トランプ米新政権の対外政策について

中西 治

米国でトランプ新政権が来年2017年1月から正式に発足します。選挙運動中にトランプさんは日本との関係についてもいろいろとしゃべりました。これから世界はどうなるのでしょうか。この問題について簡単に書いておきます。

まず、第二次大戦終結から今日までの国際情勢の変化を振り返ります。

第二次大戦の結果、米国とソヴェトが世界的大国となりました。アメリカとロシアが世界史の前面に登場したのはこれが初めてです。「米ソ中心時代」が始まりました。

この「米ソ中心体制」は「朝鮮戦争・ヴェトナム戦争・アフガニスタン戦争」によって揺らぎました。1991年12月にソヴェトは解体しました。米国の国際的威信と影響力も低下しました。私は第二次大戦後の米ソを中心とした「国際秩序」を崩壊させたこれら一連の戦争を一括して「第三次大戦」と規定しています。

ソヴェト解体から四半世紀経ち世界は変わりました。現在、世界にはドイツ・フランスを中心とする「ヨーロッパ連合(EU)」、ロシアを中心とする「ユーラシア経済連合」、中国を中心とする「上海協力機構」、ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカなど5か国の「BRICS」などが存在します。「多中心時代」の到来です。

米国は「ソヴェト解体」に幻惑され、「米国中心時代」が到来したかのごとき「錯覚」をいだいたようです。

米国は2001年の9.11事件に対してアフガニスタンとイラクへの出兵で応え、失敗しました。にもかかわず、米国はいまもシリアをはじめとする中東で「世界の警察官」の役割を果たそうとしています。

これに対してトランプさんは米国はもはや「世界の警察官の役割を果たせない」と言いました。私も「その通り」だと思います。しかし、オバマさんも、ヒラリー・クリントンさんもこれは言えません。彼らはこれを言い、実行してきたからです。

トランプさんがこれを言えたのは、彼が安全保障問題の「素人」だからです。

「戦争」と「平和」の問題では「素人」の言葉に「真理」があります。「屁理屈」をこねないからです。戦場で死ぬ多くは「素人」の「兵隊」です。「戦争ごっこ好き」の「玄人」は実際に戦争が起こったときには戦場から遠く離れた机の上で「戦争ごっこ」をしています。「本当に戦争の恐ろしさ、悲惨さを知っている」「玄人」は戦争に「反対」です。

日本は戦後一貫して「連合国軍の占領下」、「米国軍の駐留下」にありました。戦後71年、そろそろ「外国軍の駐留をやめさせるべきとき」です。トランプさんは良いきっかけをつくってくれました。大いに「素人談義」をしましょう。「素人談義」も主権者の半分をこえれば、大きな力をもつのです。

米国大統領選挙で「総得票」で勝っても「選挙人」で負ける場合があるのは、アメリカ合衆国(United States of America)が各独立国家「State(国)」の「United(結合した)」「国家連合」、「国家同盟」であるからです。各独立国家(州)に選挙人の選出権があります。各州が独自の州兵を持っています。