ニューヨークの反戦デモに参加して

中西 治

2003年3月22日(土)にニューヨークのマンハッタンで催されたアメリカのイラク戦争に反対するデモを見に行きました。午前11時前にデモの出発点 であるブロードウェイの33番通りに着きました。現地には続々とデモの参加者たちが集まってきており、デモの主催者たちが記者会見をしていました。私はま ずは腹ごしらえと近くの韓国人街のレストランに行きました。

デモは予定通り正午少し過ぎに出発し始めました。マンハッタンを南に下り、ユニオン広場を経て西4番通りのワシントン広場に至る普通に歩けば30分ほど のコースです。私はデモの全部を見ようと思って33番通りの角に立ち、参加者や参加者の唱えるスローガン、衣装、プラカード、パフォーマンスなどを見てい ました。10万人から15万人が参加すると言われていましたが、実際にどのくらいの人が参加するのかが最大の関心でした。

ブッシュ大統領の開戦演説の翌20日(木)に『今日のアメリカ(USA TODAY)』とCNNテレビとギャラップ世論調査が602人の成人を対象に行なった合同世論調査ではアメリカがイラクとの戦争に向かうことを決めた決定 を強く支持する人が60%、強くではないが支持する人が16%、強く反対する人が15%, 強くではないが反対する人が5%でした。アメリカ国民の4人に 3人がブッシュ大統領の戦争を支持していることになります。本当にそうなのでしょうか。私は自分の目で確かめたかったのです。

確かにアメリカではいま愛国心が掻き立てられています。戦争に公然と反対しにくい雰囲気が作り出されています。民主党の上院院内総務ダシュルさんはブッ シュ大統領の開戦宣言の直後にアメリカが国連安全保障理事会で新たな決議を得られなかったことを批判してブッシュ大統領は外交的失敗をしたと述べたのです が、共和党はこれに反論してブッシュ大統領をいま批判するものは愛国者ではないと強く非難しました。この非難に耐えかねてかダシュルさんはアメリカ合衆国 大統領は最高司令官であり、今日、我々は彼の後ろで団結していると言わざるを得なくなっています。

アメリカ憲法では宣戦布告は議会の権限です。しかし、2002年10月10日の上下両院の共同決議でブッシュ大統領にイラクに対して軍事力を行使する権 限を与えていますので、宣戦布告の決議は議会では特にされていません。軍事力行使の決議に賛成することは宣戦布告に賛成することでした。このことは私たち 日本人も肝に銘じておくべきでしょう。

デモが始まって1時間ほど経った時に戦争に反対する元気一杯の女性の集団が近付いてきました。先頭に立つ長い横断幕を持った人の中に一人男の人がいまし た。見ると元日本平和学会会長の岡本三夫広島修道大学教授でした。岡本さんも私に気付き手招きをされています。側に行くと、一緒にデモをしませんか、と言 われました。私も入って岡本さんの隣で横断幕を持ちました。私は見物人から参加者になりました。

私たちの一団が終着点に着いたあと私はふたたび出発点に戻りデモの流れを見ていました。デモは延々と続き最後の集団が見えたのは3時少し前でした。私は その集団のところへ行き、その隊列の最後に着きました。私のうしろには警備を終えた警察官たちが続いていました。私は出発点の33番通りの角まで歩きまし た。参加者の数は分かりませんが、今朝(23日)のテレビは10万人と報じていました。私は多くのアメリカ人が大変厳しい状況のなかで戦争反対の意志を明 確に表明したことに感銘をうけ、心強く思いました。

私は戦争開始後のアメリカのテレビを見ながらこれは完全なアメリカの侵略戦争であると思いました。アメリカのテレビはイラクに百数十ある油田のうち火の 手をあげているのは9であり、あとは無事に確保されたと伝えていますが、語るに落ちたというものです。国連安全保障理事会はただちにこの侵略行為を止めさ せなければなりません。国連ができなければ地球上の人々が声を高めて止めさせなければなりません。アメリカはこれまでもラテンアメリカなどで他国の政権を 軍事力を行使して潰してきました。アフガニスタンに続くイラクでの今回の行為は21世紀初めにおける蛮行です。

デモのプラカードやスローガンのなかでもブッシュ大統領を弾劾すべきであるとか、ブッシュ大統領を侵略者として糾弾し、その戦争開始の責任を問うべきで あるとかの指摘がありました。私もそのように思います。ブッシュ大統領の再選はないでしょう。歴史はブッシュ大統領の今回の行為に対する責任を厳しく問う ことになるでしょう。