「世論調査」について(2)

今井 康英

9月11日に行われた総選挙で新たに衆議院の議席が確定したばかりなので、 今回は、再び「世論調査」について述べておきたいと思います。 私のブログでは、8月8日の「郵政解散」以降、 選挙関連の世論調査の記事は20件を超えています。 あくまでも結果論ですが、第44回総選挙の結果は、 これら報道各社による事前の世論調査で示されていた通りとなりました。 これで、少なくとも選挙関連の世論調査の信頼性には、 ある程度、肯定的な評価をしておかねばなりません。 但し、小選挙区制の特色が、これほど劇的に現れることは 想定外だったのではないかと思います。

私は、ここ2年ほどはテレビを見ないことにしています。 今回の「郵政解散」以来の「小泉劇場」を映像としては見ていません。 ニュースは、新聞(主にネット版)やラジオから情報を得ています。 新聞も捏造記事がないではありませんが、 テレビの「やらせ」よりは、まだマシだと思います。 それに新聞記事は自分の頭で考えながら読むことができます。 テレビで見せられた「小泉劇場」は、さぞかし面白かったのでしょう。 「小泉マジック」に国民の多くが幻惑されてしまったのではないかという気がします。

実は、今回の「郵政解散」は、遅くとも1年前から準備されていたという情報もあります。 (下野新聞9月13日30面「首相 1年前に解散決意 読み誤った反対派、民主」による) 小泉首相は、なかなかの「策士」であったと言わざるを得ません。 時事通信(8月31日)によると、 同日付の仏紙ルモンドは衆院選公示を受けて、 国際面トップで東京特派員による日本政治の特集記事を掲載、 小泉首相について「戦略家というより策士」と辛らつに批評した。 同紙は、郵政改革関連法案に反対した議員の選挙区に「刺客」を送り込むやり方は 日本の政治風土になかったことで、「少なくとも政局の流動化を導くだろう」と分析。その上で、「郵政法案の(参院での)否決は、 景気回復を除いて大きな成果がない小泉首相に対する国民の嫌気の表れなのに、 首相はこれを自民党内の造反議員のせいだとして、 国民に新たな白紙委任状を求めている」と指摘した。 また、景気の回復についても、 民間企業によるリストラ効果や中国経済台頭の恩恵にすぎないとの見方を示した。 さらに、小泉首相は「建設するよりも壊した方が多く、 戦略家というより策士、新秩序の創造者というよりも過渡期の政治家のように思われる」と結んでいる。

ここで思い起こすのは、学生時代に学んだ歴史の教訓です。 20世紀にはドイツにワイマール憲法下で、民主的にヒトラー政権が生まれました。 昭和の時代に大日本帝国には、大政翼賛会がありました。 今、21世紀の日本に「平和憲法」の下で、第2のヒトラー政権が生まれるのを目撃するとは、 思いも寄りませんでしたが、私にはそう見えます。 毎日新聞(9月12日)によると、 自民党の閣僚経験のあるベテラン議員も 「勝ったのにどうかと思うけど、怖い。ものが言えなくなってしまう。ファッショだよ」 と真顔で語ったそうです。

国民に郵政民営化の是非を問うだけの総選挙の結果、 自民党(296議席)と公明党(31議席)による「巨大与党」 (衆議院で3分の2以上の議席を占める)が誕生しました。 多分、首相本人もそこまでは予期していなかったと思われますが、 野党無用、参議院無用の平成大政翼賛会が出来てしまったかも知れません。 そうなると、小泉首相に全権委任したも同然です。 果たして、国民によって信任された郵政民営化法案の可決成立だけで、 彼の野望は止まるのでしょうか? 私には彼の本性はよく分かりませんが、 本格的な小泉「総統」政権へ変質するのではないかと危惧しています。

最新の世論調査(共同通信、9月13日)によると、 小泉内閣の支持率は59・1%で、不支持率は33・2%です。 自民党大勝、民主党惨敗という衆院選の結果には 「よかった」39・4%、「よくなかった」24・9%です。 9月21日召集予定の特別国会で成立を目指す郵政民営化法案の取り扱いについては 「慎重に議論すべきだ」53・4%、「同国会で成立させるべきだ」37・1%です。 「いつまで小泉首相に首相を続投してほしいか」との設問に 「来年9月の自民党総裁任期まで」47・2%、 「再来年夏の参院選まで」17・1%、「もっと長く」16・5%でした。 また、読売新聞(9月14日)によると、 小泉内閣の支持率は61・0%で、自民党圧勝の印象を聞いたところ、 「よかった」49%、「よくなかった」38%です。 自民党の獲得議席数については、「少ない方がよかった」56%、「ちょうどよい」33%です。 首相が数を背景に、強引な手法をとる不安を「感じる」63%、「感じない」30%でした。 これらのデータを見る限り、 国民世論はまだ小泉首相の独裁はありえないと判断しているようですが、 果たして彼の暴走を止められるのでしょうか? 日本国民が主権者としての力量を試されるのは、これからだと思われます。