エッセイ23 唯物論について

木村 英亮

いま、アジアの政治、ひいては世界の政治を動かす最大の力の一つは、中国・韓国の人々の意思であると思う。

中国、韓国の人々と政府は、歴史問題、靖国問題について、日本政府に強く抗議している。日本の一部の論者によれば、中国や韓国は、日本と の貿易が増えているので、そのうちに靖国問題などについての意見や政策も変わるであろう、ということのようである。朝鮮に対しても、経済制裁をちらつか せ、屈服させようとしている。

日本の政治、世界の政治にとって、もう一つの問題は、沖縄である。沖縄は、地理的にアジアの戦略的要地であるばかりでなく、沖縄住民の意志は、今後のアジアと日本の政治を左右するであろう。

在日米軍再編に対する沖縄の人々の反対について、日本政府は、振興策などによってなだめられると考えているようである。それはそれで一つの考え方であるが、人間は物的な利益だけで動くものではない。

なんという浅薄な人間観であろうか、

なんという単純な唯物論であろうか、と嘆息せざるをえない。

これらの論者は、一方では、ソ連は共産主義思想のために崩壊し、中国政府も資本主義に移行しつつあり、唯物論で世の中は動くものではない などと言っているが、自分達の依拠する考え方こそ、単純な唯物論であろう。あるいは、これらの国々や地域の人々を馬鹿にしているのであろうか。