エッセイ24 お世辞より奉仕

木村 英亮

松下電器をトップメーカーにした松下幸之助は、若いうちに勤勉努力の習性を身に着けつけておかなくてはいけない。習性というのは恐ろしいものだ、それは、ダイヤモンドのように堅牢な真実である、と言った(津本陽『老いは生のさなかにあり』幻冬舎文庫、182.)。

かれはまた、『商売戦術三十カ条』に、「売る前のお世辞より売ったあとの奉仕、これこそ永久の客をつくる」と書いている(177.)。

大学はいま、受験生集めに必死である。そのさい、私は大学経営者に松下の観点が欠けているのではないか、といつも考えてきた。すなわち、入学してきた学生に対するサービスである。授業料はもちろん第一に講義に対するものであろう。そのために教員の授業アンケート調査などをおこなっているわけであろう。しかし、授業料は学生が自発的に学ぶための設備、すなわち図書館やサークル施設などの利用料を含んでいると考えられる。また、事務サービスも当然ふくまれる。

入学後の奉仕、これこそ大学の基盤をつくる。これらのサービスに学部間で格差があってはならない。