「世論調査」について(3)

今井 康英

今回は「世論調査」について述べます。

読売新聞(10月11日)によると、衆院は同日の本会議で、政府が今国会に再提出した郵政民営化関連法案を自民、公明両党などの賛成多数で可決し、参院に送付した。民主、共産、社民などの野党各党は反対した。通常国会では、自民党に多くの造反が出て5票差での衆院通過だったが、衆院選を経た今回は「反対票組」のほとんどが賛成に転じ、賛成338、反対138の200票の大差となった。政府・与党は14日の参院本会議での成立を目指す方針だ。賛成が議席数の3分の2(320)を超えたため、憲法の規定により、参院で否決された場合でも、衆院の再議決で成立する。つまり、郵政民営化法案の成立は、時間の問題であり、これが平成翼賛会の威力である。これは、「郵政」国民投票と言われた総選挙の結果であり、国民が選択した結論でもある。(但し、今回は得票率と議席獲得率に大きな乖離があるので、異論もある。)問題は、郵政民営化以外の諸懸案に国会がどう応えるかである。民意を尊重することになっている小泉首相にも、是非、承知してほしい世論調査がある。

毎日新聞(10月10日)によると、8、9日の両日、全国世論調査(電話)を実施した。12月14日に期限切れとなるイラクへの自衛隊派遣について聞いたところ、「延長すべきでない」との回答が77%に上り、「延長すべきだ」の18%を大きく上回った。イラクへの自衛隊派遣については、来年5月に英豪軍が撤退した場合には派遣継続は困難とする意見が与党内からも出ている。昨年12月に1年間の派遣延長を決定した際は「賛成」31%、「反対」62%、昨年11月に延長の是非を聞いたときは「延長すべきだ」27%、「延長すべきでない」51%で、慎重論の強まりが読み取れる。自民支持層でも66%が派遣延長に反対、賛成は29%にとどまった。自民以外の支持政党別では、公明支持層の8割近くが反対。民主、共産、社民支持層で反対が8割を超え、性別では女性の79%が派遣延長に反対した。つまり、国民世論は自衛隊のイラク派遣延長に反対している。小泉首相、並びに国会は、この民意を謙虚に受け止めるべきである。

JNN(10月10日)によると、調査は全国の20歳以上の男女を対象に10月8日と9日に行いました。まず、衆議院に憲法調査特別委員会が設置されたことを知っている人は50%で全体の半分でした。日本国憲法の改正については、「改正すべき」が59%、「改正すべきでない」が32%でした。一方、改正論議の焦点である憲法9条については、「改正すべき」と「改正すべきでない」がそれぞれ42%で意見が2つに割れました。9条の1項で「戦争と武力行使の放棄」を定めていることについては、「変えるべき」が27%だったのに対し、「変えてはならない」が66%。また、2項で「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」と定めていることについては「変えるべき」が38%「変えてはならない」が51%という結果でした。

また、毎日新聞(10月5日)によると、憲法問題について、全国世論調査(面接)を実施した。憲法改正に「賛成」と回答した人は58%で、「反対」の34%を上回った。戦争放棄や戦力の不保持を定めた9条については「変えるべきでない」が62%で、「変えるべきだ」の30%の2倍に達した。衆参両院の憲法調査会や自民、民主、公明各党による論議で国民に改憲への支持が広がる一方で、自民党が重視する9条改正についてはなお慎重な国民意識を示した。調査は9月2日から4日まで全国の4550人を対象に実施し、2418人から回答を得た。調査方法が異なるため単純に比較はできないが、昨年4月と今年4月の電話調査では、憲法を「改正すべきだ」が6割程度、「改正すべきでない」が3割で、ほぼ同じ傾向となっている。同時に、9条改正について聞いたところ「変えるべきでない」との答えが男性で57%、女性は67%に達した。「変えるべきだ」は、男性が38%、女性は23%にとどまった。9条改正賛成派にどの部分を変えるべきかを聞いたところ、戦力不保持と交戦権否認を規定した2項だけを「変えるべきだ」と答えた人が50%と最多。戦争放棄を定めた1項と2項の「両方とも」が35%と続き、1項だけを「変えるべきだ」は13%にとどまった。つまり、JNNの調査でも毎日の調査でも、国民世論は、憲法改正には賛成するが9条の改正には反対だと言っている。少なくとも、自衛隊を海外でも武力行使できる軍隊にはしたくないというのが、今のところの民意だと思われる。いずれ近い内に提起されるはずの自衛権や自衛軍を明記した改憲案に対して、国民がどういう選択をするのか、これから護憲派にとっては益々油断ならない時代である。