大板鎮衙門村敖宝節を訪ねて ―中国東北阜新便り

エミリー

こんにちは。先日9月5日に、衙門村委員会からのご招待で「大板鎮衙門村敖宝節」へ行ってきました。先日、遼寧省阜新蒙古族自治県人民代表大会常務委員会主任の陳玉明先生にお会いした際に、「9月5日にモンゴル族の敖宝節の祭事が行われます。現地に来賓用の特別席を準備し、皆さまにご紹介したいと思いますので、ぜひ和服でお越し下さい」とご招待状を頂戴しました。

朝8時45分に、私が住む遼寧工程技術大学の教員宿舎からタクシーに乗り、1時間ほどで「大板鎮衙門村」という場所に着きました。「大板鎮」は、私の住む阜新市に隣接しています。「鎮」は、県や自治県の下位の行政区画単位です。「衙門村(ヤームン村)」のことをもう少し詳しくご紹介しますと、場所は東経121度 53’ 35”、北緯42度にあり、609戸、2142人の人々が住んでおり、住民の85%は蒙古族でモンゴル語を話すそうです。私の住む阜新市には漢民族が多く、阜新蒙古族自治県を除けば、ほとんどの学校教育が中国語(漢語)で行われます。そのためモンゴル語で生活をする人が少なく、阜新市のモンゴル族の方々にとって、衙門村は大変貴重な地だそうです。その地で毎年旧暦の7月13日(今年は9月5日)に、「敖宝節」の祭事が行われるそうです。それはモンゴル族の祭事文化だそうです。衙門村の住民はもちろん、阜新市や近隣のモンゴル族の方々が集まるそうです。

大板鎮 大板鎮衙門村

「敖宝節」というのは、おそらく「敖包」をもじっているものではないかと思います。「敖包」とは、石を積み重ねて作ったピラミッドのような円錐形の建築物です。かつてモンゴルの草原では、石は非常に少なく貴重なものであったそうです。草原には宗教的な建物がなく、住民が長い時間をかけて少しずつ小石を集めて積み重ねていったそうです。そして「敖包」を建て、神を祭り、健康や生活や幸福をお祈りしたそうです。またそれは、牧畜民が草原で放牧する際に、方向を確かめる目印としても使われたそうです。今でも県や鎮など単位で、住民が石を集めて持ち寄り、「敖包」を建てるそうです。モンゴル語ではこの建築物を「オウボウ」と言い、その言葉には「石の山」「堆積」という意味があるそうです。この「オウボウ」という音に、「ao bao」と発音する漢語の漢字を当てはめ「敖包」という言葉ができたそうです。

祭事に向かう人々で随分混雑した山道を越え、ようやく祭事が行われる場所に到着しました。到着すると、陳玉明先生と阜新蒙古族自治県人民政府副県長の李峰先生が出迎えて下さいました。モンゴル、新疆ウイグル、中国東北各省の蒙古族自治県からいらした政府高官の方々とともに、壇上の来賓特別席の最前列に座らせていただきました。日差しが非常に強く気温が高くて大変でしたが、青い空と山々が美しい爽やかな場所でした。

壇上の向こうには、立派な敖包が建っていました。その敖包は242年前に建設されたそうです。敖包の頂上にはチンギス・ハンの武器をかたどった物が飾られ、敖包の中央部には神の像を、下部にはチンギス・ハンの像を、白い石に彫ったものが飾られていました。

敖包 敖宝節

午前10時頃から、爆竹と共に盛大に式典が開始されました。開式の辞、来賓紹介、来賓一人一人に白酒、ハーダーという白い布、歌と馬頭琴演奏を捧げる歓迎の儀式、モンゴル舞踊、敖包での祈りと焼香の儀式などが厳粛に執り行われました。私も遼寧工程技術大学の日本人教員としてご紹介いただき、ハーダーを頂戴しました。式典には、多くの人々と報道陣が集まっていました。式典を見ていて私は、広島の広島平和記念式典を思い起こしました。

モンゴル舞踊 ハーダー

式典の後、政府高官の皆さまと共に、昼食、阜新市内観光(阜新蒙葯有限責任公司という製薬会社、遼寧阜新瑞応寺、阜新蒙古族自治県蒙古族実験中学・高等学校の見学)、モンゴルのパオ(包)型レストランでの夜の宴会にも参加させていただきました。テレビ局と公安が、終日同行していました。夜の宴会では、羊の丸焼きなどのモンゴル伝統のご馳走が振る舞われ、歓迎の挨拶や歌謡ショーなどが行われました。私も皆さまとダンスをしたり、日本の曲を歌ったりして楽しみました。日本の「北国の春」と「四季の歌」は、漢語にもモンゴル語にも翻訳され、こちらで親しまれています。和服を着た日本人が珍しかったのか、私は高官や公安の皆さまから一緒に写真を撮って欲しいと言われ、何十枚と記念撮影をしていただきました。帰りは、政府の車で大学まで送っていただきました。

製薬会社 パオ型レストラン

この日は、こちらの多くの伝統的な文化に触れることができ、大変感動しました。また日本での日常生活ではお会いすることができない貴重な方々と共に過ごすことができ、大変感謝しています。

こちらは日中30度を超えますが、朝は5度くらいまで下がり、秋が近づいてきたようです。日本もそろそろ季節の変わり目を迎えることと思いますので、皆さまもお身体おいとい下さいませ。