エッセイ8 基幹科目と専門科目

木村 英亮

日本の旧制大学では、学部は法学部、経済学部など研究の方法によって分けられていた。戦後、1950年代はじめ、東京大学教養学部に、3.4年の専門課程として教養学科が設けられ、そのなかに国際関係論やアメリカ科、フランス科など地域分科がおかれた。これには、教養部を学部として成り立たせるため専門課程を置こうとすると、英語、ドイツ語などの語学の教員、教養の歴史学、経済学などの教員を主たるものとせざるをえなかったという事情もあった。

これは、学生の人気は高く、志望者を集めて発展した。社会的ニーズもあり、卒業生の就職もよかった。そこで問題になったのは、国際関係や地域研究から学生が勉強を始める場合、経済学、歴史学など専門の研究方法を知らないために、ジャーナリステックな論文を書いて卒業し、基礎的勉強の機会を失うのではないか、という危惧を、とくに既存の学部の教員が指摘した。それに対して、理論や原則から始めるというドイツの影響の強いそれまでの大学の学問のあり方に対して、現実は多面的であり、プラグマチックに具体的問題からアプローチするアメリカ的なやり方から学ぶことも大切であると主張された。その後、社会的要請によって国際関係学部などが多くの大学に設置されるようになり、また、環境学部なども置かれるようになった。環境問題も、自然科学も含め、いろんな研究方法で接近しなくてはならず、法律学、物理学などさまざまな専門分野の協力、視野の広さが必要である。環境学概論を基幹科目として、多分野の専門科目をおくことが求められるであろう。

たとえば国際政治経済学部では、国際関係論というものは基幹科目として適当なのではないかと思う。学生は同時に政治学、法律学、経済学、歴史学、地理学などの基礎的諸科学の方法のうちからいずれかに重点をおき学ばねばならない。