安倍・トランプ会談に寄せて

中西 治

安倍晋三首相が急遽ニューヨークを訪れ、2016年11月17日夕方(日本時間18日朝)、
他の国の最高指導者に先んじてトランプ次期米国大統領と会いました。

テレビを見ていて、急に「関ヶ原の戦い」を思い出しました。

勝つだろうと思っていた石田三成が負け、負けるだろうと思っていた徳川家康が勝っ
たことを知った地方の小大名が急いで徳川家康のもとに馳せ参じ、お家安泰のために
忠誠を誓っている様子が思い浮かびました。「おお、愛(う)い奴じゃ」と家康が
言ったかどうか分かりません。

私は、いかにも安倍さんらしいな、と思いながら、同時に、トランプさんはこのよう
な人間をどのように評価しているのだろうか、と考えました。

安倍さんとトランプさんは「似た人間」です。ともに既成の秩序に反対しています。
私はこのような人物が出てきたとき、言葉ではなく、実際に民衆をどこへ連れて行こ
うとしているのかで判断します。

安倍さんは第二次大戦後70年間続いてきた日本の「平和憲法体制」に反対し、日本を
「戦争のできない国」から「戦争のできる国」にしました。奇しくも同じ18日に日本
の防衛大臣が南スーダンに派遣される陸上自衛隊の部隊に対し「駆けつけ警護」や
「宿営地の共同防護」のために「武力の行使」を認める命令を発しました。日本は
「戦争をする国」になりました。安倍さんは日本人を戦争へと導いています。

トランプさんはこれまでの民主党や共和党と違って「米国はもはや世界の警察の役割
を果たせない」と言い、これまでの体制を否定しています。私はこれは正しく、その
通りだと思っています。

トランプさんはまた「日本は米国軍の駐留費用を全額負担せよ」、「負担しないなら
米国軍を引き上げる」と言っています。トランプさんは日本に「日本は日本で守
れ」、「日本は核武装しろ」などと言っていますが、米国人に「戦え」と言っていま
せん。

私は、このさい、日本国内でも米国軍の駐留問題を検討すべきであると考えていま
す。講和条約が発効すると、外国軍はすべて他国から引き上げるのが常識です。若い
人は生まれた時から米国軍が日本に駐留しているから、駐留しているのが当たり前と
思っているようですが、それは当たり前ではなく、居ないのが当たり前なのです。私
は米国軍が全員、日本から引き上げれば良いと考えています。

北東アジアの最大の問題は「尖閣諸島問題」ではありません。「朝鮮戦争問題」で
す。

前者は日中両国が話し合いで解決すれば良いことです。、後者は韓国と朝鮮が話し
合って決めれば良いことです。中国、米国、日本はこれを助ければ良いのです。

「尖閣諸島問題」も、「朝鮮戦争問題」も、中国と米国が核ミサイル戦争を賭けるべ
き問題ではありません。両国の核心的利益にかかわる問題ではありません。

次は日ロ関係と領土問題について書きます。