グローバリゼーション再考

ねこくま

グローバリゼーションについて学生諸君と議論する機会があったのでそこで気がついた論点をメモ的にいくつか上げておきます。最大のポイントはグローバリゼーションは貧困を解決するのか、あるいは貧困を生み出すのか?これがグローバリゼーションを価値判断する上で最も重要な基準だと思います。

次のポイントはグローバル政体が存在するなら、われわれをいかなる主体がどうやって代表するのかという問題です。トインビーの「所属しているけれど、代表していない」プロレタリアートの状態が、現在の国民国家より優れた統治システムとはとても思えません。

こうなると「帝国システム」なる広域支配システムの中心が何処に存在するのかという問題か、国際関係研究者の間でこれほど関心を集めるようになった理由が理解できます。

最後にグローバリズムと「靖国参拝」の関係について私はこれを国際問題として捉えています。理由は、アメリカ主導のグローバル秩序に挑戦可能な東アジア共同体形成可能性を阻止するために「靖国」は極めて重要な問題だからです。

日本が靖国参拝を繰り返し、侵略戦争の歴史を肯定する主張を続けるかぎり、中国・韓国は言うまでもなく現在のASEAN各国はアジアは「共通の家」形成に踏み出すことは不可能でしょう。

日本をアジアから遊離させ、アメリカのグローバルな国益に全面的に組み込むために「靖国参拝」が要請されていると見た方が合理的なのです。

しかし現実の政策立案の上からは、アメリカのプレゼンスを排除した東アジア共同体形成という選択肢は現実的はありません。東アジア共同体をアメリカ主導のグローバルな世界秩序を牽制するための対抗手段として構想することを選択してはなりません。

アメリカとの共存共栄の枠組みの中で穏やかに変化していく必要があります。中国の韜晦(とうかい)戦略、爪を隠す戦略は短期的には正しいのでしょうが、相応の国力を得た後を考えると早めに成長の芽を摘むという対抗的な長期戦略を呼び寄せてしまう可能性があります。

私は最近、グローバリゼーションが生み出すマイナス局面を補完し、地域の人々に平等で豊かな生活を保障する地球規模の共同体構想を、正面から主張していくほうが王道なのかもしれないと考えるようになりました。