エッセイ 37 論文の書き方について

木村 英亮

戸坂 潤は「論文の新しい書き方」で、次のように書いている。

「論文には一定の型式となるようなものはない。内容が一定の文章を要求するのである。書く人は出来るだけの力を自分なりに発揮して、この内容を自分自身に遂一納得の行くように整理し点検して行けばいいのである。それがおのずから、読者にもよく判る論文となる・・・ ただの結論は何の実力もない独断と同じである。結論は分析と総合とを通して得た行論の結論以外のものではなかった筈だ。」 すなわち、自分でよく判っていることを書くこと、根拠を示すことが第一である。

「自分自身に納得の行くように」ということばはとても重要である。ここにはいろんな意味が含まれている。大衆受けするように、とか、権力者の気に入るようにではなく、自分自身に納得のいくようにということである。

また、論文にかぎらず、文を書くときは、テーマはなにか、すなわち何を伝えたいのか自覚していなくてはならない。長ばなしのように、途中で横道にはいってなにを議論しているのかわからなくなることがあるからである。そうならないためには、題をつけるとよい。

内容が変わる時は、行替えでそのことが判るようになっていると読みやすい。答案などで一度も区切らず、前後の脈絡もなく、知っていることを書き連ねてあるのがよくあるが、言いたいことを推測しながら読むのは疲れる。

論文では分析の結果としての結論が必要である。分析だけに終わり、結論を避けたり、あいまいなままにしたものは、調査報告書である。