2016年の米国大統領選挙を終えて

中西 治

2016年の米国大統領選挙最終結果が出ました。

Breaking: Final Election 2016 Numbers! | Alternative – Before It’s News によると、結果は次の通りです。

ドナルド・トランプさん  得票数62,972,226 選挙人数306人
ヒラリー・クリントンさん 得票数62,277,750 選挙人数232人

トランプさんが得票でも選挙人でも多数を占めました。いよいよ米国で「オバマ時代」が終わり、「トランプ時代」が始まります。

この機会に、これから米国・世界・地球・宇宙はどうなるのかについて考えてみたいと思います。順序を逆にし、宇宙と地球がどうなるのかから始めます。

クリスチャンとスピールの「宇宙の未来年表」やNewton別冊『大宇宙――完全版――』によると、宇宙はいずれなくなります。そのなくなる時期は「10の10乗の76乗年後」とか、「10の100乗年後」とか様々です。「10の10乗」が「100億年」、「10の14乗」が「100兆年」ですから、いずれにしても、21世紀に生きる私たちが宇宙の消滅を心配する必要はありません。地球を含む太陽系がなくなるのは50億年後から80億年後と言われています。これもせいぜい100年しか生きない私たちが心配することもないでしょう。

宇宙と地球の誕生・消滅は直接トランプさんと関係ありません。にもかかわず、私がこのことから論じ始めるのは「万物」を「変化」するものとして捉え、「宇宙」の歴史の中に位置づけようとするからです。

次は世界と米国はどうなるのかです。

前記事の「トランプ米新政権の対外政策について」で指摘したように、現在は第二次大戦後の「米ソ中心時代」から「多中心時代」への移行期です。この「多中心時代」がどのような「多中心」になるのかです。

2050年と2100年に世界がどのようになるのかについてはすでに相当わかっています。

『国際連合経済社会局世界人口推計2015年版』によると、世界人口は2015年の73億人から2050年に97億人、2100年に112億人に増えます。

2015年の国別人口の第1位は中国13億7604万人、第2位はインド13億1105万人、第3位は米国3億2177万人、第4位はインドネシア2億5756万人、第5位はブラジル2億0784万人、以下、パキスタン、ナイジェリア、バングラデシュ、ロシア、メキシコでした。日本は1億2657万人、第11位でした。

これが35年後の2050年に、第1位はインド17億0500万人、第2位は中国13億4800万人、第3位はナイジェリア3億9900万人、第4位は米国3億8900万人、第5位はインドネシア3億2100万人、以下、パキスタン、ブラジル、バングラデシュ、コンゴ民主共和国、エチオピアとなります。日本は1億0700万人、第17位です。

85年後の2100年には、第1位はインド16億6000万人、第2位は中国10億0400万人、第3位はナイジェリア7億5200万人、第4位は米国4億5000万人、第5位はコンゴ民主共和国3億8900万人、以下、パキスタン、インドネシア、タンザニア連合共和国、エチオピア、ニジェールとなります。日本は8300万人、第30位です。

人口について、現在、中国が第1位、インドが第2位ですが、2050年と2100年には中国とインドが入れ替わり、インドが第1位になります。現在、米国は第3位ですが、2050年と2100年にはナイジェリアに抜かれて第4位になります。

次に2015年と2050年の主要国の国内総生産(GDP)を見ましょう。

2015年の名目GDP(米国ドル)は「世界GDPランキングベスト(20位)2015年最新版」と“World GDP Ranking 2015 | Data and Charts” によると、第1位は米国17兆9470億、第2位は中国10兆9828億、第3位は日本4兆1232億、第4位はドイツ3兆3576億、第5位は英国2兆8493億、第6位はフランス2兆4215億、第7位はインド2兆0907億、第8位はイタリア1兆8157億、第9位はブラジル1兆7725億、第10位はカナダ1兆5523億でした。

PwC調査レポート『2050年の世界』によると、2050年の主要国のGDPは購買力平価(PPP)を2014年ベースの米ドルに換算して、第1位は中国61兆0790億、第2位はインド42兆2050億、第3位は米国41兆3840億、第4位はインドネシア12兆2100億、第5位はブラジル9兆1640億、第6位はメキシコ8兆0140億、第7位は日本7兆9140億、第8位はロシア7兆5750億、第9位はナイジェリア7兆3450億、第10位はドイツ6兆3380億となります。

比較の基準が「名目」GDPと「購買力平価」GDPで異なりますので、単純に比較できませんが、それでも米国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダなどの西側先進国が2050年に2015年の上位から下位に落ち、中国、インド、インドネシア、ブラジル、メキシコ、ナイジェリアなどのアジア・ラテンアメリカ・アフリカの新興国が上位に立つことがわかります。ロシアも12位から8位に上がります。

2100年のGDP予想値はまだ出ていませんが、人口増とGDP増はほぼ一致します。人間は消費者であると同時に生産者です。人間が知恵と知識と技術を身に着ければ、偉大な生産者になります。21世紀後半から22世紀にかけてインド、中国、パキスタン、インドネシアなどのアジア諸国、ナイジェリア、コンゴ、タンザニア、エチオピア、ニジェールなどのアフリカ諸国が歴史の前面に登場してきます。

つまり、前述の「多中心時代」の中でBRICS (ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)・EU(ドイツをはじめとするヨーロッパ連合)・USA(アメリカ合衆国)などが林立するようになります。もはや「米ソ中心時代」ではないのです。ましてや「米国中心時代」ではないのです。

米国人のこれに対する焦燥感と貧富の格差増大に対する怒りがトランプさんを米国大統領にしました。トランプさんは米国人の雇用と生活を守るためにムスリム(イスラーム教徒)の入国拒否とか、追い出しとか、メキシコとの間に壁をつくるとか言っていますが、実際にこれをおこなえば、米国はいっそう困難な状況になるでしょう。

米国は建国以来「移民」の国です。そのおかげで発展してきました。いまのところ2015年の人口3億2200万人は2050年に3億8900万人、2100年に4億5000万人に増えていくと予想されています。しかし、トランプさんが移民の阻止とか、追い出しをすれば、人口はどうなるでしょうか。2050年に購買力平価GDPで中国とインドについで第3位を維持できるでしょうか。

ついでながら、英国の人口は2015年の6471万人から2050年に7536万人、2100年に8237万人に増え、フランスも6439万人から7113万人、7599万人に増えます。他方、ドイツは2015年の8068万人から2050年に7451万人、2100年に6324万人に減り、ロシアも1億4300万人から1億2900万人、1億1700万人に減ります。

日本の人口も1億2700万人から1億0700万人、8300万人に減ります。日本の人口減は深刻です。日本のこと、日本と米国との関係については別に書きます。