「靖国参拝問題」について(5)

今井 康英

今回は「靖国参拝問題」について述べます。

小泉首相は10月31日、第3次小泉改造内閣の発足にあたり、自ら「改革続行内閣」と名付けました。私見ですが、この内閣は「参拝続行内閣」であり、「戦争続行内閣」であると思います。

時事通信(同日)や産経新聞(11月1日)によると、安倍晋三官房長官は31日午後、閣僚名簿を発表した記者会見で、 自らの靖国神社への参拝について「わたしも首相と同じように、国民の1人として、また政治家として今まで参拝してきた。今までの気持ちをこのまま持ち続け ていきたいと思っている」と述べ、今後も継続する意向を示唆した。今年も参拝している。麻生外相も同日の会見で参拝について、「(中国とは)相互に意見が 違うのは確かだが、今後話し合っていくしか方法はない。 『適切に判断したい』という小泉首相の考えとほぼ同じ考えを言わなければならない」と述べた。麻生外相も今年、参拝している。町村信孝前外相は同日夕、退 任に当たって外務省で記者会見し、「首相以下、官房長官、外相が打ちそろって靖国参拝という事態は、なかなか容易ならざる事態になってくる恐れがある」と 懸念を表明した。町村氏は外相在任中に靖国参拝を控えた理由について「(首相だけでなく)外相が行くとなると、実務的な日韓、日中の話し合いすらできなく なる恐れがあると懸念した」と説明した。中国側が靖国神社を参拝しないよう求めているのは首相、官房長官、外相の三人だからだ。もちろん、町村氏の懸念を 承知の上で、小泉首相はすべて「計算ずく」で、参拝シフトを組んだ訳で、「外交はそれくらいがうまくいくこともある」と語ったようだ。つまり、あわよくば 来年8月15日に公約通りの参拝断行を目論んでいるに違いない。 なんと「時代錯誤」の内閣であることか、呆れるばかりです。

韓国や中国の反応は、当然ながら、以下のように厳しいものであった。【ソウル1日時事】によると、韓国主要紙は1日付で、第3次小泉改造 内閣の発足について1面などで大きく報じた。「強硬右翼改造」(東亜日報)、「歴史問題など韓中両国との対立拡大へ」(中央日報)と 新内閣の性格に対する警戒感を押し出した論調が主体で、特に安倍晋三官房長官、麻生太郎外相の2人に焦点を合わせた記述が目立つ。安倍官房長官に関しては 「歴史転覆図る右翼の先鋒(せんぽう)」(ハンギョレ)と指摘。麻生外相については、植民地時代の創氏改名を「朝鮮の人たちが『名字をくれ』と言ったのが 始まり」と過去に発言したことを紹介し、「暴言相次ぐ」(朝鮮日報)としている。両氏は以前から韓国が憂慮してきた政治家であり、韓国メディアは彼らの起 用を「日本の右傾化」という従来の図式に当てはめて報道している。【北京1日共同】によると、中国外務省の孔泉報道局長は1日の記者会見で小泉首相の靖国 神社参拝問題について「対話で解決できる問題ではない」と述べ、対話での解決を求める日本側の要請に応じない考えを明らかにした。麻生太郎外相が先月31 日の就任後記者会見で、首相参拝問題について「日中双方で意見が違うのは確かだ。話し合っていく以外ない」と対話での解決を求めたことへの反論。また孔局 長は、同問題の解決方法について「日本側が真剣に歴史を反省し、平和の発展を求めるかどうかの問題だ」と述べ、日本側が譲歩しない限り解決はあり得ないと の考えを強調した。

さて、日本国民の反応はどうか?最新のデータを提供した共同通信(11月1日)によると、第3次小泉改造内閣が発足した10月31日夜か ら11月1日にかけて実施した全国緊急電話世論調査の結果では、小泉内閣の支持率は前回調査(10月17、18日)に比べ5・6ポイント上昇し60・1% だった。不支持率は7・6ポイント減の28・7%。支持率が60%を超えるのは、官房長官に就任した安倍晋三氏が自民党幹事長に抜てきされた2003年9 月の自民党役員人事直後の調査以来。改造の顔触れ評価は、「代わり映えがしない」が23・8%で最も多かった。「改革に向けた意気込みを感じる」が19・ 5%で続いた。「派閥にとらわれず、清新だ」「重厚で安定感がある」といった肯定的評価は43・0%、「改革のイメージがない」「全く期待外れだ」などの 否定的評価は48・3%と世論は二分されている。内閣支持の理由については「ほかに適当な人がいない」が25・5%で最多。次いで「首相に指導力がある」 で前回に比べ6・1ポイント増の21・7%だった。不支持理由では、「経済政策に期待が持てない」が20・2%で一位だった。これらのデータでは小泉外交 の評価は必ずしも明確ではないが、新内閣発足は概ね好意的に受け入れられているようだ。

しかし、国内問題でも消費税や社会保障などの具体的な国民負担の問題が論議されていくと、いよいよ「改革」の中身が問われてくるはずだ。 「100年安心」の年金改革や「任期中は消費税を上げない」と言っているだけでは済まされない。まして靖国参拝続行でアジア外交に好転の兆しが見えない中 で、イラク情勢如何によっては、何時もう一つの「戦争続行内閣」の素顔を曝すことになるかも知れない。いずれにしても、「日本の右傾化」を憂慮しているの は隣国だけではないことを、ここに表明しておきたい。