校内暴力 ―マスコミの報道について

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投稿者:社会派母ちゃん

◆9月22日、文部科学省は公式ホームページ上で公立の小・中・高等学校(一部国立・私立)の児童生徒の「問題行動調査」の最新のデータを公表した。

平成16年度における「生徒指導上の諸問題の現状について」として、暴力行為・いじめ・不登校・体罰等について報告されている。

公立の小・中・高等学校の児童生徒が起こした暴力行為の発生件数は,学校内において30,022件〔前年度31,278件〕(小学校1,890件〔前年度 1,600件〕,中学校23,110件〔前年度24,463件〕,高等学校5,022件〔前年度5,215件〕),学校外において4,000件〔前年度 4,114件〕(小学校210件〔前年度177件〕,中学校2,874件〔前年度2,951件〕,高等学校916件〔前年度986件〕)であり,学校内及 び合計が3年ぶりに増加した前年度より減少に転じ,学校外が4年連続減少した。【10月2日 文部科学省ホームページより 】

このなかでも特に「暴力行為」いわゆる「校内暴力」の調査結果に、マスコミの報道とマスコミ取材による識者の評論が集中している。

気になるのはその無責任な書き方だ。都道府県別暴力行為の発生件数、集計結果が「1000人あたりの発生件数」(「生徒指導上の諸問題の現状について(概要)」『文部科学省ホームページ』)と して分析されているにも拘らず、単純合計数で評価しているマスコミも目につく。大都市に子ども人口が多い分だけ件数が増えるのは当たり前。それを「ワース ト1」「都市部に多い」と紹介していいものか。「1000人あたり」の割合では状況は全く異なってくる。(ちなみにワースト1の大阪は「1000人あた り」では第5位)

府内の公立小中高校生が昨年度に起こした校内暴力は、03年度から717件増えて5075件となり、記録の残っている98年以降最多を記録、2年ぶりに全国ワースト1の不名誉な結果となった。【9月27日 毎日新聞朝刊/大阪 より】

文科省ではどの程度の暴力行為を調査の対象とするのか、「教師の胸ぐらをつかんだ・教師めがけて椅子を投げつけた」等、具体例を挙げて提示してい る。しかし、それでも都道府県別の統計数には大きなバラつきがある。調査対象が生身の人間であり、判断する側の数に表す難しさも否めないだろう。また前年 度の少ない数を母数にして、そこから算出した数を著しい変化とすることは統計上の妥当な判断だと言えるのだろうか。

教師に対する暴力は336件の過去最多で、前年度の253件から33%増となった。中高生 の校内暴力は減少し沈静化の傾向が見えるのに、小学生の校内暴力には歯止めがかかっていない。【9月22日 asahi.com より】

この記事のように小学生の校内暴力を突出して取り上げる記事も多い。全国の国公私立小学校の数は23,124校、小学生の児童数は719万7千人。 今回のような公的調査であれ、これによりこれほど多くの一人一人の子どもの教育現場の姿を正確に把握することは難しい。数字の動きから背景に起きつつある 課題を深慮していくことに異論はないが、断定的なマスコミの口調には不安を覚える。

心の発達に課題を抱える子ども達の増加から特別支援教育が国の緊急課題になっている今、慎重な言い回しと生命の不可思議なるはたらきへの畏敬の念を忘れぬ報道を望みたいものだとつくづく思う。