エッセイ7 内科と泌尿器科

木村 英亮

20年前の春、突然激しい腹痛があり、予定していた学生との合宿をキャンセルし、総合病院の内科で診断してもらうと、レントゲンもとった上で、特別 の症状はなく胃炎かなにかと思われるので、また痛くなったら来るようにと言われた。それでおさまっていたが、数ヶ月後に血尿があり、同じ病院の泌尿器科で 尿路結石だと診断された。その前の段階では結石は腎臓にあり、内科のレントゲンに写っていたはずである。石はかなり大きく、膀胱の入口と出口には弁がある ので自然排出の可能性は小さいということで手術の日程を決めたが、尿管などを広げる薬をもらい水分を沢山とるよう指示された。運よくトイレで自然排出さ れ、手術はしないで済んだ。

この経験から言いたいのは、縦割りの弊害である。医学も細かく分かれたそれぞれの専門は進歩しているが、専門外の重要なことを見逃すことになる。私の場合、大事にならずに済んだが、痛みの原因の確定は数か月遅れた。

似たようなことは、医学ばかりでなく他の研究分野にもあるはずである。研究は20世紀のうちに著しい発展を遂げ、専門分化した。そのた め、縦割り、蛸壺化といった現象も生まれ、視野の広さや総合性が求められるわけであろう。また、ひとつのテーマについてのさまざまな分野の研究者の共同の 総合研究の必要性が大きくなっており、実際に奨励されている。しかし、予算をとって多分野の研究者の論文を集めた出版物を出すことは盛んになったが、共同 研究の主旨が生かされてないものも、かなりあるようである。