安倍・プーチン共同声明に寄せて

中西 治

安倍日本国首相とプーチン・ロシア連邦大統領が昨日、2013年4月29日にモスクワで共同声明を発表した。この声明全文を読んで日本とロシアの交流が多面的に発展していることを知り、喜んでいる。両国首脳が第二次大戦後67年余を経て日ロ間で平和条約が締結されていない状態を異常と考え、平和条約を締結するとの決意を表明したことを歓迎する。

この「両国交流の発展」と「平和条約締結の決意表明」は両国国民の多年にわたる努力の結果である。

ここではプーチン大統領を政治家としてどのように評価するのかについてだけ書く。

私はプーチンが1999年8月9日に首相代行に任命されて以来この人物に注目してきた。エリツィンがプーチンを後継者に選んだのは、プーチンが「巨大な意志を持ち、巨大な決断ができる」人であると考えたからである。

プーチンはかつて「政治指導者のうちの誰に関心を持つか」との質問に「ナポレオン・ボナパルト」と答えている。彼は、ついで、フランスのドゴールとドイツのエアハルトを挙げ、エアハルトを「大変プラグマティックな人」と述べている。

私は当初「エリツィンはスターリン型、プーチンはアンドロポフ型の政治家である」と考えていた。2002年10月のモスクワでの劇場占拠事件への対応を見て、「プーチンはスターリン型の政治家ではなかろうか」と考えたことがある。

ロシアのジャーナリスト、アレクサンドル・ゴロフコフは2001年1月11日の『独立新聞』付録「人物と顔」で次のように書いていた。「反抗者ウラジーミル・レーニンの事業は法律を愛する彼と同じ名前の人(ウラジーミル・プーチン)によって最終的に閉じられるであろう。プーチンには、ロシアをこの地上には存在しない天国の光り輝くファンタジーへではなく、歴史的伝統とロシア市民の圧倒的多数の願望によって示された道に沿ってロシアを控え目にきちんと進ませることが約束されている」と。

「ウラジー・ミール」とは「世界を支配せよ」という意味である。

私はいまでは「プーチンはレーニン型である」と考えている。レーニンはその生きた時代のそれぞれの時期に、強い意志と決断力を持って、硬軟に対応した現実政治家であった。

プーチンは平和条約締結までたどりつく可能性がある。

安倍首相はどうであろうか。