二酔人四方山問答(13)

岩木 秀樹

A:この前、朝鮮民主主義人民共和国に行って来たんだ。

B:え、本当、大丈夫だった。

A:みんなそんな風に言うんだ。行く前から、ちゃんと帰ってこれるのか。拉致されるんじゃないか。などと異口同音に言われたよ。

B:でも今の日朝関係や、世界情勢を見ても、そのような心配は当然出てくると思うよ。

A:それはそうかもしれないし、確かに普通の海外旅行とは少し異なった緊張感はあったことは事実だ。ただ現にこうやって元気に帰って来られたので、そのような心配は杞憂だった。

B:で、どうだった北朝鮮は。

A:その北朝鮮という言い方は、日本では略称として使われがちだけど、蔑称としてのニュアンスも混じっているため、朝鮮民主主義人民共和国では使われず、自分たちのことを共和国などと呼んでいる。ちなみに大韓民国のことは南朝鮮と言っていた。

B:へー、そうなんだ。

A:朝鮮民主主義人民共和国の地図、Map of Koreaでは、大韓民国を含む朝鮮半島全体が描かれ、南北国境線は他の道の境界線と同じ太さで描かれている。また朝鮮観光地図帖の朝鮮行政区域図には、朝鮮半島全体が行政区域とされている。

B:で、印象はどうだったの。

A:街はとてもきれいだった。確かに建物は老朽化し、道路もがたがたしているところが多かったけれど、みんなで協働で清掃しているからかゴミ一つ落ちていなかった。世界の大都会でこんな街もかなり珍しいんじゃないかな。

ホテルより平壌遠景
ホテルより平壌遠景。下は大同江。

B:へー、旅行者を狙うスリなんかはいるの。

A:スリや置き引きやボッタクリのたぐいの心配は全くなかった。旅行者がそのような心配もせずに旅行できる国はこれまた世界でも本当に少ないと思うよ。

B:じゃあ良いことばかりだったの。

A:予想に比べ、かなり快適だったことは事実だ。ホテルも日本と変わりなく、日本のBS放送も見られた。ただ自由な行動があまりとれなかっ たこと、入国と出国の審査ではスーツケースまで開かれ検査させられたことは残念だった。特に携帯電話を持ち込むことと、印刷物を持ち込むことは非常に神経 をとがらせていたようだ。

B:カメラの撮影はどうだった。

A:デジカメやビデオの撮影はほとんど自由だったから、色々なところを取った。ただ私たちが行ったところは、平壌と開城と板門店だけで朝鮮社会のほんの一握りしか見ていないけれど。

平壌の街並み。
平壌の街並み

B:やはりマスコミで報道されているように、かなり貧しい様子だった。

A:地方の様子は分からないけれど、平壌を見た限りではそれほど貧困にあえぐという状況ではなかった。商店やレストランは社会主義経済のせ いなのか、看板もでておらずどこにあるのかわかりずらかったけれど、汚い建物をいったん入ると、豪華なレストランがあったりしていた。単に道路から見てい ると、商店もレストランもないように見えるが、中にはいるとそれなりに商品が並んでいた。

B:なるほどね。また続きは聞かせてよ。