第4回講演会 木村英亮(二松学舎大学教授、本研究所所員)

事務局

ソ連・ロシア史のなかのプーチン政権

2002年11月23日
ながわ県民センター711号室

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現在われわれが世界的に直面している、国家、民族、政党の役割という3つの課題について、ソ連・ロシアの歴史は、貴重な財産を残した。ここではまず、プー チン政権を材料として国家の役割について考察し、次にチェチェンを取りあげて民族問題を扱い、最後に共産党の歴史をみることによって政党の問題について考 える。

プーチン政権には、エリツィン末期のプリマコフ政権と共通のところがある。すなわち、90年代のような民営化路線から決別するとともに、ソヴェ ト時代の命令・行政システムへの回帰も避けるという原則である。プーチンはさらに、全国を7連邦管区に分け、マスコミを統制し、法の支配を強めるなど国家 の役割を強化した。

大戦中の強制移住など抑圧された記憶を持つチェチェンは、ロシア連邦への加入を拒み、ロシア軍の攻撃に抵抗して、テロで対抗している。このよう なプーチンの民族政策は、プリマコフと違うところであるが、アキレス腱になりかねない。「9・11」以降は、アメリカもこの弾圧を支持するようになってい る。

レーニンの「なにをなすべきか」に拠るソ連共産党の方針は、もっと早い転換が必要であった。ソ連の崩壊は、スターリンの一国社会主義路線の破綻であって、ただちにマルクス主義の破綻であるとするのは性急にすぎるように思われる。

ロシアのプーチン政権は、中国の政権と同じく、社会主義と市場経済の高い次元での止揚をめざしていると考えられないであろうか。それはロシア国民の望むところでもあろう。