、最近、平和学テキストの出版が続いているということを述べました。私自身、大学で平和学を担当していることもあり、各書とも 「よくできているなぁ」と感心する点が多々あります。その中でも、三重大学の児玉克哉教授等が編まれた有斐閣の『はじめて出会う平和学-未来はここからは じまる』は、「実際に使ってみたい」と思った一冊です。そこで、同書をテキストとしてコラム誌上学習会をしてみようと思います。

まず、テキストの構成を紹介しておきましょう。

第I部では、「戦争」-第二次大戦とホロコースト、核兵器と米ソ冷戦、第二次大戦後の武力紛争-を理解するための平和学の視点を提示する各章に続き、人類絶滅戦争になるであろう核戦争防止をめざして誕生した平和学形成の事情が講じられています。

第II部では、平和学の探求分野が戦争のみならず、戦争も含めた「人間」そして「生命」を損なうものへと大きく展開していることを示す、平和学的争点-貧困、ジェンダー、文化的多様性、難民-を扱う各章で構成されます。

そして、第III部では、平和をつくる主体者-日本、国連、NGO-の在り方を提示する各章が続きます。最終章では平和学的な学び=エクスポージャー (exposure:さまざまな影響や作用にふれること、身を曝すこと)について述べられています。初学者はこの最終章から読み始めて、平和学の学びをイ メージするのも良いかもしれません。

このテキストで私が気に入っている点の一つは、各章に演習問題が付されていることです。例えば、最終章の問題は以下の通りです。

  1. 日本にある平和ミュージアムにはどのようなものがあるだろうか。どこにあり、どのような展示や活動をしているのだろうか、調べてみよう。
  2. 日本でNGOが提供しているスタディーツアーにはどのようなものがあるだろうか。どのようなプログラムが組まれていて、どのくらいの費用がかかるかなどについても調べてみよう。
  3. 参加型学習の問題点や課題は何だろうか。困難さや欠点などを挙げてみよう。また、どのようにそれらを克服することが考えられるだろうか。(『 はじめて出会う平和学』p.277)

平和学に関心をお持ちの方は、この問題に取り組んでみてはいかがでしょうか?