修学旅行と平和学習

近藤 泉

◆娘が修学旅行から帰ってきました。

私の頃と同じ、奈良、京都でした。 ただ違うのは、3日のうち2日が班別の自由行動ということです。事前に行きたいお寺、拝観料、交通手段、所要時間、交通費などを自分達で調べ、初めて訪ね る宿舎に時間通りに辿り着くよう経路を組み立てます。最終日は、貸切タクシーで縦横無尽に世界遺産の古都を巡り、お昼ご飯は運転手さんお勧めの美味しいお 店でということで、「親が行きたい~」の声もしきり。帰りの新幹線に乗り遅れる事を考えれば、値が張ってもタクシーほど確実な物はないとのことで、先生も 考えたものだなと感心。

そんな魅力的な修学旅行に、我が家の歴史大好き乙女は、胸いっぱいの感動ときらきらした思い出を持って帰ってくれました。「修学」にふさわしく、東洋思想の深淵に触れますます歴史がおもしろくなったようです。

こんな彼女ですが、実は始めは修学旅行に失望していました。

◆「広島に行けないなんて修学旅行の意味が全くない」と言うのです。

数年前から、ここの中学校では広島と奈良・京都を訪ねていました。事前に被爆者や戦争経験者の方々を学校にお招きして、各クラスで2時間お話を聴き 感想をまとめます。1年かけて平和学習をしっかりし、千羽鶴を折りました。広島では被爆された方が体験を語り、原爆ドームなどを案内して下さるのを一生懸 命伺いました。貞子さんの像に千羽鶴を捧げ、歌に乗せて平和を護る決意を噛み締めました。よくぞ2泊3日で広島まで連れて行って下さったと思います。

今年がヒロシマ60周年であり、その大切な年に修学旅行に行けるものと、娘は中1の頃から心待ちにしていました。しかし、今回から広島行きがなくなり、彼女は深く失望しました。

都立高校では不況で親の収入が減り修学旅行に行かれない生徒が増えたので、教育委員会で定める修学旅行の上限金額を下げ、みんなが行かれるようにし た、と聞きました。経済的に厳しい家庭が増え予算を見直さなくてはならない現実、広島行きがなくなったのもこの理由かと推測するばかりです。多くの都立高 校で取り組んで来た沖縄へ行っての平和学習も、もう出来なくなるのでしょう。

◆そして、総合的な学習の時間にやっていた平和学習までなくなりました。

修学旅行の事前学習の必要がなくなったからだそうです。貴重な戦争体験を聴くことの出来たあの素晴らしい生きた平和学習は何だったのでしょうか。中学校の、こんなご近所に被爆された方がいるというのに。

先生方の意識が変わってきたためとは思いたくないです、、、。